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海外で働くエンジニアって大変?現地で活躍する日本人に聞いてみた

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こんにちは。ノマドワーカーの中谷よしふみ(@ramen4423)です。
2014年からアジアを移動しながら仕事をしています。

海外に出るまでは日本以外で働くことがイメージできませんでしたが、一旦出てしまうと思ってたほど特別なことではなかったです。でも、海外で働いた経験がない人は、スキルは通用するのか、英語はどの程度できればいいのかなど、いろいろ不安があると思います。(僕も昔はそうでした)

今回は実際に海外で働く日本人エンジニアがふだんどうやって仕事をしているのか、どういうことを考えているのかを紹介させていただきたいと思います。

今回お話を聞いたのは、平井真哉さんです。バスケットボールをずっとやっている体育会系の26歳。まったくのプログラミング初心者からエンジニアになり、現在セブ島にあるNexSeed(ネクシード)という会社で日本人にITを教えています。

■最初はMacの使い方もわからなかった

――平井さんがエンジニアになろうと思ったきっかけはなんだったんですか?

就職活動を始めたとき、最初は進路を全然考えていなかったんです。ずっとバスケットボールをやっていて大学もスポーツ推薦で入ったから、勉強したことがなかったんですよね。だから「どんな仕事でも決まればそれでいいや」くらいに思っていたんです。ところが、祖父にものすごく怒られた。「これから40年の人生をそんな簡単に決めるな!」と言われて。そこから何をするか真剣に考え始めました。

もともとゲームが好きだったので、それを作れるエンジニアに興味を持ったんです。調べてみると、僕と同い年のブログラマーがめちゃくちゃ稼いでいて、「カッコええ」と思いましたね。そこから肉体労働のバイトを10日間して、10万稼いで、Macを買いました。最初はMacの使い方も全然分からなかったです。エンジニアはレベルが高くて大変だなと思い、簡単そうなHTMLやCSSから覚えました。父親がやっていた事業のホームページを作ったりもしましたね。そうこうしているうちに、これを仕事にして稼いでいきたいと思うようになったんです。

――その後も独学で勉強していたんですか?

Railsを触ったり、Python 、Rubyをやったりしてました。でも、独学だとなかなか進まなかったですね。関数も覚えて、変数を使って計算もできるんですけど、どうやったらログイン画面ができるかわからなかったし、どうやったらFacebookが作れるかもさっぱり分かりませんでした(笑)。独学では限界があると感じましたね。そこで、まずは学ぶ環境を手に入れようと思って、Wantedlyに載ってる社長のメールアドレスに片っ端からメールしたんです。20通くらい送りましたね。

もちろんほとんどは返信がありませんでしたが、1社が「無給でいいなら、1ヶ月トレーニングしてあげる」と返信をくれたんです。それでその会社で勉強していたら、社長さんが新宿の出版社のエンジニア職を紹介してくれて。そこからエンジニアとしてのキャリアをスタートさせました。

――紆余曲折を経て就職した念願のエンジニア職。充実した日々だったと思います。なぜ今度はフィリピンで働こうと思うようになったのですか?

エンジニアの仕事をしていて、これからもこれでやっていこうとは決めていました。ただ、スキルが伸びてきて、わりといい待遇にもなったところで、エンジニアとして次に進むために英語が必要だと思ったんです。英語は赤点しか取ったことない苦手教科だったので、英語を学びに海外に行きたいなと思っていました。

それで飛行機のチケットを探していたんですが、ちょうどそのときに知り合いから「海外に行きたいエンジニアのインターンを探してるけどどう?」って連絡がきたんです。「俺のことだ!」と思いましたね。それで応募したのがNexSeedでした。最初は3ヶ月無給のインターンだったんですが、生活費は出してくれると言われたので、いい経験だと思って行きました。

■海外で働いて苦労するのは言語の壁と美容院探し?

――実際に海外で働いてみて、言語の壁はどうでしたか?

初めて来たときは、「How are you?」も分からないレベルで(笑)。最初の頃はインターン先の企業が毎日英語の授業を受けさせてくれたので、何とか2ヶ月ぐらいで普通に生活していけるレベルの英語力はついたと思います。得意ではないですが、コミュニケーションは好きなので、物怖じせずに話すことで何とかなっている感じです。

仕事で英語力がどれくらい必要かは、体制にもよりますね。たとえば、オフショアにおけるラボ型開発だと、日本人とフィリピン人の上位エンジニアがいて、フィリピン人の上位エンジニアの下には、フィリピン人のプログラマーが何人かいる…みたいな体制なんです。

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日本人とフィリピン人の上位エンジニアの間には、コミュニケーターという職種の方がいて通訳をしてくれます。フィリピンだと人件費が安いのでコミュニケーターを入れる体制でもいいと思います。ただ、やっぱり自分でも多少は英語がしゃべれたほうがいいでしょうね。案件によっては英語がマストな場合もありますし。

――言語の壁以外に海外で働いていて苦労したことはありますか?

英語以外はあんまり苦労と感じたことがないんですよ。海外で働くことを楽しんでいるところがあるので。

あえて苦労したことがあるとすれば、環境や文化の違う国でゼロから事業を作っていくことはけっこう苦労しましたね。フィリピンで新しい事業を立ち上げるだけでも緊張するのに、さらに日本のお客さんに来てもらう事業だったので、初めはどうなるかな、とかなりドキドキしていました。

それと、英語つながりではありますが、どこの美容院を試しても思い通りにキマる髪型にならないんですよね。まず美容院探しから苦労します。でも、90ペソ(約200円)でセットできるって魅力的すぎます(笑)。

■海外で働くのが向いているエンジニアってどんな人?

――海外で働くことにあこがれるエンジニアや、会社の都合で海外赴任になるエンジニアの方もいます。彼らが海外で働く際に必要なことをあげるとすれば、何だと思いますか?

日本人はコストが高いので、やはり英語がしゃべれないと、フィリピンに来ても使えないヤツだなって思われるでしょうね。開発能力が高いだけだと重宝されない気がします。プラスアルファが必要でしょうね。僕だったら、動きまくることや立ち上げるスキルで差別化しています。

あと、日本人がセブで働くならマネジメントスキルがあったほうがいいですね。日本人は管理が得意と思われているので、マネジメント能力を期待されます。

――海外で働くにあたって、資質としてどういう人が向いていると思いますか?

フットワークが軽い人やどんな環境でも柔軟に対応できる人ですかね。

あとは、問題があったとして、自発的に解決に向けてトライできる人も向いていると思います。発展途上の国では、生活している中でも問題が多々起きますからね。そもそもエンジニアの仕事自体、新しい情報などを入手しつつトライしていく仕事なので、自発的に前向きに楽しんで解決しようというマインドを持っている人が海外で働けるエンジニアかな、と僕は思います。

そしていろいろな国の方と仕事をする場面もたくさんあるので、その国々の文化や考え方に合わせつつ仕事をしていく必要があります。特にチーム開発などがそうですね。開発チームに海外の方が混ざっていたりすると、コミュニケーションツールの言葉だけじゃなく考え方の意思疎通も大変です。NexSeedでも地元の大学生をOJTとして迎え入れています。一緒に開発するときは、フィリピンの文化や考え方なども考慮して一緒に仕事していますね。

最後に、小さいことを気にしないことですね。アジアはザックリしてるので。

――ザックリしているのにシステムを作って大丈夫なんですか?(笑)

確かにそれは大変です(笑)。オフショア開発でみんなが困っているのは、フィリピン人がザックリしているからです。すごく雑なクオリティで提出してくることもあります。だから、マネジメント能力が必要なんです。そしてその国の国民性を理解するのもすごく大事です。

■気になるお金の話。海外で働くと儲かるの?

――海外で働いて、よかったと思うことは何ですか? 逆に悪かったと思うことはありますか?

よかったのは、友達がめちゃくちゃ増えたことですね。英語が話せると外国人ともつながることができますから。セブで起業しているフィリピン人の友達とも話せて、すごく楽しいですよ。

悪いことがあるとすれば、実家の家族と気軽に会えなくなってしまったことですね。仲がいいので家族との時間が減ってしまったのは少し寂しいですね。

――セブ島と日本だと生活水準はどっちが高いんでしょう?

同じですね。日本では起業もしていたので収入は当時のほうが多かったんですが、セブのほうが生活費が安いですから。いつでもタクシーに乗れますし、趣味にも時間やお金を使えます。

――今は趣味に時間が使えるんですね。

使えるようになりましたね。昔は休みという概念はなかったですけど、今は休めるようになってきました。筋トレが好きでよくスポーツジムに行っています。バスケもセブでやってて、フィリピン人のチームに所属してます。僕は190cmあるんですけど、チーム内でも平均身長以上です。バスケは日本でやるよりフィリピンでやるほうが活躍できますね。

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――少し戻ってお金の質問です。日本と海外でどっちが稼ぎやすいと思いますか?

どうなんだろう。仕事を取りやすいのはセブで、お金を生みやすいのは日本だと思います。日本のほうがお金は生みやすいと思います。どんな案件をするかにもよりますけどね。

■一度は帰国するも…自分にはセブ島のほうが合っていた

――今後のキャリアプランはどのように考えていますか?

まだ海外でのキャリアが浅いので、今はまだ基盤を作っているところです。僕よりスキルがあって、日本で価値を出しているエンジニアはたくさんいると思います。でも、僕のほうがスキルが低かったとしても、一歩進んでいるという自負があります。

自分が天才じゃないのはもう分かっているんです。これからはより早く成長するために、コミュニケーション能力を活かしてマネジメント能力を磨いたり、海外に出ていろんな人と仕事したり、自分にしかできないことを磨いていこうと思っています。今はマネジメント能力を伸ばそうと考えていて、そういうキャリア設計にしていっています。

――ずっとセブ島で仕事をしているわけではなく、一時期日本に戻っていたそうですね?

一度、仕事を辞めて日本の大学にも戻ったのですが、「今の自分がここにいる意味あるのかな?」と思ってしまって…。その後、大学を辞めて東京で起業をしたのですが、やっぱりセブ島の生活の方が刺激的で楽しかったんですよね。気候も暖かくて住みやすいし、英語ももっと学びたかったし、自分に合っているんだと思います。

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戻ってきてからは2年くらいずっと、エンジニアの教育事業に携わっています。Macを買って1週間みたいな生徒もいます。未経験の方でも3か月ちゃんと勉強すればエンジニアになれますよ。

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※paizaではエンジニアのスキルを可視化するために「スキルチェック」を実施しています。獲得したランクは転職活動時にスキルの証明となり、企業側が求めるランクを満たしていれば書類選考なしで応募できます。

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エンジニアとして海外で働くことはメリットとデメリットがありますし、あう・あわないがあります。みんなにオススメしたいわけではないですが、1つの選択肢としてもっと一般的になってほしいと思います。海外で働いてみたいと思っている方は参考にしてください。

paizaでも、海外の案件をいくつか扱っています。興味のある方はぜひ探してみてください。

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