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日本を襲う人口減少と超高齢化で、技術のないITエンジニアは淘汰される?

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photo by Garry Knight

日本は人口減少の時代に突入しています。すでに2008年をピークにして減少が始まっており、2050年には1億人を切ると予測されています。現在30代の人が定年を迎えるころには約2700万人も人口減少しているということです。さらに超のつく高齢化も同時に進行しています。

この状況を放置すれば、経済の縮小や社会保障制度の破たんは避けられません。社会制度とともに産業構造の大きな変革が求められています。今後は人々の生活や仕事にも大きな変化が起きることが予想されます。もちろん、ITエンジニアの仕事も例外ではありません。今ITエンジニアとして働いている人のうち、近い将来、必要とされなくなる人が世にあふれる未来も十分にありえます。

今回は、人口が減少する日本が将来どうやって生き残っていくのか、そしてITエンジニアの仕事がどうなっていくのかについて考えてみました。

少子高齢化・人口減少で日本経済が抱える問題

まず、日本の少子高齢化・人口減少が日本にどういう影響を与えるかを簡単に考えてみます。

一般に、労働投入の成果であるGDPは、他の指標が一定であれば、人口増加率と正の相関関係があります。現実に、日本の名目GDPは20年以上の間、大きな伸びを見せていません。今後、人口の減少が進むと、一気に経済規模の縮小を招きかねません。

一方で、人口が減っても1人あたりのGDPが減らなければ国民の生活は変わらないという意見もあります。しかし、日本では同時に高齢化が進んでいます。高齢者1人を支える現役世代の人数が減っている中で1人あたりのGDPが上がらなければ、負担を支えきれなくなり社会保障制度が維持できなくなります。

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内閣府:平成28年版高齢社会白書より

人口減少スピード以上に1人あたりの生産性が向上すれば、経済規模を拡大することができます。しかし、日本の2015年の1人あたり名目GDPはOECD(経済開発協力機構)加盟国35カ国中20位と低迷。アメリカの6割強程度しかありません。労働生産性の向上は近年の課題でもあります。

さらに、残念ながら日本は(今のところ)資源がない国です。資源が豊富な国であればそれに頼ることもできます。しかし、日本はそういう戦略を持てる国ではありません。

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内閣府:平成27年度国民経済計算年次推計より

以上のように、日本が生き残っていくためには、国としてのGDPはもちろん、1人あたりのGDPが増えていかなければいけないことがお分かりいただけると思います。しかも、資源に頼ることができないため、国民そのものが何かを生み出さなければいけません。資源を持たざる国としてとれる戦略は限られています。

他国の施策を見てみよう

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photo by WOCinTech Chat

次に、世界の例を見てみます。日本と同じレベルで高齢化が進む国はありませんが、もともと人口が少なく、さらに資源に乏しい国は世界に数多くあります。その中で、特にITに活路を見出す例が増えてきています。

分かりやすい例がイスラエルです。この国は中東に位置していますが、石油資源はほとんどありません。人口も日本の15分の1、800万人ほど。そんな小国が、高い技術力を背景に、今や起業大国として有名になりました。米国NASDAQへの上場数は米国に次ぐ2位となっています。この国では国軍主導で高度なプログラミング教育を行っています。その高い技術力に目を付けた欧米や日本の大企業が、イスラエルに拠点を置く例が増えてきました。

そのイスラエルを手本にしているのが、日本と同じアジアに位置するシンガポール。IT教育に力を入れていることで有名で、教育省では国際競争力の強化を目的としたICT教育マスタープランを策定しています。また、スタートアップの誘致にも積極的で、他国よりも法人税率などで優遇し、海外からの人材を呼び込んでいます。

そのほかにも、Skypeを生んだ国として有名な東欧のエストニアでは政府のデジタル化が世界屈指の速さで進んでいます。北欧やアジアでもIT技術者の育成が盛んに行われています。

IT先進国の経済や教育について、下記の記事で詳しく扱っていますので興味のある方はご覧ください。

paiza.hatenablog.com
paiza.hatenablog.com

上記の例を見ていても分かるように、ITは小国における最大の武器として認識されています。そして、そのITを最大限に利活用するため、現役世代のITエンジニアの技術向上とともに、IT教育の必要性が増してきています。

今後は生活のあらゆる場面においてITがなくてはならなくなります。自動車における自動運転技術のように、ハードを作るとしてもITを避けては通れなくなっているのです。ITの基礎知識はどんな仕事であっても必要になってくるでしょう。現代において、高いIT技術力はそのまま企業の力であるといっても過言ではありません。

そして、上記の国々の動きでもう1つ注目したいのが、グローバルを前提とした起業をしている点です。上記の国々はもともと国内市場が大きくありません。海外展開を見据えて起業しなければならない環境を勝ち抜いたからこそ、成功時には世界で通用するサービスになりました。日本も今後、人口が減り続けていく中で、国内向けのサービスだけでは大きな展開が望めなくなります。グローバルな視点をもった企業運営が求められていくでしょう。この点からもITは親和性が高いといえます。

日本に迫りくる第4次産業革命、仕事がなくなる人も

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photo by sagesolar

そして、日本政府もこの状況に手をこまねいているわけではありません。さまざまな施策を打ち出しています。その中で、やはり大きなウエイトを占めているのがITです。

政府は「日本再興戦略」の中で、「生産性革命」、そして、「第4次産業革命の実現」を掲げており、IoTビジネスの推進やビッグデータの活用、AIや次世代ロボットの開発を進める方針です。資源がない日本にとって、この第4次産業革命が起こらなければ、苦境を脱するのは相当に険しい道となるでしょう。是が非でも達成する必要があります。そして、第4次産業革命が実現すれば、産業構造の大きな変化が起きることになります。

産業構造の変化は人々にも大きな影響をもたらします。人々の生活が便利になる一方で、これまでに存在していた仕事が不要になったり、これまでにまったく存在していなかった仕事が生まれたりすることが想定されます。

これから生まれてくる仕事については、なかなか多くは予測しがたいですが、不要になる仕事はおおよそ予想がついています。2015年に野村総合研究所が発表した予測では、10~20年後には今の日本人がやっている仕事のおよそ半分が、コンピューター技術によって、代替可能になるとしています。

芸術、歴史学・考古学、哲学・神学など抽象的な概念を整理・創出するための知識が要求される職業、他者との協調や、他者の理解、説得、ネゴシエーション、サービス志向性が求められる職業は、人工知能等での代替は難しい傾向があります。一方、必ずしも特別の知識・スキルが求められない職業に加え、データの分析や秩序的・体系的操作が求められる職業については、人工知能等で代替できる可能性が高い傾向が確認できました。

野村総合研究所:プレスリリース「日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能に」より

過去の産業革命でもそうだったように、新しい技術によって、人間でなくてもできるようになった仕事は衰退していき、「人間にしかできない仕事」への集中が進んでいくものと思われます。

特に1人あたりのGDPを増加させなければいけない日本では、付加価値の高い仕事に特化していく必要があるでしょう。

ITエンジニアの仕事はどうなる?

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photo by Thomas Angermann

さて、ここからはITエンジニアの業務にフォーカスして考えてみましょう。

最初に結論をいうと、ただ仕様に従ってプログラミングをする仕事は、高いレベルのものを除いて淘汰される可能性が高いでしょう。

現在でもオフショア開発を行う企業があるように、海外の安い労働力に頼る例が増えてきました。代替がきくものをあえて単価の高い日本国内でやるという選択肢はすでに見直されてきているのです。さらに今も、インドやベトナム、ミャンマーなどでは、多くのIT技術者が生まれています。そして近い将来には、そもそもその作業の一部を人間ではなくAIが担っていくことが十分に考えられます。

日本でITエンジニアが行う業務のうち、プログラミングをする業務は、現在と比べてかなり範囲が狭まるのではないでしょうか。そして、AIや海外の技術者を「どう動かしていくのか」にシフトしていくものと思われます。「どういうサービスを作るか」「どういうものを作れば問題を解決できるか」を考える人が今後はより強く求められるようになるでしょう。

技術レベルが特に高い人を除いて、単にプログラミングができるというだけでは未来は明るくありません。他の業種と同様に、時代に合った職種転換が求められていくのは避けられないでしょう。これからを生き抜くために、プログラミングとは別の「機械にはできない仕事」のスキルを磨いておく必要があります。さらに、今後は海外から高レベルの技術者を受け入れる例も増えていくでしょうから、彼らとの競争にも勝たないといけません。

ITの枠の中にいるから安泰、というわけではなく、ITの枠の中だからこそ、大きな変化や激しい競争にさらされることになるでしょう。

まとめ

日本で起きている高齢化は世界で最も進行しています。過去にもこのような例はありません。何か1つのきっかけで簡単に解決するようなレベルではなく、ただのんびり過ごしていれば、確実に国として衰退します。この事態を打開するには、まさに「産業革命」レベルの大きな変化が必要です。

かつて日本が世界から賞賛された高度経済成長期、それまで多くの人が携わっていた農業は、産業構造の変化とともに一気にその就業者を減らしました。それと同じことがもうすぐ起きようとしているのです。

そんな中、今と同じ仕事がどれだけ残っているでしょうか? あなたが今やっている仕事は、今後もずっと日本で存在するものでしょうか? これからのキャリアを考える上で頭の片隅に置いておいてほしいと思っています。




paizaは、技術を追い続けることが仕事につながり、スキルのある人がきちんと評価される場を作ることで、日本のITエンジニアの地位向上を目指したいと考えています。

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