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共通テストに「情報」新設!どんな問題が出る?プログラミングって本当に必要?考えてみた


こんにちは。倉内です。

2025年から大学入学共通テストの教科に「情報」の新設が予定されており、国立大学受験生は必須になると言われています。

ただ、現在すでに高校では情報系の授業が実施されているため、未知なる教科ではなく、恐れる必要はないという意見も多く見られます。合わせてこの4月からは新学習指導要領が施行され、「情報Ⅰ」が必履修科目となります。

一方で、公立高校では「情報」の免許なしで教えている教員が一定数いるというニュースが話題になっています*1

www.yomiuri.co.jp

今回は、なぜ「情報」が必須となるのか、社会的背景も含めて考えてみたいと思います。また、大学入試センターが公開しているサンプル問題から、共通テストの「情報」に備えるために独学できること・やり方についてもお伝えします。

共通テスト「情報」新設の背景を考える

「情報Ⅰ」はどんな内容か

共通テストの話に入る前に、冒頭にも書いた、4月から必履修科目となる「情報Ⅰ」について理解しておきましょう。

現在の「情報」は、週に2コマの科目で、社会の課題や情報モラルなどを学ぶ「社会と情報」と、プログラミングの技法も扱う「情報の科学」のどちらかを選択することになっています。ほとんどが前者を学んでおり、後者を選んでいる生徒は2割程度だそうです。

「情報Ⅰ」では、全員がプログラミングを学ぶようになるというのがまず大きな特徴です。加えて、統計データを分析して課題解決に生かす「データの活用」、わかりやすく伝える表現の方法を知る「情報デザイン」なども学ぶことになります。(文部科学省のサイトで教員向けの教材が公開されています。)

また、2023年度からはより発展的な内容を学ぶ、選択科目「情報Ⅱ」もスタートします。

共通テストはこの「情報Ⅰ」から出題されるとのことで、基本的には授業で扱う内容の範囲内と見ている専門家もあるようですが、詳しくはまだ分からないといったところです。

「情報」は必須 vs 選択

生徒や教員の負担増、学校側の準備不足などを懸念して、大学教授や予備校講師の中には、共通テストへの「情報」導入に反対の声を挙げている方もいらっしゃいます。

www.asahi.com

さきほど取り上げたニュースでもあったとおり、「情報」の免許の保有状況には地域格差があります。その現状を鑑みて「この状況で『情報』を導入することは、居住地域や出身校による有利・不利を生み出す危険性がある」と述べています。

また、「本当に全員がプログラミングを学ぶ必要があるのか」という声もあるでしょう。選択科目にして理系・情報系の学科に進む生徒だけが学べばいいといったものです。しかし単に「大学入試のためだけに勉強すればよい」とは言えない現代社会の動きについて、受験生だけでなく、わたしたち大人も含めて皆が知っておく必要があると思います。

企業はIT人材・DX人材を求めている

学校は学ぶ場であり、職業予備校ではありません。しかしながら、企業がIT人材*2を求めていることは事実です。

以前別の記事でも取り上げましたが、「DX白書」では「日本企業の多くが『DXを推進する人材が不足している』と考えている」ということが分かりました。しかし、米国のように組織で取り組む体制がまだ整っておらず、個人の努力に頼る傾向にもあります。

paiza.hatenablog.com

もちろん業界や業種によるところはあるでしょう。プログラミングをするのは限られた職種の人だけかもしれません。それでも働く上でコンピュータやインターネットの知識がまったく必要ないと言い切れるでしょうか。

また、「ITエンジニア」は今子どもたちに人気の職業のひとつで、親子で一緒にプログラミング(もしくはプログラミング的思考)を学べる教材やスクールも人気を博しています。

(参考)高校生のなりたい職業1位に「エンジニア・プログラマー」 学研調査 男子・高1女子に人気 - ITmedia NEWS

今や「情報」は日常そのもの

さきほど、仕事とITは切り離せないのではという話をしましたが、わたしたちの生活もITなしには成り立ちません。

わたしがスマートフォンを持ったのは大学生になってからでした。しかし、今の子どもたちは違います。生まれたときからデジタル機器が身近にあり、インターネットにつながっていることが当たり前の時代に生きています。親よりも子どものほうがITに詳しいご家庭もあるでしょう。

ところで「情報格差」(デジタルデバイド)という言葉を聞いたことがありますか?

インターネット等の情報通信技術(ICT)を利用できる者と利用できない者との間にもたらされる格差のこと(Wikipediaより

先進国と途上国の格差のように使わることもありますが、現在すでに同じ国に住んでいる個人間でもこのような格差は生まれています。将来ますますIT化が進み、便利で豊かな生活を享受できる可能性があっても、知らないことがデメリットになる場合があります。

ITがない生活に戻ることはほぼあり得ません。農業をはじめとする一次産業でも、IT化によって人手不足などの問題を解消する取り組みをしています。オンラインで作物を販売してコロナ禍をしのいだ業者や農家もいらっしゃるでしょう。

よって、わたしたちがITを学ぶことは必須と言っても大げさではないのです。大学入試で「情報」の教科が増えるというのは、こうした現代社会の動きと密接な関係があるのではないでしょうか。

共通テスト「情報」のサンプル問題をひも解く

概要

大学入試センターの「令和7年以降の試験に向けた検討について」では、検討状況をはじめ、「情報」の出題方法やねらい、そしてサンプル問題を参照することができます。

共通テストの「情報」は、4月からスタートする「情報Ⅰ」に加え、上記でもお伝えした、現在の情報科目の内容である「社会と情報」および「情報の科学」からも問題が出題されるようです。詳細は上記ページもごらんください。

サンプル問題

注意事項として、「情報Ⅰ」の教科書の検定中に作成したものであること、問題構成は未確定であり実際の問題セットをイメージしたものではないこと、などが書かれています。あくまで「サンプル」ということですね。

サンプル問題は3つの大問から成っています。内容を少し見てみましょう。

第1問

おもな出題範囲:

高等学校学習指導要領「情報Ⅰ」の「(1)情報社会の問題解決」、「(2)コミュニケーションと情報デザイン」、「(4)情報通信ネットワークとデータの活用」

内容:
知識を問われる問題が多いが、問4はIPアドレスに関する問題でやや難しめ。

  • 問1)東日本大震災の際の通信確保の報告書から、インターネット回線の仕組みやクラウドサービスなどと絡めて出題。「パケット通信」「情報格差」「クラウド」などの知識があれば解ける。
  • 問2)効果的なコミュニケーションをおこなうための情報デザインの考え方や方法を問う問題で、問題文に適したグラフを選択する。情報を抽象化・可視化・構造化する力が必要とされる。
  • 問3)アナログデータのデジタル化において、画像データを例に標本化、量子化、符号化の一連の流れとそれぞれの仕組みを問う。
  • 問4)IPv4におけるネットワーク部を表すビット数を題材に、基本的な IP アドレスと基数変換の理解を問う問題。サブネットマスクの概念を知っており、基数変換や2進数を使うことができれば解ける。
第2問

おもな出題範囲:

高等学校学習指導要領「情報Ⅰ」の「(3)コンピュータとプログラミング」

内容:
比例代表選挙において、各党への議席の配分数を得票数に比例して求める基本的なプログラムが題材になっている。比例代表の仕組みは問題文を読めば理解できる。

プログラミング言語自体は、いずれかの言語に依存するものではなく、大学入試センター独自の日本語表記の疑似言語が使われている。

しかし、サンプル問題のねらいの資料には以下のような記載があり、

配列,最大値探索,繰り返し処理を用いたアルゴリズムを理解し,そのアルゴリズムをプログラムで表現し,さらに具体的な状況設定に応じてプログラムを修正することを通して問題解決に向けて考察する力を問うている。

なにかひとつでも実際のプログラミング言語を学習した経験がないと解くのは難しいと思われる。

また、提示された問題文(の仕様)を正確に読み取り、どのような処理をさせるとよいかを導く力も問われる。

第3問

おもな出題範囲:

高等学校学習指導要領「情報Ⅰ」の「(4)情報通信ネットワークとデータの活用」

内容:
データ分析に使われる「ヒストグラム」や「散布図」から全体の傾向を読み取ったり、予測したりして項目間の関係などを考察する内容になっている。

問3は、ITの知識はほとんど必要なく、数学Ⅰで学習する「データの分析」が分かっていれば解ける問題です。

当然ですが数学と情報は切っても切り離せない関係です。問題を解くには、散布図に引かれた回帰直線から相関関係を読み取る力はもちろん、分散や偏差について正しく理解しているかに左右されます。

個人ではどうやって勉強するとよいか

プログラミングの学び方

プログラミング問題については、「プログラミング的思考」だけでは解くのが難しいため、実際に何かひとつでもプログラミング言語の基本を学ぶのがよさそうです。

今はさまざまなプログラミング学習サービスが安価に利用できます。paizaラーニングでは、人気の13言語の「体験編」を全編無料で公開しています。

対応言語:Ruby、Java、Python、JavaScript、PHP、C言語、Perl、C#、Scala、C++、Kotlin、Go、Swift

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体験編は、「プログラミングとは何か」から始まり、各言語の基礎的な内容を動画講座で学んでいきます。言語ごとに多少違いはありますが、内容としてはコメントの書き方、単純な数値計算、データの受け取り方、そしてif文やfor文の基礎文法を学べる講座になっています。

ブラウザ上で動画で学習し、すぐに演習課題で復習できるので、はじめてプログラミングを学ぶ方にもおすすめです。実際にコードを書いて学ぶ形式なので、「分かったつもり」を防いで確実に身につけることができます。

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問題文から仕様を読み解く力を養う

プログラミングの基本を学びコードを書く力と合わせて伸ばしたいのが、問題文を読んで内容を理解する力です。

サンプル問題を見ても分かるとおり、問題に解答するには文章を読み解くことはもちろん、そこから発展させて思考する力も必要になってきます。

paizaには、問題文を読んで与えられた条件に沿ってコードを書くプログラミングの練習問題が多数用意されており、いつでも好きなときに解くことができます。一部問題は、ログインなどでもらえる学習チケットを消費することで解答コード例・解答の参照も可能です。

paiza.hatenablog.com

周辺技術・知識の学び方

知識を問う問題については、学校の授業はもちろん、時事ネタから出されることもあるので(サンプル問題では、災害時に強いメディアとしてSNSが取り上げられたり、データ管理方法としてクラウドサービスがあげられたりしています)そういった話題に興味を持つようにしておくとよいと思います。

また、問1にあったようなネットワークに関する問題は独学では少し難しいかもしれません。paizaラーニングでは、インターネットの仕組みを学べる「Web技術入門」を公開していますので、参考にしてみてください。

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ほかにもコンピュータの動作原理を学べる「情報処理入門 アセンブラ言語編」など、プログラミング以外について学べる講座を公開しています。講座一覧はこちら

学生なら完全無料の「学校フリーパス」も

学校フリーパス」は、小・中・高・大学・専門学校向けに、「paizaラーニング」の150以上のレッスン、約1,350以上の学習動画、2,500問の演習課題をすべて無料で提供するサービスです。

インターネット環境があれば事前準備なく利用できるという手軽さもあり、2021年10月時点での利用校数は約750校、学生のプログラミング学習教材としてご活用いただいています。

利用するためには学校・先生からの申し込みが必要になります。詳しい説明・申し込み方法についてはこちらをごらんください。

申し込み後に全動画閲覧可能権限を付与するクーポンコードを発行いたします。学生がこのクーポンコードを入力し、適用することにより、年度末(3月末日)までpaizaラーニング全動画の閲覧が可能となります。

まとめ

2025年から共通テストに新設される予定の「情報」について、社会の動きなども見ながら、サンプル問題からどういった内容が出題されるかも考えてみました。

まだ検討中の段階であり、正解はない中でどう準備したらよいか不安に思う方もいるかもしれません。

ただ、本文でも述べたとおりITはすでに日常生活になくてはならないものになっています。SNSの利用やインターネットで買い物をするといった何気ない行動の中でも、少し意識してみると興味を持って学べると思います。

そしてもし「IT技術っておもしろい!」「プログラミング楽しい!」と思った方は、どんどん自分でスキルを伸ばしていってください。




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*1:背景として、情報系の授業はコマ数が少なく、専任での採用枠がほとんどないため、他の科目(数学など)の免許を持つ教師が教えていることが多いようです。

*2:高度IT人材、デジタル人材、DX人材といった言葉が使われることも。厳密にはそれぞれ定義が異なる部分がありますが、「ITを使って価値創造ができる人材」というのは共通しています。

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