こんにちは、吉岡([twitter:@yoshiokatsuneo])です。
PaizaCloud Cloud IDEはブラウザ上で動き、デスクトップOS(Windows, Mac)のように使えるLinux環境で、簡単・手軽にWeb開発などができます。
クラウド上で動くので、手元で面倒な開発環境を設定する必要はなく、いつでもどこでも、すぐに開発できます。
PaizaCloudでは、ブラウザ上だけで操作できるように、ファイル管理、テキストファイル編集、ターミナル、ブラウザ(ブラウザの中で動くブラウザ)…などといったツールを利用できます。
これだけでも十分に使えるツールがそろっていますが、パソコンやスマートフォンのように、さらに自分が使いたい他のツールも追加することができれば、もっと便利ですよね。
そこで、PaizaCloudでは、PaizaCloud拡張アプリがインストールできるようになっています。
PaizaCloud拡張アプリをインストールすれば、自分の好きなツールを追加して機能を拡張できるんですよ。自分で好みのPaizaCloud拡張アプリを作ることもできますし、他の人が作ったものを追加することもできます。作ったアプリを友達など、他の人に使ってもらえるとさらに楽しそうですね。
PaizaCloud拡張アプリは、Webページと同じく、HTMLとJavaScriptだけで簡単に作れるようになっています。
今回は、実際に簡単なお絵かきアプリを例にして、PaizaCloud拡張アプリを作ってみましょう!
PaizaCloud Cloud IDEを使う
それでは、始めていきましょう。まずは、PaizaCloudにログインします。
PaizaCloud Cloud IDEのサイトはこちらです。
メールアドレスなどを入力して登録すると、登録確認メールが送られてきます。GitHubやGoogle(Gmail)ログインを利用すると、ボタン一つで登録することもできます。
サーバを作る
ログインできたら、サーバを作ります。
「新規サーバ作成」ボタンを押して、サーバ作成画面を開きます。
ここでは、特に何も変更せずに、もう一度「新規サーバ作成」ボタンを押します。
3秒程度で、開発環境がブラウザ上にできあがります。
標準ツール(ファイル編集ツール)の使い方
PaizaCloud拡張アプリの前に、まずは標準ツールを見てみましょう。
画面左側のアイコンボタンが標準ツールです。一番上の「新規ファイル」で、テキストファイル編集ツールが起動します。アイコンをクリックしてください。
ファイル名を入力する画面が出てくるので、ファイル名を指定して、「作成」ボタンを押します。
テキストファイル編集ツールが起動して、ファイルを編集できるようになります。作成できたら、何か書いてみましょう。
書けたら「保存」ボタンを押すか、「Ctrl-S」や「Command-S」キーを押して、ファイルを保存します。
このように、ファイル編集ツールでは、テキストファイルの読み込み、編集、保存ができるようになっています。
他にも、ターミナル、ブラウザ、デスクトップに表示されているファイル管理ツールなども利用できますので、試してみてください。
PaizaCloud拡張アプリのインストール
標準ツールに慣れたら、PaizaCloud拡張アプリを見てみましょう。
PaizaCloud拡張アプリは、画面左側のアイコンボタンの一番下にある、PaizaCloudのロゴと"Apps"と書かれたアイコンをクリックしてインストールします。
アイコンをクリックしてみましょう。PaizaCloud拡張アプリのインストール画面が表示されました。
「インストールするPaizaCloudアプリを選択」でアプリを選び、インストールボタンを押すと、拡張アプリをインストールできるようになっています。
インストールしたアプリは、アイコン一覧に追加されます。
今回はPaizaCloud拡張アプリを作りますので、「PaizaCloudアプリを作成」ボタンを押します。
PaizaCloud拡張アプリ作成画面
PaizaCloud拡張アプリ作成画面が表示されました。
まずは、アプリケーションの名前を入力してみましょう。アイコンや、アプリの説明、関連づける拡張子なども指定できます。
画面下のテキスト編集部分で、HTML、JavaScriptを使ってアプリを作っていきます。簡単なテキストエディタのテンプレートが表示されていますので、これを書き換えて作っていきましょう。
PaizaCloud拡張アプリの作成
まずは、何も変更せずに保存(Save)ボタンを押して保存してみましょう。画面の真ん中あたりで、拡張アプリのプレビューが表示されます。
このプレビューを見ながらHTML、JavaScriptなどを書いていきます。(External URLをチェックして、外部のサイトを指定することもできます)
次に、タイトルなどを変更して保存(Save)ボタンを押してみます。すると、変更した内容が、すぐにプレビューに反映されます。
PaizaCloud拡張アプリのJavaScript API
HTML、CSSだけではPaizaCloudの操作はできません。そこで、PaizaCloud拡張アプリのJavaScript APIを利用します。
このAPIを利用することで、ファイル操作などができます。
APIではPenpalというライブラリを利用しています。
APIを利用するには、まず、以下のようにPaizaCloudと接続します。
const connection = window.Penpal.connectToParent({methods: ...});
methodsの中では、拡張アプリが呼び出された時の動作を関数で設定します。以下のような関数が設定できます。
API関数 | 機能 |
---|---|
openFile(filename) | ファイルがダブルクリックして開かれた時 |
拡張アプリから、PaizaCloudの機能を利用するには、このconnectionオブジェクトを使い、拡張アプリのAPI関数を呼び出します。
以下のようなAPI関数が利用できます。
API関数 | 機能 |
---|---|
openSaveModal(options) | ファイル保存ダイアログの表示 |
openLoadModal(options) | ファイル読み込みダイアログの表示 |
writeFile(file, data, options) | ファイルの書き込み |
readFile(file, data, options) | ファイルの読み込み |
execFile(file, args, options) | 指定したファイル(プログラム)の実行 |
APIはconnectionに関数名をつけて呼び出します。結果はPromiseで返ってきますので、以下のように呼び出します。
connection.[関数名](引数).then((result(結果)) => { /* 結果処理 */});"
writeFile / readFile / execFileなどの関数は、Node.jsの対応する関数と同じ呼び出し方です。(ただし、結果はコールバックではなく、Promiseで取得します。)
作成時のテンプレートでは"script.js"で、APIを呼び出してファイルの読み込み、書き込みをおこなっていますので、参考にしてみてください。
お絵かきアプリを作る
今度は、最初に作られたテンプレートを変更してお絵かきアプリを作ってみます。
まず、HTMLファイルで絵を描くためのcanvasを用意します。
index.html:
<html> <head> <link rel="stylesheet" href="style.css"> <link rel="stylesheet" href="https://maxcdn.bootstrapcdn.com/bootstrap/3.3.7/css/bootstrap.min.css"> </head> <body> <div class="header"> <span>My Paint App</span> <button type="button" class="btn btn-default save">Save</button> <button type="button" class="btn btn-default load">Load</button> </div> <div class="main"> <canvas class="absolute w-100 h-100" style="border: solid 1px black;"></canvas> </div> <script src="https://unpkg.com/penpal/dist/penpal.js"></script> <script src="https://ajax.googleapis.com/ajax/libs/jquery/3.2.1/jquery.min.js"></script> <script src="https://maxcdn.bootstrapcdn.com/bootstrap/3.3.7/js/bootstrap.min.js"></script> <script src="script.js"></script> </body> </html>
次に、スタイルシートで表示を整えます。
style.css:
body{ width: 100%; height: 100%; display: flex; flex-direction: column; } .main{ flex: 1 1 auto; position: relative; } .absolute{ position: absolute; } canvas{ border: solid 1px black; cursor: pointer; } .w-100{ width: 100%; } .h-100{ height: 100%; }
そして、JavaScriptでコードを書いていきます。
マウス操作を取得するため、mousedown, mousemove, mouseupイベントを監視します。マウスの動きに応じてcanvasに絵を書いていきます。
script.js:
// PaizaCloud App APIs: // Initialize: // * Penpal.connectToParent(options) // Call from App to PaizaCloud: // * openSaveModal(options) // * openLoadModal(options) // * writeFile(file, data, options, callback) // * readFile(file, data, options, callback) // * execFile(file, args, options, callback) // Call from PaizaCloud to App: // * openFile(filename) var connection = window.Penpal.connectToParent({ methods: { openFile: (filename) => { openFile(filename); } } }); let parent; connection.promise.then((parent_) => { parent = parent_; console.log('Penpal connected'); }); function openFile(filename) { parent.readFile(filename, {encoding: 'base64'}).then((result) => { var dataUrl = "data:image/png;base64," + result.data; var img = new Image(); img.onload = function(){ context.drawImage(img, 0, 0); } img.src = dataUrl; }); } function saveFile(filename) { let dataUrl = canvas.toDataURL(); // data:image/png;base64,xxxxx let base64 = dataUrl.substr(22); parent.writeFile(filename, base64, {encoding: 'base64'}); } $(".save").on('click', () => { parent.openSaveModal({extensions: ['txt']}).then((filename) => { saveFile(filename); }); }); $(".load").on('click', () => { parent.openLoadModal({extensions: ['txt']}).then((filename) => { openFile(filename); }); }); $('canvas').attr('width', $(".main").width()); $('canvas').attr('height', $(".main").height()); var canvas = $("canvas")[0]; var context = canvas.getContext('2d'); function getPos(event) { var x = event.clientX - canvas.getBoundingClientRect().x + canvas.scrollLeft; var y = event.clientY - canvas.getBoundingClientRect().y + canvas.scrollTop; return [x, y]; } let lastPos; $("canvas").on('mousedown', (event) => { lastPos = getPos(event); }); $("canvas").on('mousemove', (event) => { if(!lastPos){return;} const p = getPos(event); context.beginPath(); context.moveTo(lastPos[0], lastPos[1]); context.lineTo(p[0], p[1]); context.stroke(); lastPos = p; }) $("canvas").on('mouseup', (event) => { lastPos = null; });
これで完成です! 完成したら、保存ボタンを押します。
お絵かきアプリのインストール
それでは、作ったアプリをインストールして使ってみましょう。
画面上部の「マイサーバ」をクリックしてワークスペースを表示します。
画面左下の、「+ Apps」と書かれたアイコンをクリックして、インストール画面を表示します。
インストール画面では、作成したアプリを選択して、インストールボタンを押します。
インストールができると、画面左側にアイコンが追加されます。
このアイコンをクリックすると、作った拡張アプリが起動します!絵を描いたり、保存、読み込みもできますので、試してみてください。
まとめ
PaizaCloud拡張アプリを作ってインストールしてみました。
PaizaCloud拡張アプリを作ったり追加すれば、どんどん自分好みの快適な環境になります。
HTMLとJavaScriptだけで簡単に作れますので、みなさんもぜひ作ってみてください。
完成したアプリは他の人も使えますので、友達などに使ってみてもらっても楽しいですね。
できたら(paiza(@paiza_official)にも教えてくれるとうれしいです!)
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