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こんにちは、谷口です。
paizaでは、ITエンジニアの求人募集をしている企業のご相談にも乗っています。
「なかなか応募がない」といった悩みも多いですが、ベンチャー企業からの声で目につくのが「面接への応募はあるが、いい人が見つけられない」「面接でいいと思った人に逃げられてしまう」というもの。そもそも面接が面接として機能していないパターンです。
特にこれからエンジニアを増やしたいスタートアップなど、まだまだ規模が小さい企業の場合、専任の人事担当者がいるところのほうが少ないかと思います。そんななか、人事業務の経験がない社員だけで、手さぐりに採用活動を進めていくのは、かなり大変です。
そこで今回は、たくさんのエンジニア募集企業を見てきてわかった、ダメな面接をしてしまっている面接官にありがちなことをまとめました。
なかなかエンジニア採用がうまくいかない企業の方の参考になればと思います。
■ダメな面接官や企業の共通点
重要なのは、求める人物像やスキルレベルといった採用基準を明確にして、面接官全員がそれを把握しておくことです。
面接がうまくいかない企業のほとんどは、これができていません。そして、採用基準が定まっていなければ、面接を実施しても意味がありません。
下記に、採用基準が明確になっていない面接にありがちなポイントをまとめてみました。
「求人票も公開してるし、採用基準なんて決まってるよ」と思われるかもしれませんが、本当に採用基準が明確で、面接官もそれを把握できているのであれば、下記のようなことは起こらないはずです。
■採用基準が明確でなく、応募者を不安にさせる面接にありがちなこと
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◆採用基準が無駄に厳しい
これはエンジニアが中心となって面接をする場合によくあります。
面接官を務めるエンジニアにとっては、自分たちで仕事を教えたり、一緒に働いたりする相手を決めるための重要な機会です。そのため、「なるべく自分たちと同等レベルの経験やスキルのある人に来てもらいたい」「前任者と同じくらいのレベルの人がいい」「何でもできる人がいい」(※そんな人いません)と考えて、「絶対にこの業務経験がないとだめ」「このスキルもあのスキルも持っていないとだめ」などと、つい必要以上に条件を厳しくしてしまいがちなのです。
もちろん絶対に必要な条件を取り下げたり、間口を広げすぎる必要はありません。
ただ、応募者を見る目を必要以上に厳しくしてしまい、それによって採用がうまくいかないのであれば、改めて業務内容や職務範囲を明確にしていきましょう。
「具体的にどんな仕事をどこまでやってもらいたいか」が明確になれば、おのずと「絶対にないと困るスキル」「必須ではないけどあると嬉しいスキル」「特に必要ないスキル」なども明らかになってくるはずです。
◆属人性の強い面接になり評価が割れる
面接が終わってから、面接官の間で「この応募者を落とすか、通過させるか」でもめた経験はありませんか。
採用に慣れていない人たちで面接を行うと、評価が割れるケースがよくあります。この原因も、そもそも応募者を評価する軸がきちんと定まっていないところにあります。
評価軸が定まっていないと、例えば「○○さんはAの業務経験はないけど、Bのスキルがすごく高いから優秀だ」「○○さんはいくら他が優秀でもCのスキルが低いのであれば通過させたくない」といった感じで、面接官は各々の感覚で応募者を評価することになってしまいます。
ここで「○○さんはBのスキルが高いから自分は通過させるべきだと思う」「いやCのスキルが低いから落選だと思う」と個々で揉めてしまうのは非常に無駄です。
採用すべきなのは、面接官が個人的によい印象を受けた人ではなく、会社にとって必要な人材です。
「このポジションにはAの業務経験とBのスキルが必須、Cのスキルは現時点では必須ではないが、これから勉強して習得しようとする姿勢は必要…」といった感じで評価軸が明らかになっていれば、評価がブレることはほとんどないはずです。
◆企業側から職務内容の説明がうまくできない
面接は、企業が一方的に応募者を評価する場ではありません。
応募者側から「この企業が入社に値するかどうか」を評価する場でもあります。
ですから、企業は面接で「うちはこういう事業をやっているこんな会社で、あなたに入社してもらったらこのポジションでこの仕事をしてもらいたいです、周りにはこんな人たちがいます」といった感じに、会社のこと、事業内容、仕事内容をきちんと説明する必要があります。よく「応募者に聞かれたら答えるよ」と考えている面接官もいますが、応募者側からは聞きにくい内容も多いので、聞かれなくても企業側から話してください。
求人票を出している割に、やってほしい業務内容や職務範囲が明確に定まっていない企業の場合、こうした説明をするのが本当に下手です。
面接の前に「このチームでこれに関わる業務をやってほしい」など、なるべく仕事内容を明らかにして把握しておきましょう。
「業務が多岐に渡るから説明しづらい」「いろいろな仕事をやってもらうから何でもできる人がほしい」と都合よく考えている企業は非常に多いです。ただ、前述もしましたが何でもできる人なんてほとんどいませんし、いたとしても何をやらされるかよくわからない企業には入ってくれません。
◆応募者の成果ばかりを気にする
面接官初心者の場合、応募者の成果ばかりを評価対象にしてしまいがちです。
どれぐらい売り上げや利益が出たとか、どれぐらいの人数に利用されているとか、あらゆる数値がどれぐらい上がったとか……もちろん仕事をする上で、こうした成果は非常に重要です。そして、目に見えやすい指標なので、これをよりどころに評価をしてしまいがちです。
ただ、絶対的な成果は、扱うサービスやその規模、会社や部署の状態などあらゆる外的要因にも左右されるものです。運よく想定以上の成果が出る場合もありますし、逆に本人以外の原因で想定より低い成果しか出せなかったという場合もあるでしょう。
実際に面接で聞き出して評価すべきなのは、成果よりも「どんな考えを持って、どんなプロセスを経た上で、どんな結果が出たか」ということです。
特に若手のエンジニアを募集する場合、目立つ成果を上げた経験などない人がほとんどですから、こうした仕事に対する考え方や取り組み方を、面接官が率先して聞き出すことが大切なのです。
◆最初から自己PRや志望動機を聞いたり、論理的に問い詰めたりする
これは採用基準や評価軸を考える以前の問題ですが、面接に慣れていない面接官ほど、いきなり本題に入ろうとしてしまいがちです。
ほとんどの応募者は、面接に対して少なからず不安や緊張を感じています。
そんな応募者が本当の実力や自分のよいところを出せるかどうかは、面接官にかかっています。
まず「道に迷いませんでしたか?」「今日は暑いですね」といった簡単な会話から始まり、きちんと「本日はご来社いただきましてありがとうございます」「弊社の○○チームでエンジニアをしております○○と申します」といった挨拶をしましょう。
その上で、いきなり「志望動機は?」「転職理由は?」といった質問ではなく、これまでの経歴や経験など、答えやすい質問から徐々に転職に関わる部分などの核心にふれていきましょう。
特に、転職理由や志望動機、自己PRなどは面接でよく聞かれる質問ではありますが、そもそもこれまでの業務経験や、仕事に対する考え方などがあった上で繋がってくる話のはずです。
よく聞かれる質問は、とりあえず聞いておけばいいというものではありません。
こういった質問は、前提もなしにいきなり聞かれても、今までの業務経験をどこまで絡めて話したらいいのか分かりづらいですし、聞いた方にとっても把握しづらくなってしまいます。
■まとめ
前述もしましたが、採用選考というのは「企業が応募者を選考するためだけの場」ではありません。
エンジニア求人が急増している現代では、応募者が企業を選べる立場になってきました。下手な面接をしていると、普通に「この会社はやめておこう」と思われてしまい、応募者側の選考から落ちてしまいます。
逆に、たとえ人事担当者がいない小規模な企業でも、上記のようなポイントに気をつけることで、採用活動がうまくいっているところは多々あります。
「エンジニアの採用がうまくいかない……」という方は、自社の面接に当てはまるところがないか参考にしていただければと思います。
paizaでは、採用基準の定め方や面接の進め方などについてもサポートを実施しております。
「どれぐらいのスキルの人を募集したらいいかわからない……」「どんなふうに面接したらいいのかわからない……」「ちゃんとやっているつもりだけど思うようにエンジニアを採用できない……」といったご相談にものらせていただいておりますので、ぜひご活用ください。また、今後エンジニアの採用にpaizaを導入してみようかなと検討されている担当者の方は、ぜひこちらからお問い合わせください。(※既にpaizaとご契約いただいております企業様は、直接担当者へご連絡ください)
paizaは、技術を追い続けることが仕事につながり、スキルのある人がきちんと評価される場を作ることで、日本のITエンジニアの地位向上を目指したいと考えています。
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