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リモートワークが失敗する原因はほとんどが企業側の準備不足

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こんにちは、小松です。paizaでは編集担当を務めております。

新型コロナウイルスの流行以降、企業ではリモートワーク(テレワーク)を導入する動きが加速しました。エンジニアをはじめとしたIT関連の職種では特に今もリモートワークで業務をされている方も多いのではないでしょうか。

一方で、東京商工会議所が実施したアンケートによると、「業務の生産性が落ちる」という理由で、リモートワークを実施していた企業がその後とりやめる事例が増えているそうです。

www.tokyo-cci.or.jp

しかしチャットツールやWeb会議ツールが整備されてきていることもあり、リモートワークでも問題なく業務ができている企業は数多くあります。業務の生産性が落ちてしまうと感じる企業と、問題なく移行できている企業ではどこに差があるのでしょうか。

結論から言うと、リモートワークにうまく対応できるかどうかを左右するのは、多くの場合マネジャーの能力です。新しい状況にしっかりと対応したマネジメントができていれば、リモートワークは難しいことではありません。「生産性が落ちる」と言う場合、ほとんどは「リモートでのマネジメント方法が理解できていない」だけです。

そこで、この記事では、リモートワークがうまくいかない原因と、その解決方法についてお話ししたいと思います。

リモートワークの課題は大きく分けて2種類に分けられる

改めて、さきほどの調査について詳しく見てみます。なお、調査では「テレワーク」となっていますが、この記事では混乱を防ぐため「リモートワーク」と統一して表記します。

・今回調査時点(2020年9〜10月)でのリモートワークの実施率は53.1%で、前回調査時(2020年5〜6月)に比べて、14.2ポイント減少した
・リモートワークを「一時期実施していたが、現在は取りやめた」と回答した企業が22.1%あった
・「リモートワークを現在実施している」と回答した企業に、テレワークを継続実施するうえでの課題を聞いたところ、「社内のコミュニケーション」(57.9%)、「書類への押印対応」(56.7%)、「労務管理・マネジメント」 (51.6%)、「ペーパレス化」(45.0%)などが上位となった
・「リモートワークを一時期実施していたが、 現在は取りやめた」と回答した企業に、実施しない理由を聞いたところ、「業務の生産性が下がる」(45.7%) 、「社内のコミュニケーション」(33.6%) 、「労務管理・マネジメント」(31.5%)などが上位となった
・「リモートワークを一度も実施していない」と回答した企業では、「リモートワーク可能な業務がない」が55.6%で最大となった

東京商工会議所「テレワークの実施状況に関するアンケート」より抜粋

このうち、「リモートワークを一度も実施していない」「可能な業務がない」のは、業種によってはやむをえない部分があります。飲食など直接顧客にサービスを提供しなければならない業種や製造業などであれば、どうしてもリモートワークをするには限界があります。

一方、「リモートワークをしている/一時はしていた」企業の回答を見ると、コミュニケーションやマネジメント、さらに押印対応やペーパレス化などに課題をかかえていることがわかります。

これらの課題が生まれる背景には大きく2つの理由があります。1つはリモートワークをやるための環境が整っていないハード面の問題、もう1つはハード面は整っているもののそれを使いこなせていないというソフト面の問題です。

このうち、前者は早急に解決しなければならない課題です。Web会議ツールやチャットツールなどをうまく活用すれば、コミュニケーションやマネジメントの課題は大部分を解決できます。また、はんこの廃止やペーパーレス化が中央省庁で推進されているのを見ても分かる通り、紙に起因する問題は電子化すれば解決できます。

働く環境の整備が必要なのは、リモートワークであろうが通常出社であろうが同じです。リモートワークのための適切な準備をしていないのに「うまくいかない」というのはただの怠慢であり、そのような企業に未来はありません。優秀な社員からは見切られてしまうでしょう。

一方で、後者の「ハード面は整っているのにうまく使いこなせていない」のは、人に起因する問題のためもう少し複雑です。今回はそのような場合にしぼって原因を考えてみます。

リモートワークで従来以上に問われるコミュニケーション力

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ツールなどを一通り整えているにもかかわらず、コミュニケーションやマネジメントがうまくいかないときは、ほとんどの場合リモートワークに合った対応ができていないことによるものです。

リモートワークになったことにより、コミュニケーションの形が大きく変わりました。これまでは対面でのコミュニケーションがメインで、メンバーは常に目の届く範囲にいました。これがリモートワークになると、テキストコミュニケーションとWeb会議でのやりとりがメインになります。ところが、このようにまったく状況が違うにもかかわらず、従来と同じアプローチでコミュニケーションを取ろうとするマネジャーが少なくありません。こういうマネジャーだと、リモートワークはたいてい失敗します。

では、このような状況で職場に求められるものを考えてみます。特に必要になるのが「先手を取るコミュニケーション」と「テキストコミュニケーション力の強化」、そして「強固な信頼関係の構築」です。


「先手を取るコミュニケーション」とは、メンバーからの連絡を待つのではなく、マネジャー側から積極的に情報を取りにいくマネジメント方法です。「業務の進捗に問題はないか」「何か異変が起きていないか」など、マネジャーは通常勤務のとき以上に目を配らなければなりません。そこをメンバーからの連絡に頼っていると、何か問題が発生したときの発見が遅れがちです。また、リモートワークで社員間の接触機会が減り、孤独を感じているメンバーも少なからずいます。そういうメンバーに不安を抱かせないためにも、マネジャーは自分からコミュニケーションを取りにいく必要があります。

また、会議の際もマネジャーが積極的に場を回す努力をするべきです。Web会議ツールは顔こそ見えるものの、同時に複数の人が話すのには向いていません。基本はスピーカーとそれを聞くメンバーに分かれます。会議といっても一方通行のコミュニケーションの集合体なのです。そんな中、参加者の意見を広く聞いて議論をまとめるには、進行役に高い技量が要求されます。ここでも先手を取ってコミュニケーションをとれる人であれば、議論をうまく進めることができるでしょう。

このように、まずはマネジャーが率先して自ら動く姿勢を示し、メンバーにも自発的なコミュニケーションを促すことが重要です。


他方、テキストコミュニケーション力は、特にチャットツールを使う際に問われる部分です。

対面と違い、テキストでは表情やトーンを伝えることができません。直接話すときと同じ内容をただテキストに起こすだけでは情報量が足りなくなるケースが多く、テキストでの意思疎通は決して簡単なものではありません。しかし、残念ながらその点を理解していない人が多いのが現実です。リモートワーク時には、少していねいすぎるくらいのコミュニケーションを心がけましょう。話すときと同じ感覚で対応するのは避けるべきです。

この課題もメンバーまで含めて全員で改善できることです。マネジメント側から積極的に働きかけ、社内に正しいコミュニケーション方法を広めていくといいでしょう。


そして、何よりも大事なのが、マネジャーとメンバー、メンバーとメンバーの信頼関係です。コミュニケーションの総量が減る中で業務を進めるには、前もって相互に強い信頼を築いていなければなりません。

お互いに相手が何を考えていて、どう動いているかを想像できないと、業務の効率が落ちますし、不安な中でリモートワークをすることになります。たとえば、新入社員などはいきなりリモートワークをさせずに一定期間出社してもらう、常時接続の期間を作るなどの対策を検討すべきでしょう。このあたりは、マネジャーがメンバーごとに最適な方法を考えて実行していく必要があります。

承認のターンを減らすための工夫

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コミュニケーションの基本的な部分がクリアできたら、次はタスク周りも見直しましょう。リモートワーク時に通常勤務と同じような承認フローで進めようとすると業務が停滞しがちとなり非効率です。できるだけ確認・承認の回数を減らすような工夫が求められます。

具体的には「タスクの細分化」と「任せるマネジメントの強化」をできるかが大切です。


タスクは通常時よりも細分化してメンバーに渡すほうがいいでしょう。これには主に2つの理由があります。1つは進捗を把握しやすい点です。小さい単位でタスクを分けて短期間での期限を切ることで、コミュニケーションの総量が減っても全体のタスクがどこまで進んでいるかすぐ把握できます。もう1つは万が一何かあったときに手戻りをしやすい点で、大きな単位で渡したときと比べてリスクを軽減できます。

マネジメントが失敗する原因でありがちなのは、従来と同じ粒度で渡してしまうパターンです。進捗の確認が難しくなるばかりか、途中で何か問題があっても気づきにくくなり、結果的に大きなミスを生むきっかけになりますので注意しましょう。


また、タスクを細分化するとともに、「任せるマネジメント」を強化していくのが望ましいです。繰り返しになりますが、リモートワークで常に確認・承認を取りながらやっていくのは非効率です。タスクを細分化したら、それを各メンバーに渡し、メンバー自身の判断で動いてもらうことを優先しましょう。自走できるメンバーであれば任せきり、アラートだけあげてもらうくらいの運用でいいですし、まだサポートが必要だと判断すればマネジャーがよりしっかりとコミュニケーションをとり、問題を未然に摘み取るようにすればいいでしょう。任せて万が一ミスがあったとしても、タスクが細分化されていれば被害は最小限に抑えられます。

いずれにせよ、各メンバーの能力や特性を見ながら、それぞれに合ったタスクを渡せるか、というマネジメントの基本的な部分が、通常時よりもさらに求められます。

まとめ

ここまで、リモートワークがうまくいかない原因と、その解決策について考えてきました。

リモートワークではコミュニケーションの機会が減るのは避けられません。ただ、ツールの助けなどを借りることで、一定レベルは保つことができます。あとは失われた分をいかにマネジメント側がカバーできるかにかかっています。マネジャーの腕が通常時以上に問われるといっていいでしょう。

基本的には、今までのマネジメントをさらに深化させていけばクリアできることが多いので、ひとつひとつ対策すれば解決は難しくありません。むしろ、マネジメントで何が足りないかを知ることのほうが大変なので、この記事が解決の一助になればと思います。


逆にメンバー側からはあまりできることがありません。メンバー間でコミュニケーションを積極的にとるなど、メンバー側からでもできることもゼロではないものの、基本的にはマネジメント側からの改善によるところが大きいといえます。

厳しい言い方をすると、リモートワークでマネジメント不備を感じるときは、早急に異動などで環境を変えるほうが得策です。また、自分にリモートワークがあっていないと思う人は会社に伝えてあえて出社させてもらうのも有効でしょう。

どうやっても状況が改善する見込みがなければ、最終手段として転職をするのも選択肢の1つです。エンジニアの方限定になってしまいますが、もし転職を視野に入れている方がいましたらpaizaもご利用ください。

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