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paiza開発日誌

IT/Webエンジニア向け総合求人・学習サービス「paiza」(https://paiza.jp ギノ株式会社)の開発者が開発の事、プログラミングネタ、ITエンジニアの転職などについて書いています。

SI⇒Web転向に失敗するエンジニアに共通した【たった1つの特徴】

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Photo by Robert Tadlock

f:id:paiza:20130918201254g:plain今回のpaiza開発日誌は片山がお送りします。

SIerに在籍しているエンジニアで、技術(開発)を中心としたキャリアを積んでいくために、SIerからWeb業界(Webサービス提供系)に転向/転職しようと思っている方は近年増えています。そんな方向けに、SI⇒Web転向で「失敗してしまう人の特徴」と、「上手くいく人の特徴」についてまとめてみました

■SIからの人材流出は増えているが、Web転向は狭き門

SIer⇒Web業界への転向成功者、失敗者の特徴を見てみる前に、まずはSI業界とWeb業界の採用動向について見ていきましょう。

昨今、特に飲食業界等を中心として人材不足が叫ばれていますが、IT業界も成長産業のため、常に人材が不足していると言われている業界です。2014年9月18日の日経新聞でも「IT分野の派遣『月収100万円』でも集まらず」というような記事も出ており、すでにIT業界における人材不足は深刻な事態となりつつあります。

職種別の求人倍率を見ても、SIerシステムエンジニア求人倍率は2.6倍(2013年7月)と伸びており、またそれ以上にインターネット専門職(Web業界)の求人倍率は約 5.1 倍(2013年7月)と大きく増加しています。

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インターネット専門職と SE求人倍率の比較/2013年7月現在 IT人材白書2014より

SIerからの転向という面でみると、ユーザー企業のIT部門の中途採用は51.5%がSIerからとなっており、Webビジネスを営む企業の中途採用22.8%がSIerからの転向となっています。逆のSIer中途採用の7.3%がユーザ企業から、2.2%がWeb企業からとなっており、SIerからユーザー企業、Web企業への流出は増加しています。

自分の肌感としても、SIer⇒Web業界への転向は、特に向上心の強い人や開発志向の人を中心に近年増えているなと感じます。ユーザー企業やWebの自社サービスへの希望が圧倒的に多く、次いでSI⇒Web受託への転向という希望順が多くみられます。

しかしWeb系企業の中途採用におけるSIerから転向者は22.8%であり、決して広き門とは言えない状況です。そのなかでSI⇒Web転向で成功する人、上手くいかない人がそれぞれいますが、両者ともある程度類型化出来るように思います。SIerにいてWeb業界に転向しようと考えている方は、自分がどちらのタイプに当てはまるか考えながら読んでみていただければと思います。

■SI⇒Web転向に失敗する人に共通するたった一つの特徴

SI⇒Web転向で失敗する人(上手くいかない人)の特徴は
「転職に向けた準備を特に何もしていない」
という事です。

SIerとWebでは、マインドセットもスキルセットも開発スタイルも全く環境が違います。中でも特に「受託のSIer」から「Webの自社サービス」への転向は、ビジネスモデルもスピード感も全く異なるため、何も準備せずに行けるほど甘い世界ではありません

この「転職に向けた準備を何もしてない」という事をもう少し細かく見ていくと下記のような事象になります。

  1. 開発的ぬるま湯に浸ってしまってのんびりしている
  2. なんか面白そうだな、で終わっている、試してない
  3. のんびりして5年以上SIに居る

◆1.開発的ぬるま湯に浸ってしまってのんびりしている

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Photo by Eli Duke

SIerは、プロジェクトを細かくタスク分解し、誰にでもできる開発作業に落とし込んでいく事で、属人性を排し、多重下請け構造で巨大なシステムを作れるように仕組化されています。その為、仕組みとしては高度な技術と言えるかもしれませんが、プログラマなど開発者レイヤーでは基本的には低スキルでも働けるように設計されているため、総じて開発技術面ではトラディショナルな技術しか使われていなかったり、自動化が遅れているなどという事が多く、技術スキル向上の場が少ない環境と言えます。特に運用保守チームなどに居るとそれは顕著です。またデスマで忙しい、厳しい、と言ってもそれは肉体的な話だけで、Webで求められるような技術向上がある訳では有りません。

逆にWeb業界は変化が激しく、良くも悪くも属人性が高く「個人技が求められる世界」なので、否応なく成長が求められます。さらに自社サービスとなると、その中でも精鋭を揃える傾向にあり、コードが書けない人(実務で書くかどうかは別として)は余り必要とされないので、プログラミングが軽視されるSIer⇒自社Webサービスは非常にハードルが高いのです。

開発面でこういった環境に浸かっていると、これから転職しようとしている転職先のWebサービスで求められる新しい技術に対する好奇心や情報感度が衰えてしまいがちです。そうすると業界の動きから徐々に遠のき外界からの刺激がすくなくなる事で、さらに好奇心や情報感度が落ちていく、という「のんびりスパイラル」にはまってしまいがちです。(PMを目指していたり、そもそもWebサービスに行こうと考えていなかったり、今居る場所が技術的に尖っていて、成長が出来ているのであればこの限りでは有りませんが。)

この辺りの課題分析に関しては下記記事でも書いています。

SIerの「開発」と「運用保守」分離がまねく3つの弊害 - paiza開発日誌


IT業界の『多重下請け構造』は社会悪になりつつある - paiza開発日誌


ITエンジニアの価値を貶める『人月商売』の功罪 - paiza開発日誌


◆2.なんか面白そうだな、で終わっている、試してない

マインドセットの面でいうと、「入ってから学んでいければ。。」とか「先輩方に教えていただきながら。。」というよう感じだと門前払いを喰らいます。興味があるんだったら、まず触って、少なくともチュートリアル位やってみている、可能ならば簡単なアプリを作ってみる、という感じでないと話になりません。

面接などで「今どういった技術に興味があるか?」という質問が良くありますが、その際に「Railsに興味があります」、「Dockerに興味があります」「CIツールに興味があります」と、ニュースを眺めて「興味がある」と言っているだけで「実際にはまだ触った事が無い」というレベルだと自社サービス採用基準から言うと評価は低いといえます。面接官はこういうとき「興味有るんだったらやれよ。本当に興味あるの?」と心の中で思っているはずです。

SIerプログラマやSEのレイヤーに居ると、プロジェクトのアーキテクチャはすべて決まった中で動く事が多いため、技術的に色々興味があっても仕事に取り入れる機会が無いため、自分で試してみようと思う事は少ないと思います。

しかし自社サービスエンジニアにはそういったマインドはまったく歓迎されません。より良い環境を作っていくために、気になる技術はまず試してみて、使えるかどうか探っておくという好奇心がとても重要になります。自社サービスでは誰かが何とかしてくれる事は無いのです。

◆3.のんびりして30歳過ぎまでSIに居る

1の内容ともかぶりますが、SIから転向したいのに「のんびりスパイラル」にはまったまま、「プロジェクトが忙しいから」「給与は悪くないから」「失敗したら嫌だし」と様々な理由で30歳すぎてもSIerにだらだら在籍していると、Webサービス企業から見ると、キャリアとしてとても中途半端なものと見られてしまいます。

SIerでの仕事にやりがいを感じているのであれば何の問題も有りませんが、Webに行こうと考えているのに動きだし遅いと、それは時間ロスでしか有りません。良くあるパターンとしては35歳手前位になって、「35歳という節目で、やはり自分のやりたい事をやろう」というような感じで動きだして、Webサービス企業へ転向しようとする、というのが有ります。

例え35歳過ぎまでSIerにいてもWeb業界へ華麗に転向する人も中にはいますが、そういった例は稀です。長くSIerの業界にいると、どうしても考え方が「受託脳」になってしまっているため、特に自社Webサービスへの転向は、マインドセットの面での切り替えが出来ないため難しいでしょう。

■成功する人の特徴

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Photo by Mateus Lunardi Dutra


SIerに居たとしてもWeb業界の転向に成功できる人がいますが、そういった人達には一定の特徴が有ります。その特徴は、ここまで書いてきた事のほぼ裏返しになります。

  1. Web業界の人と交流し情報収集している
  2. 問題意識を持って新しい技術に触れている、アウトプットしてる
  3. 30歳手前で動く、動き出しが早い

 
こういう行動ができている人は、多少書類選考等でうまくいかなくても、大体何とかなっています。手前味噌ですが特にpaizaだと、スキルレベルさえ合えば、書類選考がなく即1次面接(orカジュアル面談)まで行けるシステムなので、すんなりと転職される方を多く目にします。何もしてなければ苦労したり、転職できなかったりしますが、逆にやる事をやってれば何とかなるものです。それでは各項目を細かく見ていきましょう。

◆1.Web業界の人と交流し情報収集している

Web転向が上手くいっている人は、SIerに居る時から勉強会などでWeb業界の人と交流しており、技術力やマインドセットの面での違いで大きな刺激を受けて、勉強するようになり、機が熟したタイミングで転職する、という行動パターンが多く見受けられます。

SIerの中にいるだけだと業界のやり方に慣れる事しかなく、技術的な刺激も、キャリアについての危機感も感じる事は少ないでしょう。なんとなくでもWeb業界に転向したいと思うのであれば、その業界の人たちが何を考えているのか?、どういうマインドセットなのか?という事を知るためにも積極的にWeb業界の人と交流する事が重要になります。

外の人と交流する事で勉強したり、キャリアについて考えるモチベーションが高まり、技術的な「ぬるま湯」から抜け出すきっかけになっている人も多く見かけます。

◆2.問題意識を持って新しい技術に触れている、アウトプットしてる

Web転向が上手くいく人は、SIerにいては技術レベルが上がらないという事に問題意識を持っていたり、もっとエンドユーザーの顔の見える仕事がしたいという問題意識や、SIerのビジネスモデル自体への疑問など、現状に満足せず「ぬるま湯」に危機感を持っている、という特徴が挙げられます

こういった危機感を持っていると、将来の為に新しい技術に触れたり、もしくは単純に好奇心で色々な技術を試してみたり、またそれをブログに書いたり、物を作ってみたりとアウトプットするようになるため、それらの行為が血肉になり、Web業界に転向してもキャッチアップが非常に早いため、Web転向も上手くいきやすいのです。

◆3.30歳手前で動く、動き出しが早い

SIerに居る方に話を聞くと大体の人が、まわりのエンジニアは技術レベルがひくく、業務時間外は一切技術の勉強はしない、あまり新しい技術に興味がない人ばかり、と話されます。

こういった「ぬるま湯」に浸かっているとダメになると感じ、早めに動きだせるかどうかがWeb転向に成功する人と失敗する人の分かれ道になります。年を取ればとるほど、新しい事の覚えはどうしても悪くなるため、企業としても教育コストと将来性をみて、30歳を過ぎた業界転向者は敬遠される傾向にあります。日本だと文化的に若い人が年上に教えにくいというもある為です。

最近は人材不足でそのラインもゆるくなってきているとはいえ、業界転向する場合は早めに動いたほうが選択肢が多いのは言うまでもありません。

■ビジネスシフトが求められる

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Photo by m.shattock

SIerを取り巻く状況についてIT人材白書2014では次のように書かれています。

これは IT ユーザーにとって情報システムは “IT 企業に発注して開発するもの ” から “ サービスを選択して利用するもの ” に変化していることの現れと考えられる

これは、ユーザー企業が情報システムをただ使うだけでなく、自社の強みとして利用する方向にシフトしており、SIerも従来型のオーダーメイドのシステム開発から、SaaS等のソリューションビジネスへの「ビジネスシフト」が求められていると指摘しています。

そういった大きな潮流の中で、SIerの中々進まないビジネスシフトにしびれを切らし、感度の高いエンジニアのSI⇒ユーザー企業、SI⇒Web企業の転向が増えていると考えられます。

ビジネスシフトが進むと、事業のコアとなるシステムは、コアコンピタンスが流出しないように内製化が中心となり、バックオフィス系業務など事業付加価値の低い領域はSIerに外だししたり、SaaS等を利用するという方向になっていくと考えられます。そのためSIerは官公庁や銀行保険などの一部の巨大なシステム以外ではシュリンクしていかざるを得ないのです

またSIer多重下請け構造が成り立つように、誰にでもできる仕事が出来るようにプロジェクトを分解するため、エンジニアにとっては成長機会が奪われてしまう場です。そして誰にでもできる仕事だからこそ新興国の安い労働力に仕事も奪われてしまう訳です

今後求められるエンジニアは、利用者に価値のあるサービスやソリューションをスピード感をもって作れるエンジニアです。ただ物を作るエンジニアだと新興国に勝てないのです。「どう作るかではなく、何を作るか? もちろんどう作るか知ったうえで」という事です。

■まとめ

レベルの高いエンジニアほど、社員一人一人影響力が大きい少人数の企業へ行く事が多いように思います。そうする事で自分自身のフィードバックループが強力に働く事でさらに成長する、という正のスパイラルに入っています。

逆にSIerに居て「のんびりスパイラル」に入ってしまっているエンジニアは、若い時代の成長機会を奪われ、このままではまずいと思ってWeb業界に転向しようとしても非常に苦労したり、転向できずにずるずるいってしまうという事が起きているように思います。

そういった環境から目を覚ますにも、Web系の勉強会に顔を出してみたり、いきなりWeb系自社サービスエンジニアを目指すのではなく、まずはWebの受託で幅広く技術を吸収してみたり、ユーザー企業に移って事業者視点を経験するなど、段階的なステップを踏むという事も大事ではないかと思います。

現在SIerにいて30歳手前、という人は、PM方向で行くのか、技術方向で行くのか?という決断をするタイミングに居る事を強く意識したほうが良いでしょう。また技術方向で行くのであればタイムリミットはもうそこまで来ていると考えたほうが良いでしょう。




paizaはプログラミングスキルチェックのスコアが一定基準を超えると、書類選考なしで複数の会社へ応募ができます。そのため、経歴ではねられる事が無く、SIer⇒Webへの転向も多くの方が成功しています。

http://paiza.jp

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