paiza開発日誌

IT/Webエンジニア向け総合求人・学習サービス「paiza」(https://paiza.jp ギノ株式会社)の開発者が開発の事、プログラミングネタ、ITエンジニアの転職などについて書いています。

プログラミング教育を強化した国で何が起きているのか?世界の教育事情

f:id:paiza:20161207190343j:plain
Photo by Johan Bichel Lindegaard
f:id:paiza:20140916135428p:plainこんにちは。谷口です。

皆さんは、プログラミング教育が盛んになってきていることはご存知でしょうか? 日本でもすでに2012年の新学習指導要領により、中学校の「技術・家庭」において、従来選択科目であった「プログラムと計測・制御」が必修科目となっていますが、意外と知らない方も多いようです。

2020年には日本のWebビジネスの市場規模が2010年時点と比べて4.5倍に拡大すること、またそれによりWeb系企業の雇用者数も150万人増加をすることが見込まれています。(日本の成長を支える産業 「ウェブビジネス」P13、14

業界が成長していく中で、より多くのエンジニアが必要とされ、その教育・育成は不可欠なものとなっています。

最近は、世界でも多くの国で早いうちからプログラミング教育が実施されており、少なからず国内企業の成長や利益拡大に貢献しています。

アメリカでは「米国の全ての学校にプログラミングの授業を導入しよう」とするNPO団体『Code.org』の活動が活発化していたり、イスラエルでは早い段階からプログラミング教育を強化してきた結果、NASDAQ上場企業の数がアメリカに次ぐ2位となっています。

イギリスやエストニアSkypeが生まれた国です)でも、小学校からのプログラミング教育の義務化が実施されています。

今回は、そんな世界のプログラミング教育事情について調査をしてみましたので、そのレポートをしていきたいと思います。

イスラエル

f:id:paiza:20161207190509j:plain
Photo by Rodrigo Damico
イスラエルは、面積は日本の四国程度、人口818万人ほどの小さな国にも関わらず、米国NASDAQへの上場数は米国に次ぐ2位で、日本や欧州諸国よりも一桁多くなっています。イスラエルでは多くの成功したスタートアップ企業が、大きなものでは数千億円の規模でM&Aの対象となっているのです。

イスラエルではジュディス・ガル=エゼル教授が95年の時点で中等教育でのコンピューター教育は、使い方よりも、原理やプログラミングを教えるべきだという内容の論文を発表しています。実際にこの論文を重視した国は、2000年には「コンピューターサイエンス教師センター」を設立し、カリキュラムや教材をそろえて高校での必修科目としました。現在、イスラエルでは最短でも3年間で90時間(毎週1時間を3年間)を必修としています。より高度なコースでは270時間、450時間にのぼり、日本で言えばほぼ数学や国語の学習時間に匹敵します。結果として、実際にコンピューター分野でイスラエルは人口に比して非常に強力な国となりました。世界中の企業がイスラエルの技術を競って買う状況となり、国が置かれた状況からセキュリティー・軍事分野は特に有名ですが、CGやネットビジネスなど他分野でも広く活躍しています。

また、イスラエルでは1992年にベンチャーへの投資の促進を目的として、政府、外国のベンチャーキャピタル(VC)、訓練のために参加するイスラエルのVCの三者によるVCの設立を支援するYozmaプログラムがスタートしました。

イスラエル国防軍の情報技術のレベルは高く、約3年の徴兵期間中に得た能力を民間で発揮することは当然と考えられています。特にソフトウエアのプログラミングなどのレベルは高く、暗号をはじめとする電子機器の高度化と直接につながっています。国防軍はさらに、高校卒業時にレベルの高い学生を見いだし、大学在学時の費用を軍が持ち、卒業後5年程度勤務させ、軍にとって全く新しい知識開発に挑戦させるというシステムを設けています。このプロセスを経て除隊する人が年に1,000人近くいると言われており、これらの中からスタートアップを起こす例も多くなっています。

このような形で、イスラエルはプログラミング教育に力を入れ、結果として軍事関連やベンチャービジネス等に様々な情報分野での技術レベルが向上し、企業や大学、研究機関でも大きな利益を上げています。

「プログラミング強国」へ教育を 東京大学教授・坂村健
イスラエルのビジネス
700万人の人口で世界に照準を当てるイスラエルの新産業創造


■アメリカ

NYの市長は、普通の教育関連の記者会見で「2014年から公立中学、高校20校でソフトウェア・エンジニアリングの授業の試験プログラムを開始する」と発表し、「今や教育は、ナレッジ・エコノミー、つまり知識経済でNYが優位に立つための包括的な戦略の一部」と断言しています。

また、2013年1月から、コーネル大学の巨大キャンパスのリーダー(コンピューター・サイエンス専攻の院生)を育成するプログラムが開催されており、NYUやコロンビア大学でもITエンジニア系人材の育成を進めています。

さらに「米国の全ての学校にプログラミングの授業を導入しよう」とするNPO団体『Code.orgが、ビル・ゲイツ氏やマーク・ザッカーバーグ氏等多くの著名人に支持されています。

先日この記事でもご紹介したFlappy Codeも、Code.orgのサイトにあるコンテンツです。実際に子供たちが楽しんで学べそうなコンテンツがたくさんあります。

プログラム未経験者の同僚が、たった1時間でゲームを作った方法 - paiza開発日誌

NYの中高20校でソフトウェア・エンジニアリングの試験プログラム開始へ
突如、アメリカでプログラミング教育促進運動が拡大?!


■イギリス

f:id:paiza:20161207190634j:plain
Photo by bubbabyte
イギリスでは、公立小学校のカリキュラムにおける改革が行われ、コンピューティングの授業内容が大きく変わりました。5歳からプログラミングを学ぶカリキュラムが組まれたのです。かつて主としてワードやエクセルの使い方を教えていたコンピュータリテラシー教育は、プログラミングの仕方、プログラムの作り方、コンピュータの動作原理の理解といった授業内容へと一変しました。政府の新方針では、5歳から16歳までの全児童生徒にプログラミングの学習が義務化されました。

プログラミングを5歳から教えるイギリスの公教育
イギリスは義務教育(5-16歳)公式カリキュラムにプログラミング教育を導入-9月施行にさきがけYear Of Codeキャンペーンを助成


エストニア

Skypeが生まれたIT大国エストニアでも、小学校からプログラミングの授業を実施しようというプロジェクト「ProgeTiiger」が、政府からの支援を受けて科学・技術教育の普及活動を行っている団体「Tiger Leap Foundation」の手で進められています。

また、10〜19歳の子どもたちが、ロボット工学とプログラミングとモバイルアプリとWebデザインを趣味や放課後の活動として学ぶグループが全国で作られています。

エストニアが小学校にプログラミングの授業を導入――ただし言語への特化はせず
エストニアは小学校からのコンピュータ教育に次いでクラブ活動としてのプログラミング学習を大規模に支援?Microsoftが積極賛助


■韓国

韓国政府は2014年7月23日、国家経済成長のために「ソフトウエア中心社会を作る」と発表し、2015年3月の新学期から中学校の、2017年3月から小学校の正規教育課程としてソフトウエアを教えることにしました。高校では2018年3月から選択科目としてソフトウエアを教えます。韓国政府は、「スマートフォンの登場以降、ソフトウエアとサービスが商品の価値を決める時代になった」として、「子供たちがソフトウエアを理解して扱える能力を養うことで、全産業で既存産業とソフトウエアを融合した新しいアイデアが生まれるだろう」と期待しています。

「これからの時代ソフトウエアは基礎教養」、韓国の小中学校でソフトの義務教育を実施へ


■その他各国のプログラミング教育事情

上記でご紹介した国々の他にも、オーストラリアでは連邦政府の新たなカリキュラム案で8歳~13歳のプログラミング教育を必修化していたり、ニュージーランドでは2011年に高校生がプログラミング等のコンピュータサイエンスを学ぶ新カリキュラムが導入されたり、フィンランドでは2016年のカリキュラム改訂で7歳~16歳のプログラミング教育を必修化していたりしてします。

第3回ICTドリームスクール懇談 会教育・学習分野の情報化に係る国内外の動向と先進事例(P14)


■日本国内の動き

◆プログラミング教育の義務教育化について

日本での情報系学科卒業生の人口に対する割合は、他の先進国に比べて低い状態です。2013年の政府の産業競争力会議において、楽天の三木谷氏はKPI指標例として、大学の情報系学科卒業生数を2010年時点で1.6万人を2018年には3万人、日本のIT技術者数88.7万人を2015年には約200万人を掲げています。

2012年から中学校の技術家庭科で「プログラムによる計測・制御」が必修になっていますが、より義務教育段階でのIT教育が強化されると予想できます。その一方で、今の教員でプログラミングなどを教える人材をまかなえるかということが課題になりそうです。(この点についてはRubyの設計者であるまつもとゆきひろ氏も、教える側の課題を指摘しています)

第6回産業競争力会議提出資料~ITを活用したビジネスイノベーション~
文部科学省 学習指導要領の改善内容(情報教育関係)
中学校技術・家庭科技術分野における情報の学習の動向─プログラムによる計測と制御学習の必修化を受けて─
平成25年6月産業競争力会議 成長戦略の素案
「ちょっと待った!小中学校でのプログラミング教育」


◆地方ごとの取り組み

中学校でのプログラミング教育が義務化にはなったものの、授業内容に関しては各学校にゆだねられており、授業内容も各校で試行錯誤されています。23年度はアルゴリズムの学習など、プログラミング自体に焦点をあてた内容が中心でしたが、24年度でみると石川県で赤外線センサ搭載のロボットカー教材を使い、自動運転支援システムをまねてぶつからないように走行する課題設定する授業だったり、鹿児島県ではセンサつき時計を使ってエアコンをシミュレーションする課題など、単に動かすだけでなく、具体的な課題設定がなされ、それを技術で解決していくような授業内容が見られるようになってきています。しかしこれらはトップレベルの水準であり、特に地方の学校では技術化の免許を持たない臨時免許で教える免許概況員が教えている例も多いため、今後どのように教えていく人を増やしていくのかは大きな課題となっています。

佐賀県武雄市では、2014年10月から小学1年生を対象にしたプログラミング教育の実証研究が始まっています。武雄市が導入するのは、キーボードで打ち込むのではなく、タブレット端末を使い、視覚的な方法でゲームなどのソフトウエアをつくるプログラミング教育で、DeNAならびに東洋大学と共同で行い、2015年2月までの5カ月間にわたる授業を通して、「論理的思考力」や「構成などを考える想像力」、「空間や距離感を認識する力」を伸ばす観点から、児童にとってプログラミング教育が有効かどうかを調べています。

東京都三鷹市の『まちづくり三鷹』では、小中高の児童・生徒を対象にしたRubyプログラミング講座を継続して実施しており、小学生向けの講座は特に人気を集めています。

また、教育向けプログラミング環境「Scratch(スクラッチ)」のイベントには児童と保護者を合わせて約600人が参加、前年度は2日間の開催で約350人の参加人数であり、この分野への関心の高まりを示すように過去最高のイベント規模となりました。

Rubyのふるさとである松江市では松江市 中学生Ruby教室」が参加費無料で開催されています。

また、Rubyプログラミング少年団」は、Rubyを使って青少年がプログラムを作る喜びを体験するために活動しており、月1回プログラミング道場という無料のプログラミング教室を開催したりしています。

小学1年からのプログラミング教育 その方法と有効性は?
Rubyプログラミング、講座をつまらないと生徒が感じたら大失敗
教育向けプログラミング環境「スクラッチ」のイベント、600人が参加
松江市 中学生Ruby教室
Rubyプログラミング少年団


■まとめ

各国のプログラミング教育事情、いかがでしたでしょうか。

地域性もあるとは思いますが、私は日本のプログラミング教育は、先進国としてはまだまだ全体に遅れているのではないかと思います。

これだけITが普及している事を考えると、コンピューターの動作原理を知らず、ただ作られたものを使っているだけでは、今後求められるサービスを生み出していく人材になる事は出来ないでしょう。例えば手作業だと膨大にかかる作業を、コンピュータが処理する事で作業時間が劇的に少なくなるというような強烈な体験を若いうちにすることは、今後のビジネスを考える上でとても大事なことなのではないかと思います。

「教える人がいない」等の問題もあるかとは思いますが、もっと「選択科目」のような形で子供の頃からプログラミングに触れられる機会が増え、興味を持った子が自分の力をどんどん伸ばしていけるような教育環境が整えばいいと思います。


プログラミング学習に関しては、paizaでも、パイザ・ラーニングの動画学習レッスンを実施しております。

paizaには、オンラインでプログラミング学習ができるパイザ・ラーニングという無料コンテンツがございます。そちらに、この度動画で学習できるレッスンが追加されました。PHPでコーディングをするスキルが動画と演習課題で習得できます。こちらはもちろん日本語です。

f:id:paiza:20150213152613p:plain
このように、動画を見たりや補足テキストを読んだりしながら、自由にコーディングをして実行結果まで確認することができます。動画を見た後に演習課題が用意されているので理解を深めながら学習が可能です。PHP入門編:プログラミングを学ぶ』は全8回なので、全て無料でごらんいただけます。初学者向けだけでなく初中級者向けのコンテンツも用意されています。今後RubyPythonJavaJavaScript、HTML/CSSの講座も追加されるとのことですので、ぜひプログラミング学習に、教育に、お気軽にご活用いただければと思います!




paizaではITエンジニアとしてのスキルレベル測定(9言語に対応)や、プログラミング問題による学習コンテンツ(paiza Learning)を提供(こちらは21言語に対応)しています。テストの結果によりS,A,B,C,D,Eの6段階でランクが分かります。自分のプログラミングスキルを客観的に知りたいという方は是非チャレンジしてみてください。

http://paiza.jp


プログラミング入門講座|paizaラーニング

PHP入門編Ruby入門編Python入門編Java入門編JavaScript入門編C言語入門編C#入門編アルゴリズム入門編