Photo by Maryland GovPics
こんにちは。谷口です。
転職に興味はあるけどまだ踏み出せないでいる……というITエンジニアの皆さん、転職という一世一代の大イベント、絶対に失敗したくないですよね。
転職経験のあるITエンジニアの皆さん、現在の職場に満足していますか?
実は残念なことに、転職経験者の多くが転職先でのミスマッチを感じています。
ある調査では、転職者の半数弱が転職先に満足をしていないというデータも出ています。
今回は、転職で失敗しないために、面接で質問しておくと良いことについて考察していきたいと思います。
■悲劇!ITエンジニアの転職失敗例
転職後にミスマッチが起きてしまう原因の1つとして
「面接時の逆質問で、すべき質問ができていない」
ことが挙げられます。
2013年にNTTコムが実施したリサーチでは、転職経験のある男女のうち、転職した結果の満足度について、「とても満足している」「多少は満足している」と答えた人は、全体の半数強でした。(もとの記事はこちら)
つまり、残りの半数弱の転職者は、転職先に対して満足しきれていないということになります。多くのエネルギーとコストをかけて見つけた転職先なのに、どうしてミスマッチが起きてしまうのでしょう。
転職先に不満を感じているITエンジニア達に、具体的に何が不満なのかをヒアリングしてみたところ、次のような意見がありました。
・社内にエンジニアチームが居ると思っていたが、ほとんど外注だった。
・専門分野ではないシステムの業務まで任され、連日深夜まで残業するはめに。
・未経験分野で、求人には教育制度があると書いてあったのに、いきなり実際の業務に放り込まれた。
・前職の方が居心地もよくて、やりがいを感じながら働けていたような気がする。前の会社に戻りたい。
・給料は良いが、入社前に思っていたより個人の裁量が小さくやりがいを感じられない。給料は下がっていいのでもう一度転職したい。
・給与が仕事の割に合っていないと感じる。
実は、このようなミスマッチの原因の多くは「面接時の逆質問で聞いておけば分かったはずのこと」なのです。
では、入社後のミスマッチを起こさないために、逆質問の際は具体的にどのようなことを聞いておくと良いのでしょうか。
■転職後のミスマッチを減らすためにするといいこと
◆これを聞こう!面接時の逆質問例
転職後のミスマッチは、本来自分が会社選びで重視すべき点に対して、情報収集が不十分だったり、勝手にイメージだけで解釈したりして、情報不足のまま入社を決めてしまうことによって起こります。
これを防ぐためには、面接時に、その企業のサイトや求人だけでは分からないような情報をしっかり質問しておくことが必要となります。
採用面接ではほとんどの場合、最後に面接官から「何か質問はありますか?」と聞かれます。このとき、「自分は口下手だし、いきなり何を質問したらいいのか分からず困ってしまう……」という人も多いようですが、質問事項は事前にまとめておいて、メモとして持っていくと良いでしょう。
よく面接中にメモを出して良いものかためらってしまう人がいますが、質問事項を事前に考えているということは、それだけ熱意があるという印象になりますので、マイナス評価になる事は有りません。(質問事項を暗記しておくことに意味は有りませんし)「あらかじめお聞きしたいことをまとめて参りましたので、メモを確認させていただいてよろしいでしょうか」と一言断って確認しましょう。
具体的に、逆質問の際に聞いておくと良い質問事項は下記のようなものになります。
もちろんここに書いた全ての質問をする必要はありません。企業ごとに、自分が重視したい点や調べても分からなかったことを中心に質問してください。
◇1.その企業に求められる人材、活躍している人の特徴
「御社に求められる人物像、実際に活躍されている方々の特徴について教えてください」
これは実際にその企業で活躍している人がどんなスキルを持っていて、どんなキャラクターで、どんな人物なのかを聞いてみる事で、自分がその職場に向いているかどうかを知る事が出来ます。
「求める人物像なんて求人に書いてあるじゃん」と思うかもしれません。もちろん求人に既に書いてあるのと同じことを聞くだけでは意味がありません。(むしろ求人や企業サイトを読めばわかるようなことばかりを質問すると、「ちゃんと調べてないな」と思われて悪印象につながりますので、気をつけましょう)
例えば、「御社は先日新しいECサイトを立ち上げられたので、やはりサービス立ち上げ経験のあるエンジニアを求められているのでしょうか?」というように、企業の情報収集をして求められる人材を自分なりに分析した上で、「私なりに調べた結果、御社の業務ではこういうスキルや経験が必要だと感じたのですが、私の認識は合っていますか?」という聞き方をしてみても良いでしょう。
そしてモデルケースとして、その企業の社員の特徴を聞くと良いでしょう。これは極端な例ですが、例えば「体育会系のノリで熱い人が多いですね」と言われたら、私だったら「この企業は絶対に合わないな……」と判断します。
◇2.その企業で実際に働いているエンジニアの仕事のフロー、プロジェクトの動き
「御社のエンジニアの皆さんは、普段どのような流れで仕事を進められていますか?また、プロジェクトはどのような流れで進めることが多いのでしょうか?」
「入社したらどんな毎日を送ることになるんだろう」という具体的な入社後のイメージを描くには、実際に働いている社員や配属されるであろうプロジェクトの実例を聞くのが有効です。
もし可能であれば、という前置きをして、実際に働いている社員に話を聞かせてほしいと切り出すのも良いと思います。これは意欲の表れですから、もし断られたとしてもマイナスの印象になることはありません。その企業で働く社員と直接話をするというのは、私も新卒の就活時から中途の転職活動時に至るまで何度かやってきましたが、そこで働くイメージがわきやすくなるのでおすすめです。
◇3.職場の雰囲気、一緒に働く人のタイプ
「今回エンジニアを募集されている開発チームには、メンバーとしてどのような方がいらっしゃいますか?」
転職経験者には、前職での人間関係が原因で転職を決意したという人も少なくありません。配属されるであろう部署の雰囲気や、どんな人と一緒に働くことになるのかというのは気になりますね。
前述したように実際に社員の方と会って話をすることができたり、入社後上司になるであろう方が面接官をしていれば、それも判断材料になりますが、質問で雰囲気を聞くというのはなかなか難しいものです。
この質問において、「御社の雰囲気はどんな感じですか?」というようなざっくりした聞き方はやめましょう。全体の雰囲気を聞かれたところで、「明るいと思いますけど……」ぐらいしか答えようがありません。自分が配属されるであろう部署や開発チームにはどんな人がいますか?そのチームではどのような仕事の進め方をしていますか?というような聞き方をすると良いでしょう。
◇4.キャリアパスについて
「御社では、私と同世代のエンジニアの方(また上司に当たる方)は、これまでどのようなキャリアを積んで来られたのでしょうか?」
転職は自分のキャリアを積み上げていくための大切な一歩ですから、キャリアパスについては気になるところですね。
年次が進むとキャリアはどういう方向にシフトしていくのか、給与を上げるためにはどのようなキャリアの道があるのかということが聞けると良いでしょう。さっさとプログラムを書くのはやめて、マネジメントに徹しないと給与アップはできないような企業なのか、専門職としてプログラミングをし続けていても給与を上げる道があるのか等、実際の社員にどういうモデルケースがいるのかが聞けると有効です。
◇5.業界全体の動向をどうとらえているか
「御社は○○業界でビジネスをされていると認識しているのですが、今後の業界動向についてはどのように捉えていらっしゃいますか?」
企業が業界の動向をどうとらえているかは、今後の事業展開に表れます。そして、今後自分がどのようなシステムの開発をしていくことになるかは、企業の事業展開に左右されます。
上場企業であれば、有価証券報告書を読んでみると良いでしょう。上場していない企業でも、業界動向に関しては、自分なりに調べて分析をしてみてください。そしてできれば現場のエンジニア達が、その企業や業界動向についてどのように認識しているのかを聞けると良いでしょう。「この企業や業界には先が無い」と思っていると、どうしても濁した答えになってしまいます。
◇6.企業が現在抱えている課題、ミッション
「御社(もしくは開発チーム)が現在抱えている課題、ミッションを教えてください」
企業の課題を聞くことは、意欲のアピールにもつながります。
そして、入社した場合は自分がその課題解決に携わる可能性も高いので、その課題に興味が持てるか、また自分の力が役立てられそうかを判断する材料になります。課題解決のために自分の力が役立てられそうであれば、積極的にアピールすると良いでしょう。
「御社が開発されている○○というサービスについて、どんな課題があるとお考えでしょうか?」など、システムに絞った課題感を聞いても良いかと思います。
◇7.給与や残業時間について
これはなかなか聞きにくい質問です。
「御社では、私と同世代のエンジニアの方々の平均年収はどれくらいですか?」
「御社のこちらのシステムは最近とても人気があるので、開発されている方々は大変お忙しいと思うのですが、毎月平均どれくらい残業されているのでしょうか?」
というような聞き方をするとよいでしょう。また、「私は前職では毎月平均○時間ほど残業し、○日ほど休日出勤をしておりました。」など、自分が前職でどうだったかを前置きした上で、その企業の社員のモデルケースを聞くのが好ましいでしょう。
勤務時間関連については、前述の「その企業で実際に働いているエンジニアの仕事のフロー、プロジェクトの動き」を、1日のスケジュール単位で聞くことでもイメージがわきやすくなります。「皆さんがどんな働き方をされているのか、1日の平均タイムスケジュールを教えてください」というような聞き方をすると良いでしょう。
◆徹底比較しよう!逆質問で得た回答
逆質問で情報を得たら、「メリット・デメリット表」を作ってみましょう。
このような形のメリット・デメリット表は、ビジネスのフレームワークとしてもよく使われています。例示した図のように、その会社に自分が入ったとして良い点、悪い点(プラス面、マイナス面)を書きだすと良いでしょう。
企業の面接を受ける度にこの表に記入していくと、おのずと複数の企業の比較が容易にできるようになります。全企業に同じ質問をすると比較しやすくなりますので、面倒でも同じ質問をしてみる事をお勧めします。
また自分が重視したい項目については、上記の質問項目以外にも追加で質問すると良いでしょう。例えば、希望する開発環境を重視したいという場合は、応募した企業ごとに開発環境について詳しく聞くようにし、将来的なキャリアパスを重視したい場合は、キャリアパス制度について質問するようにしましょう。
ちなみにpaizaでは、求人に提示された必要条件と通過ランクを満たしている方は、基本的にその企業と面談ができるようになっておりますので、逆質問による情報集めや比較が大変しやすいと思います。
自分の中で、企業を選ぶ際に重視したい点というのは、転職活動の「軸」となります。
■転職活動における「軸」を持つということ
転職活動の軸がブレていると、結果として転職先とのミスマッチが起こりやすくなってしまいます。
軸とは、「この転職によって自分がどうなりたいのか」ということです。軸を立てるためには、一度転職活動を始める前に自分としっかり向き合う必要があります。
例えば、自分がどういうときにハッピーでどういうことが苦痛か等を考え、それを全部書き出してみて、改めて自分の志向や方向性を見つめなおしてみるというのも一つの手です。
こういうことをしているとハッピーだとか、こういう環境にいるのは苦痛で仕方ないとか、一見仕事に関係ないことも書き出してみると良いでしょう。そして、それをもとに自分が譲れない条件をピックアップして優先順位を付けていく事で、おのずと自分に向き合う事となります。
この軸は、人によって全く違います。開発環境、作りたいサービス、ポジション、やりがい、一緒に働く人、今後望むキャリア、勤務地、給与、雇用条件等々……求めるものや重視したいものは人によって違うので、必ず自分で、自分と向き合って考えることが必要になります。人の意見よりも自分の志向をもとに考えてください。
ただ、ほとんどの方が今後長く働き続けることを前提としての転職だと思いますので、目先のことだけではなく、「長期的な視野を持つ」ことと「自分の市場価値を高める」ことは考慮した方が良いでしょう。
この転職活動における軸があやふやなまま選考を進み、入社を決めてしまうと、入社後のミスマッチが起こりやすくなってしまいます。
例えば、本来は仕事内容やキャリアアップを重視すべきだったのに、給与の良さや残業時間、ブランド力にひかれた企業に入社してしまった人が、仕事を始めた途端に後悔する……というのは、実際非常によくあるケースです。
逆に、仕事内容ややりがいが良さそうで入社してみたけど、それは自分の中の勝手なイメージで、実際に仕事をしてみたら思ってたのと全然違った……とか、そもそも本当は給与や勤務時間の方が自分には重要だった……等のケースもあります。
いずれのケースでも、自分が本来転職によって実現すべきだったことは達成されず、転職先に対して不満を感じる結果になってしまいます。
このような結果に陥らないためにも、転職活動では自分の軸に沿った企業選びが重要になってくるのです。
■まとめ
転職活動をしている間は、不安や焦りから「なるべく長引かせたくない、早く終わらせたい」ということを考えがちです。私も転職を経験しているので、よく分かります。
しかし、よく考えずに内定が出た企業に入社して、仕事が始まってから後悔しても、後の祭りなのです。
不満を飲み込んで耐え続けますか?辛いですよね……。
それとも、また転職をしますか?再び始まった転職活動、あなたの職歴は1つ増えてしまっています。短期間で退職を決めた直前の職歴についての説明もしなければなりません……。
このような転職による悲劇を生み出さないためにも、転職活動を始める際には自分の軸をしっかり持った方が良いでしょう。
面接の場では緊張したり萎縮したりしてしまう事もあるかと思いますが、逆質問はメモを用意して臨めば、質問したいことを忘れてしまう事もありません。転職活動の軸をしっかり持ち、逆質問で有効な情報を集めていくことができれば、自然と自分に合った企業はどこなのかということが見えてくるはずです。
paizaは、技術を追い続けることが仕事につながり、スキルのある人がきちんと評価される場を作ることで、日本のITエンジニアの地位向上を目指したいと考えています。
「paiza転職」は、自分のプログラミング力が他社で通用するか(こっそり)腕試しができる、IT/Webエンジニアのための転職サービスです。プログラミングスキルチェック(コーディングのテスト)を受けて、スコアが一定基準を超えれば、書類選考なしで複数の会社へ応募ができます。
まずはスキルチェックだけ、という使い方もできます。すぐには転職を考えていない方でも、自分のプログラミングスキルを客観的に知ることができますので、興味がある方はぜひ一度ご覧ください。
また、paiza転職をご利用いただいている企業の人事担当や、paiza転職を使って転職を成功した方々へのインタビューもございます。こちらもぜひチェックしてみてください。
詳しくはこちら