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なぜ日本のエンジニアは地位が低いのか?その傾向と対策

f:id:paiza:20130918201254g:plain今回のpaiza開発日誌は片山がお送りします。

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Microsoftのビル・ゲイツ、Googleのラリー・ペイジ やFacebookのマーク・ザッカ―バーグなど、米国のITベンチャーの雄と言われる企業の創業者の多くは元エンジニア※1。またシリコンバレーではエンジニアの平均年収は1200万円台とも言われています。(シリコンバレー、ソフトウェア技術者の年収は二極化? 【増田 @maskin】:TecWave)
そういった米国の事例に比べると、日本のエンジニアは地位がやけに低いと思ったことはありませんか?何故そうなってしまっているのか現状把握と問題点、解決法についてまとめてみました。
※1ザッカーバーグに至っては今でもコードを書いているという話もあります(「Poke」通知サウンドの主はMark Zuckerberg、アプリのコードも書いた:TechCrunch



エンジニア出身の起業家が次々と成功している米国

シリコンバレーのWeb系スタートアップにおいて、創業者は優秀なエンジニアであるケースが多いように思われます。ためしに主要なサービスの創業者のプロフィールをあたってみたのが下記です。

【米国の主要なITベンチャーの創業者】

  • Facebook マーク・ザッカーバーグ ハーバードで計算機科学を専攻したエンジニア。
  • Google ラリー・ペイジ スタンフォード等で計算機工学を専攻したエンジニア。
  • Microsoft ビル・ゲイツ 高校時代からコンピューターに関心を持ち、プログラミングに携わる。
  • Apple スティーブ・ウォズニアック 6歳で自作キットのアマチュア無線をくみ上げており、HPでエンジニアとして働く。
  • Twitter ジャック・ドーシー 10代の頃からソフトウェア開発に携わる。
  • Dropbox アンドリュー・ヒューストン マサチューセッツ工科大学でコンピュータサイエンスの学士号取得
  • GitHub PJハイエット 14歳でプログラミングをはじめ、CNETNetworksでエンジニアとして働く。

それに比べると、日本で成功したIT系創業者でエンジニアというと、すぐに思いつくような人あまりいませんよね…。(あえて言うなら、元々プログラマーだった元ライブドアの堀江貴文さんや、mixi共同創業者の衛藤バタラさんでしょうか。)


ハイリスク・ハイリターンの投資環境がエンジニアの地位を高める

米国のソフトウェア・インターネット業界は、1970年代に創業したAppleやMicrosoftを皮切りに、新興のベンチャー企業が主導になって、急拡大してきました。また、その後に続くGoogleやFacebook など、業界に新たな起爆剤をもたらした企業も、大半が元々エンジニアだった起業家が起ち上げています。

これらのITベンチャーは、当初自己資金で起ち上げ、事業が軌道に乗り始める前後で、VC(ベンチャーキャピタル)から多額の資金を調達し、会社を加速度的に大きくしてきました。米国では年金基金のVCへの投資が許されており、ベンチャー投資1件当たりの投資額も日本8300万円に対し、米国は10億3600万と12.5倍の差があります。(2007経済産業省調査)

ベンチャーキャピタルに期待される役割は安定的な資産運用などではなく、ハイリスク・ハイリターンの資産運用スタイルのため、投資を受けるベンチャーも高いリターンを期待されるため、利益率の高い知的集約型のITビジネスが選ばれやすくなります。そうなると知的集約型ビジネスに必須の高い技術力のエンジニアのニーズも高まるため当然引っ張りだこになり、日本のそれとは比べ物にならないほど経済的にも厚遇され、社会的にも高い地位になるという事につながっていきます。(シリコンバレーはバブル気味だという話もありますが。。)


ゼネコン体質の日本

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一方日本のIT産業の場合はというと、ベンチャー投資にまわるリスクマネーの流通量も少なく、米国のような起業環境は整っていません。またソフトウェア産業は悪名高き「ITゼネコン」構造のSIerが多く、エンジニアはコスト、もしくは取替可能な部品という扱いが多いのが実情です…。

日本のソフトウェア業界は、NTTグループに電話交換機を納入していた、富士通や日立などの「元・電電ファミリー」系列や、巨大な銀行系勘定系システムにぶら下がっている大手SIベンダーが中心になって、過去業界をリードしてきました。彼らは一次請けとして、企業や行政から大規模なソフトウェア開発を受注し,実際のプログラミング作業は、二次請け・三次請けの下請け企業に丸投げしていました。これがいわゆる「IT ゼネコン」モデルです。


日本では文系エンジニアが出世する

ゼネコン構造だと下記のような事が起きます。

  • SIerで出世するのは文系エンジニア

ソフトウェア業界で出世してくタイプは、折衝ができたり、プロジェクトマネジメントができたりと、文系の“まとめられる”人。エンジニアのプログラミング力や技術の優劣はあまり評価してもらえない。

  • 「ITゼネコン」モデルは労働集約型

「ITゼネコン」モデルはのソフトウェア業界は単純な「労働集約」産業になる。元請は自分達の取り分を増やすため、いかにコストを抑えるかという発想にしかならない。結局、一番立場が弱いところにしわ寄せが来て、中小零細企業の開発現場は、「3K(キツい・給料安い・帰れない)」、「デスマーチ」と、とことん酷使される。

日本のエンジニアの働く現状の多くは、こういった状況でしょう。(web系については後述)


文系エンジニアが仕切るとどうなるか

開発の現場も、基本的に文系で技術のことはよく分かっていない人が仕切っていることが多く、

  • クリティカルなポイントを解っておらず、どんでん返しが起きる
  • なんでもエクセルで管理しようとする。エクセル方眼紙万歳
  • 目に見える画面ができると、大体ができた!と思ってしまう
  • 手動テストじゃないと納品しないと言う
  • プロジェクトが炎上すると、とにかく人数を増やす(そして余計炎上する)


などなど、末端のエンジニアはあまり大事にされないというか、涙することが多いのが現実です。

更に困るのが、技術のわからない文系エンジニアが上司になると技術力を正しく評価できなくなるという事です。最近よくエンジニアの方にヒアリングする機会も多いのですが「自分の尊敬していたエンジニアが、技術のわからない上司から評価されず去っていく。
そして自分も結果的に去ることにした」
という声を何回か聞きました。


Webビジネスの進化で、エンジニアの置かれる状況にも変化の兆し

しかし、日本でもWebビジネスの拡大で、エンジニアの取り巻く環境は大きく変わりつつあります。AWSに代表されるように、サービス立ち上げ時のハードウェア系投資コストが劇的に下がっています。またソーシャルメディアの発達により莫大な広告費をかけずともサービスを広める事も可能になっており、WEBサービスの世界では企画・営業、エンジニア、デザイナーの3人チームで、世界を変えるプロダクトをつくることも夢物語ではなくなりつつあります。ビジネスのスピード感はこの数年で劇的に変わりました。

また「リーン・スタートアップ」(著者のエリック・リース氏も元エンジニア)に代表されるように、コストや時間をかけずに、素早くプロダクトを作り、A/Bテストを繰り返す高速PDCAでより市場にフィットさせるサービスを作る方法などもできており、考えながら素早くプロダクトを作れる人が現在とても重要になってきています。今までのITゼネコンの構造の中で「エンジニアの手配師」をやってきた人達には到底太刀打ちできない世界です。つまりWeb界隈では日本でも労働集約から知的集約型へのシフトが起きています。

Webビジネスの潮流の変化としても、IT/Webがコストセンターからプロフィットセンターへ変化し、ビジネスモデルも受託モデルから自社サービスモデルへ変化し、それに伴い開発体制も外注から内製へ、ウォーターフォールからアジャイル/スクラムへと変わってきています。


まずコードを書け、話はそれからだ

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知的労働型の場合、労働集約型のように作業員を何百人、何千人集めようと、Facebookのようなサービスを生み出せるわけではありません。考えながらすぐにプロダクトとして形にできることが重要になってきます。また素早くPDCAを回し、サービス改善を高速で行うためには、作業スピードはもちろんの事、保守性や実行速度などを考慮しながら書けるかなど、のちのちの保守コストも含めた高い生産性が要求されるようになってきています。

こうなってくるとまずコードが書けることが大前提になり、そのうえでキャラクターがチームにフィットするかや、プロマネができるかなど他のスキルを見ることになります。しかし現在の日本の環境では前述のように技術力をきちんと見れるマネジメント層が少ないのが実情です。自分自身、昔いた会社で、生産性を上げるためにエンジニアのチーム作ろうとしましたが、なかなか上の人たちには理解されませんでした。手配する人がいればエンジニアは外注でよい、エンジニアなんて誰でも一緒という発想です。


実力のあるエンジニアをもっと評価しよう

簡単ではありませんが、こういった日本の状況を変えるにはエンジニアの実力をもっとわかりやすい形で可視化する必要があります。例えば生産性が1のエンジニアと20のエンジニアがいたとして、両者に同じ給料を払うべきでしょうか? どう可視化するかは色々な方法論があると思いますが、少なくともコードがどのぐらい書けるか?はベースとして重要な指標になりえると言えます。

仕事では人とのコミュニケーションは重要ではありますが、エンジニアであればまず高い技術を持ったエンジニアが評価されるようにならないと、日本のソフトウェア産業全体においても技術力は高まらず、国際競争力は失われるばかりです。


日本のIT/Webエンジニアを世界レベルに引き上げる

ここまで読んでいただいてありがとうございます、以下うちのサービスの宣伝ですw

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