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理系の就活が一変?大学推薦枠廃止が学生に与える影響と対策

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Aksel LianによるPixabayからの画像

f:id:paiza:20180910132940p:plainこんにちは。倉内です。

先日、トヨタが22卒の新卒採用から技術系の大学・大学院の推薦枠を廃止し、自由応募に統一することが明らかになりました。

r.nikkei.com

paizaを利用してくださる学生は理系の方が多いので、少なからず皆さんに衝撃を与えたのではないでしょうか。

自分自身も工学部出身で、自動車業界は受けていないとはいえ、推薦枠を利用した経験もあるため(ご存知のとおり必ず受かるというわけではないのですが…)このニュースはショックな部分もありました。

そこで今回は、この動きが理系学生に与える影響と、その中でも苦戦せずに就活を乗り越えるには何をすべきかについてお伝えしていきたいと思います。

トヨタの推薦枠廃止は何を意味するのか

まずはトヨタの推薦枠廃止について、企業の狙いとそれが他の企業に与える影響、そして学生が受ける影響について整理しておきましょう。

企業側の狙い

多様な人材の確保

ニュース記事にも出ていますが、大きな狙いのひとつに「分野を問わずこれまで以上に幅広い人材を確保する」という目的があるようです。

推薦枠での採用はどうしても特定の大学や研究室から一定数採用するといった慣例ができており、偏りが生まれる場合があります。

実際トヨタでは以下のような状況だったとのことです。

トヨタでは今年四月に採用した千二百人(高卒含む)のうち、三割が大学・大学院を卒業・修了した技術系で、大半が推薦枠での採用だった。

(出典)中日新聞「トヨタが大学推薦枠廃止 22年卒から

もちろん特定分野を専門的に学んだ学生を安定して採用できるメリットはあります。しかし、現代のように新しい技術をどんどんビジネスに取り入れていく必要がある環境では、それ以上に多様な人材を確保して未知なる分野を開拓していかなければなりません。

採用基準や選考方法の改革

推薦の扱いは企業によって、また推薦の種類*1によって、選考に与える影響が異なります。

そのため推薦でも書類選考が免除になるだけのものもあれば、ほとんど大学受験の学校指定推薦のように確約に近いものもあります。

どちらにしても企業側としては採用基準に満たない学生も一部選考を免除したり、内定の約束をしたりしなければならないリスクがあります。

トヨタは今が「業界の変革期である」と考えており、今後は選考でより自社の求めるスキルや知識を持った応募者を見極めるために選考方法を検討すると述べています。

今後他の企業もつづく可能性が高い

おそらく、推薦枠廃止はトヨタだけに限った話ではないと思います。

すでに前述のような考えを持っている企業もあるでしょうし、業界を牽引する企業の動きに追従する可能性は十分あります。

ただし、推薦と違い自由応募の応募者は内定辞退も十分考えられるため、企業側にメリットばかりとは言えません。

トヨタのように知名度も高く、学生が多く集まる企業は別にして、推薦枠の廃止を慎重に見極める企業も多いでしょう。ただし、大きな流れとして全体の推薦枠は減っていくことが予想されます。

学生が受ける影響

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就活に時間を取られる

理系の学科は、比較的必修科目の単位取得の難易度が高かったり、研究や学会発表などに時間を多く割いたりと大変な面があります。(文系がそうではないと言っているわけではありません)

特に院生には、就活はできれば推薦枠を活用して短期間で済ませたいという人もいるのではないでしょうか。

しかし推薦枠が廃止となると、一般的な就活と同じステップを踏む必要があり、これまで免除が多かった書類選考や集団面接・GDからクリアしていかなければなりません。

もちろん一部免除になったあとは自由応募と同じ選考方法・基準の企業もあるので一概には言えないものの、これまで先輩たちが容易に入社していった企業でも、入社が難しくなる可能性があります。

成績や研究成果だけでは勝負できない

冒頭に書いたように私自身理系の学科にいたので、話すのが多少苦手でも学業や研究に一生懸命取り組み成果を出す人が多かった覚えがあります。

そういった人たちは推薦を使って就活を乗り切ることができていましたが今後は難しくなるでしょう。

転職ではすでに見られますが、技術職でも面接でコミュニケーション力が重視される傾向にあります。

理系の学科を選ぶのは、自分の興味や将来の夢をかなえるためとはいえ、「推薦がなくなって、ただでさえ大変な理系学科に入る意味ってなんだろう?」と考えてしまう人もいるかもしれません。

リクルーター制度が代替となる?

実はリクルーター制度がある限り、推薦枠が廃止されても大きくは変わらないのではという見方もあります。

リクルーター経験があるので少し思い出してみると、面談した学生の印象や評価ポイントなどは人事に共有していましたし、「この子はこういう考え方で、やりたいことがうちと合っていると思う」というような内容を伝えることもありました。

推薦が学校側からのお墨付きだとすれば、リクルーター制度は若手社員のお墨付きなので自社へのマッチ度は高いはずです。

リクルーターがついた学生は自由応募の学生と選考ルートが異なることも多いため、今後はもしかしたらリクルーター制度が近い役割になるかもしれません。

推薦枠廃止で就活に苦戦する人とは

ここまで述べてきた内容から、「勉強や研究を頑張っても意味がないのか」と思われた方がいるかもしれませんが、そういうことではありません。

お伝えしたいのは、それを選考でどうアピールできるかにまで気を配らなければ就活で苦戦してしまう可能性があるということです。

これまでは推薦という形で、教授や学校側が企業に向けて「この人であれば問題ないですよ」と保証していました。それを今度は自分自身で証明する必要があります。

どれだけ知識やスキル、研究の成果や学会発表の経験があったとしても面接の場で正しく伝えることができなければ、企業にとってはないものと同じになってしまいます。それは非常にもったいないです。

伝えるというのは何も話すだけに限ってはいません。目に見える成果物として、ポートフォリオなどを作成するというのもひとつの方法です。

また、これは理系に限らずですが、他者との比較ではなく、自分の「強み」を正確に把握することを意識しましょう。

business.nikkei.com

就活を乗り越えるためにどうすればよいか

前述の成果物を作ることも含め、今できることを具体的にお伝えします。

客観的に評価してもらうためのアウトプットをする

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エントリーシートや履歴書の文章、もしくは面接で口頭でアピールすることも大切ですが、見える形でアウトプットすることも有効です。

理系と言ってもさまざまなので一例にはなりますが、ITエンジニアを目指している方は、開発したサービスやアプリをポートフォリオにまとめてみましょう。

ポートフォリオの作り方は以下の動画講座(無料)が参考になります。

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もし「授業ではコードを書いているけど、自分で何かを作ったことはない」という方は、ぜひオリジナルのものを作ってみてください。難しいものでなくても、自分で考えたものを作る過程で得られることはたくさんあります。

paizaラーニングには、Webアプリ開発が実践的に学べる講座も充実しています。いずれもブラウザ上でコードを書きながら進めていけるので環境構築などは不要です。


正しくアピールするための面接対策をしっかりする

さきほどアウトプットすることをおすすめしましたが、なぜそれを作ろうと思ったか、なぜその技術や言語を使おうと思ったか、開発時に苦労したことは何か…といったことを面接で話せるようにしておくとよいでしょう。

技術職の面接は多くの場合現役のその職(もしくはその上位職種)に就いている社員が出てくるはずです。

そこでしっかり自分がやってきたこと、そしてこれからやりたいことを伝えることで、評価につながるだけでなく企業とのミスマッチも防げます。

面接対策はWeb上や書籍でもたくさん情報を得られますが、技術職はその職種に特化した対策というものがあります。

ITエンジニアについては、「就活成功ガイド」にまとめていますのでぜひごらんください。具体的な失敗事例から学ぶ面接対策を掲載しています。

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業界研究・企業研究に手を抜かない

専攻と直結するような業界でも企業というのは本当に数多く存在するので、学生のうちにはまったく知ることがない優良企業も多数あります。

研究室つながりで卒業した先輩方から話を聞く機会もあるかもしれませんが、自分自身で幅広く調べて本当に興味を持てる企業を見つけることも就活の重要なステップのひとつです。

paiza新卒はITエンジニアを目指す学生に特化した就活サービスです。求人票には、メインとなる言語やフレームワーク、開発環境やチームについての情報などITエンジニアならではの内容が記載されています。

paiza新卒

また、IT業界には、自社開発企業と受託開発企業があるという知識はあっても、それぞれのよい点や気をつけたほうがよい点、扱っているサービスの特徴、ビジネスモデルなどはぼんやりしている方も多いのではないでしょうか。

「まだ就活についてあんまり考えたくないな…」という方もまずは業界について調べてみると思わぬ興味を引く仕事内容や企業があるかもしれません。


まとめ

トヨタの推薦枠廃止のニュースから、理系学生がこれからどうするとよいかについて考えてきました。

推薦枠がある企業は限られており、多くの学生が自由応募で就活をします。それでも理系学生にとっては、そのさきにあるほか企業への広がりも含め無関係ではないでしょう。

残業削減などの働き方改革や成果主義、そしてコロナウイルスといったビジネスの根幹から変革を求められるような社会情勢の変化は、すでに社会人として働いている人だけに関係するわけではありません。

しかし学業や研究に懸命に取り組んだ事実は決して将来の自分を裏切りません。

自身の強みを知ること、そして取り組んできたことを正しく伝えること、将来やりたいことへの熱意を持つことを頭におき、準備をしっかりして就活に臨みましょう。


paizaでは、企業の採用担当者や新入社員の方に聞いたインタビュー記事も公開しています。「企業は応募者のどこを見ているのか」「どんな応募者を求めているのか」「先輩社員はどんな就活をしていたのか」「なぜその企業に決めたのか」といったことを聞いていますので、参考にしてみてください。

paiza新卒のインタビュー記事はこちら




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*1:公式に名称があるわけではないですが、「学校推薦」「学科推薦」「教授推薦」などに分かれている場合があります。

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