Gerd AltmannによるPixabayからの画像
こんにちは。倉内です。
先日「DXとは何か」という記事を書きましたが、今回はそれを踏まえて国内外のDX成功事例をご紹介したいと思います。
すでに多くの企業がDXに取り組んでいますので、今回取り上げるものはほんの一部ではありますが、聞いたことのあるものから思いもよらない活用法までさまざまありとても参考になります。(2020年9月8日時点の情報)
「DXを推進してくれたまえ!」と言われてお困りの方は具体例を見ることで何かヒントがあるかもしれません。
なお、paiza転職ではDX推進をはじめとしたIT戦略に携われる求人も公開していますので興味がある方は覗いてみてください。
海外DX成功事例5選
Uber:DX代表例!配車サービスでタクシー業界を変革
DXの成功事例として、必ずと言っていいほど取り上げられるのが米ウーバー・テクノロジーズが運営する配車サービス「Uber」です。
アプリを使って「時間と自家用車が空いている一般ドライバー」と「車で移動したい人」をマッチングするサービスで、世界のタクシー業界に衝撃を与えました。
GPSでユーザーの位置情報を把握し、車の到着時間も伝えてくれる点が便利で、また顧客と運転手が互いに評価をする「相互評価」を実施しています。
このようなサービス形態なのでUberの事業内容は「配車プラットフォーム」と呼ばれ、Uber自体は車を1台も所有していないのも通常のタクシー会社とは大きく異なる点です。
日本では一般ドライバーの自家用車での運送サービスは法律に違反するため、Uberのサービスは提供されていないのですが、「Uber Eats」はコロナ禍で利用する人が激増し日本でも重宝されていますよね。
WeWork:ICTを駆使した空間設計 従来の不動産業の脅威に
WeWorkはもとは起業家向けのコワーキングスペースを提供する米国のベンチャー企業で、現在はオフィスシェアサービスがよく知られていると思います。
建物だけでなくインテリアやインフラ設備含め、すべてをサービスとして提供する点が従来の不動産業とは異なっており、スタートアップやベンチャーでは手を出せない都心のオフィスを安価で利用できる点が注目されました。
WeWorkがDX事例として取り上げられる理由は2つあります。1つ目は、オフィスの設計過程にICTを駆使しているからです。3Dレーザーでビルごとスキャンして、WeWorkの他のオフィスのデータに基づき利用者にとって最も「使える」空間をデザインしています。
2つ目は、利用会員向けに提供されているアプリで会議室の予約や来客者の登録ができるだけでなく、「プログラマがひとり必要です」といった呼びかけにタイムリーに多くの反応があるなどSNS的な使い方もできることです。
(参考)WeWorkが提供するコワーキングスペース、「不動産×ICT」ビジネスの可能性 | 日経クロステック(xTECH)
Spotify:音楽を月額制で聞く!?これまでの常識を覆す発想
今では当たり前の音楽のサブスクリプションサービスですが、登場時はCDやデジタル音源を購入して聞くことが主流だった音楽業界を激震させました。
Spotifyはスウェーデンの企業で、日本では2016年9月にサービス提供を開始しました。視聴履歴に基づいたおすすめの未視聴曲でプレイリストを自動作成したり、ボーカルの音量を下げて一緒に歌ったりできるなど、IT技術を活用した機能が多く備わっています。
当時は音楽業界から拒否反応も大きかったサブスクですが、ここ最近サブスク解禁をするアーティストが続いており、今や音楽業界の牽引役とも言われています。
Netflix:業界トップシェア!DVDレンタルから動画配信へ
こちらも今や当たり前の動画配信サービス。月額制で利用できるものはNetflix以外にもいくつもありますが、オリジナル作品の人気も高く2020年2月時点の調査では業界トップシェアとなりました。(出典)
NetflixはもともとオンラインでのDVDレンタルサービスを事業としていた会社で、実はレンタルサービスのころに定額制サービスを開始していました。月額制で本数制限なしにDVDをレンタルできるのは、当時非常に画期的なアイデアだったと言われています。
コア事業をストリーミング配信サービスに移行したのは2007年。順調に利用ユーザー数を増やしてきたNetflixは、既存ビジネス(業界のスタンダードなやり方)を4回崩壊させたと言われています。
24 Hour Fitness:アプリを使ったパーソナルトレーニング
24 Hour Fitnessは、米国の大手フィットネスクラブ運営企業で、2017年時点で会員は400万人、420を超えるジムを保有していました。
当初パーソナルトレーナーの利用は会員の約3%程度と低く、多くの会員がパーソナルなコミュニケーションが持てていなかったといいます。
それを改善するため、2016年ごろからアプリを通して会員ひとりひとりにパーソナルトレーニングのガイダンスを提供しました。
結果的にアプリの利用者はロイヤリティが高くなるという傾向があったとのことです。(出典)
(なお、現在はコロナの影響で多くのジムが閉鎖されてしまったそうです…)
国内DX成功事例5選
メルカリ:徹底したCXの追求!フリマアプリ利用率No.1
CXとはカスタマーエクスペリエンス(顧客体験)の略称で、メルカリでは膨大な商品データとAIの組み合わせで「AI出品機能」や「写真検索機能」を提供しユーザーのサービス利用体験向上を実現しています。
フリマアプリの中では後発ながら、スマホでの使い勝手のよさや手軽に出品・購入できることなどから特に若い層に高い人気を誇っています。
2019年にはAIを活用したサービス開発と業務改善が評価され、経済産業省の「IT経営注目企業2019」に選ばれました。
ソニー損保:AIの判定で保険料をキャッシュバック!?
ソニー損保の自動車保険に、AIが安全運転(≒事故リスクが低いドライバーの運転)だと判断したら保険料が最大30%キャッシュバックされるサービスがあります。
判定には専用のスマホアプリとクラウド上に置かれた独自のAIアルゴリズムを用い、アプリでエンジンのオン・オフに連動して運転を自動で計測する仕組みになっているそうです。
事故リスクの推定は、「計測された全運転特性データを集約し、ソニー損保が保有する事故データと関連づけて作成した予測モデルによって算出される」とのことで非常に先進的な取り組みとなっています。
ベネッセコーポレーション:ニーズに合わせ紙から脱却
教育分野でもIT化は必須の課題となっており、ベネッセでは2018年にタブレット学習を導入しました。
皆さんも聞いたことのある「赤ペン先生」など、もともとは紙での通信教育システムを提供していましたが、だんだん紙では市場のニーズに応えにくいと感じるようになったそうです。
そこでタブレットを活用した「チャレンジタッチ」を導入し、2018年4月時点で小学講座の会員120万人の4割にあたる会員が「チャレンジタッチ」を利用していました。
2020年現在も「チャレンジタッチ」はニーズに合わせて新機能の追加を続けています。(プログラミングを学べる講座もあるようです)
三井住友銀行:「顧客の声」を分析し満足度向上に生かす
金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせて商品やサービスを生み出すことを「Fintech」という造語で表します。
それほど金融の分野ではIT化、もっと言えばDX化が欠かせなくなっており各社のDX戦略はビジネスそのものを左右する重要課題となっています。
その中で三井住友銀行が実施したのは、ユーザーから寄せられた年間35,000件もの膨大な意見を活用するためのAIシステムの構築です。
AIでテキストを分類する部分は、NECが独自開発した「テキスト含意認識技術」をベースに、テキストマイニングをすることで寄せられた意見の内容の要約と分類を自動化したそうです。
データはDBに蓄積しているだけではあまり意味がなく、このようにデータを分析・活用できるかが成功の鍵となってきます。
Cure App:国内初「ニコチン依存治療アプリ」が薬事承認
現代の日本において、医療分野が抱える課題を解決する鍵となるのがDXだと言われています。
医療分野でもさまざまなDX事例がありますが、なかでもCure Appが提供する「ニコチン依存治療アプリ」が2020年6月に国内で承認され注目されました。
禁煙外来では従来、治療の過程に医療者が介入することが難しく患者が孤独な戦いを強いられる状況にありました。それをIT技術で解決すべくアプリ開発に至り、患者を適切にサポートできるようになったとのことです。
DX化に成功している企業の特徴
ここまで事例を見てきましたが、これらのDX化に成功している企業にはどんな特徴があるのでしょうか?
DX化の3ステップで段階的に実施
デジタルパッチ
デジタルツールを部分適用し、一部施策の立案・実行をおこなう段階。
まずは、活用予定のテクノロジーで「できること」を洗い出して、将来を見据えた実行計画を立てる必要があります。
デジタルインテグレーション
先進技術を先行活用することで、リアルタイムに近いデータ分析・活用をおこないます。
デジタル化リソースをコア事業へ適切に投資するための見極めが必要です。単なる業務改善ではなく、「再構築」することが成功への鍵と言われています。
デジタルトランスフォーメーション
DXのロードマップ化とそれを実行し、組織全体を「再構築」します。ネットとリアルのデータ統合、リアルタイム分析をおこないます。
アジャイル型の進め方を最大限発揮して、新しいビジネスモデルへの転換をトライ・アンド・エラーで進めていく必要があります。
成功企業の5つの共通点
少し古い記事になりますが、マッキンゼー・アンド・カンパニー社の調査によりますと、DX成功の鍵は21あるといい(結構多いですね…)それらを5つのカテゴリに分類しています。
その5つを見てみると、DX成功企業の特徴になります。
- デジタルに精通したリーダーを各部署に適切に配置している
- 個人の役割と責任を再定義し、組織の未来のための能力構築ができている
- 新しい働き方を推進し、デジタル化による従業員の生産性を向上させる
- 業務で使うツールをデジタル化しアップグレードし続ける
- 従業員になぜDXが重要なのか・組織はどこに向かっているのかを伝え段階的に変革を進めている
(参考)The keys to a successful digital transformation | McKinsey
成功事例として紹介した企業は、いずれも従来のやり方に固執せず変革に取り組んだ企業であると言えそうです。
まとめ
国内外のDX成功事例と、成功している企業の特徴についてお伝えしてきました。
企業のビジネス戦略にはIT技術の活用は欠かせず、ITエンジニアもそういった視点を持つことが今後ますます大切になってきます。
しかし、いくら自身がそういった視点を持っていても経営層をはじめ組織全体がレガシーから脱却できず、時代の流れについていけない場合はいくら技術力があっても生かすことができません。
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