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30代で初めて転職するITエンジニアがやりがちな失敗とその対策

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Photo by greyloch

f:id:paiza:20140916135428p:plainこんにちは。谷口です。

30代のITエンジニアの皆さん、転職活動をしたことはありますか?

特に大手IT企業勤務などのITエンジニアの方々の中には、「30代だけどこれまで転職活動はしたことがない」という方も数多くいらっしゃると思います。とは言え、「このまま今の会社にい続けていいのかな……」「そろそろ転職も視野に入れようかな……」と現状に危機感を覚え、転職を考えている方も多いのではないでしょうか。

今回はそういった方に向けて、実際にエンジニアの採用活動をしている企業に聞いた、30代の応募者の落選理由をもとに、30代で初めての転職をする場合につまずく原因やっておいた方がいいことなどについてお話ししていきたいと思います。

■30代の人が初めての転職でつまずく原因

30代で初めての転職をする際につまずく大きな原因の一つが、
「自分の市場価値を知らなすぎる」
ということです。

もう少し分解すると、下記のようになります。

  1. 年齢によって企業からの評価に大きな違いがあることを知らない
  2. 社内評価しか知らないので、自己評価と応募先からの評価が合致しない
  3. 就活以来自己アピールをする機会がなかったので、スキルの棚卸しができていない

◆年齢によって求人企業からの評価は変わる

特に20代と30代では、求められる要素もハードルの高さも明確に変わってきます。細かくいうと30代後半はさらにハードルが上がります。

こういう話をすると「年齢で区切るな」「主語が大きすぎる」とよく言われます。確かに応募者によってそれぞれ事情は違いますし、企業によっても求める条件は違います。ただ、ITエンジニアの転職は売り手市場とはいえ、よほど技術的に優れているとか、ものすごい実績があるとかいう方でない限り、20代よりも30代の方がずっとハードルは高くなるというのが、日本での現状です

例えば、同じスキルレベルで20代の方と30代の方からの応募があった場合は、将来価値が高く、伸びしろがあると思われる20代の方を採用する場合が多いでしょう。

一般に企業の方々は、20代の応募者に対し、将来性吸収力素直さなどといった点を期待しています。これから企業で育てていくにあたって、将来の可能性や期待値がより高いと感じるのです。

◆社内評価と社外評価は必ずしも一致しない

さらに、「30代になるまで転職について全く考えてこなかった……」という方は、あくまでも社内基準での評価基準しか受けたことがなく、市場から厳しい評価をされた経験もありません。就活のときと同じように、「どっかが今より良い給料で拾ってくれるでしょう」と思っていては、足下をすくわれてしまいます。

社内での役職などもついていると、なおさら「自分はどこへ行ってもそれなりにできる」と思いがちなのですが、業務では自社の人間としか交流がなく、自分は本当に市場価値がある人材なのか、あくまでも社内でしか通用しないスキルなのかに気付けないということがよくあります。

一般に中途採用でITエンジニアを募集している企業が求めるスキルのレベル感を知らず、転職活動を始めてみたら社外では全く通用しなかった……という例も度々目にします。

◆スキルの棚卸しができていない

初めて転職する方は、ほとんどの方が新卒の就活のとき以来、自己アピールをするような機会はなかったのではないでしょうか。転職活動における面接は、応募者と企業が、一緒に働くことでお互いのプラスになるかどうかを見極める場です。そのため、どちらかが一方的に相手を評価すると言うことはありませんが、短い時間でお互いを見極めなければならないため、的確に自分を伝えることが非常に重要となります。

面接の場では、もし自分がその企業に入ったら、どのような貢献ができるかを相手に分かりやすい形でアピールする必要があります。自分にはどのようなスキルや経験があり、どんなことが得意で何ができるのかというようなことです。

しかし初めて転職する際には、スキルの棚卸しができていなかったり、社外で求められるスキルや経験を知らないために、アピールポイントが的外れになってしまっているということもよくあります。


このように、30代で初めて転職する場合は、自分の市場価値を知らなかったり、自己アピールがうまくできないことによってつまずいてしまうということがよくあります。

では、具体的にどういった落選理由がよくあるのか、実際に企業に聞いたアンケート結果から見ていきましょう。

■実際に企業に聞いた、30代応募者の落選理由

◆勉強していない、受け身で意識が低い

採用企業の声

  1. 弊社の業務に興味があり、新しく学びたい分野であるということだが、自分で勉強はしていないようで非常に受け身であると感じた。
  2. アプリ開発がしたいと言いつつ、自分では何もやっていないということなので意欲に欠けると思った。
  3. Web開発の仕事に転職したいということだが基礎知識が不足しており、それをキャッチアップしようとする意識も感じられなかった。

正直なところ「受託開発をずっとやってきたんですけど、嫌になったのでWeb開発の仕事がしたいです!」とWeb開発の企業に応募する方はとても多くいらっしゃいます。そういう方々が開発現場での豊富な経験を持っているにもかかわらず「受け身に感じた」「意欲がないように感じた」という理由で落ちてしまうというのは、本当にもったいないことです。

プログラミングは「やってみたい」「仕事にしたい」と思ったら、開発業務未経験の方や学生の方でも自分で勉強をしたり、自作アプリをリリースしたりすることができます。

また、20代の方であれば「まあこれから教えるからそれで覚えていってくれれば……」といった感じで通る場合もあるようですが、30代の方に「Webの仕事は全面的にやったことないので、業務を通して学びたいと思っています」と言われると、「今まで自分では何も勉強してこなかったの?」と思われてしまうのは避けられません。

◆年齢の割に考えが浅く、キャリアプランが見えない

採用企業の声

  1. 転職したい理由や業界転向をしたい動機が不明確だった。
  2. 話に具体性がなく、年齢の割に考えが浅い印象を受けた。
  3. なぜ弊社に応募したのか、今後どのようなエンジニアになっていきたいのか、キャリアに対するビジョンが不明瞭だった。

30代になると、「なぜ今転職しようと思っているのか? 20代のうちには考えたことはなかったのか?」そして「自分のキャリアプランをどう考えているのか?」といったことに対し、よりしっかりした自分の軸や考えが求められます。

ここで「今の会社じゃ給料が全然上がらないので……」「やっぱりこれからはWebだなと思って……」という程度の回答しかできないと「自分のキャリアを考えてのことじゃないの?」「年齢の割に考えが浅い」と思われます。(「年齢の割に考えが浅い」というのは、私も実際に以前転職活動中に転職エージェントの方から落選理由として告げられたことがあります。)

■30代が転職する時に求められること

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◆数字で説明できる実績

20代が将来価値や期待値を求められるのに対し、30代は客観的な現在価値を見られます。そして、やはり20代に比べても、より困難な仕事を解決した結果が求められます。

「そんな華々しい実績なんかない!」という方でも、これまでこういうプロジェクトに関わってきた、こんな提案をした、こんな技術を身につけ、こんなシステムを作ってきたというような結果は、これまで現場で開発をしてきた方なら誰しもあるはずです。

ここでは客観的に聞いた時に実績が把握しやすいよう、例えば何人ぐらいの開発チームの規模で、どれぐらいの期間をかけて開発したアプリで、これぐらいの数のユーザーがいる、これぐらいの売り上げが上がったというような、数字を使っての客観的な説明が求められます。(これが、例えば数年で売り上げがかなり上がりました!などという言いかたをされても、客観的にはどのような実績を出せたのか全く分かりません)

◆キャリアプランをちゃんと持っていること

30代になりますと、そろそろ自分が今後どういう方向性でやっていこうと考えているのかを聞かれることがあります。

例えば技術的に極めていきたい分野があるのか、CTOになり経営的なことも考えた開発・運営をしていきたいのか、自分でも事業を起ち上げたいのか、3年後、5年後、10年後はどうなっていたいのか……といった、キャリアプランに対する自分の軸が問われます。

ここで20代の方々であれば「一応こういうプランを考えていますがこれから探っていきたいです……」といった感じも分かるのですが、30代の方に「これから見つけていきたい」ということを言われると、「遅すぎるだろ……」「ちゃんと自分のキャリアについて考えてないな……」と思われてしまいます。

◆感度が高く、知的好奇心があること

一般的に、30代は一通り仕事を覚えていろいろなことができるようになっている時期ですが、逆に言えば素直さを失いつつある時期でもあります。

とはいえ、転職というのはある程度文化の違う環境に飛び込んでいくわけですから、企業も「この分野の開発しか極めないことにしているので」「これはやりますがそれはやりません」「昔より新しいことを覚えるのが難しくなってきちゃって……」といった方に来られては困るわけです。

また、特にエンジニアは新しいことに対する知的好奇心が衰えていないかという点も見られます。業務に役立ちそうな新しい開発技術を積極的に取り入れたり、業界の動向や情報に敏感であるかといったことは、やはり20代の人の方が吸収力が高く見られがちです。

ですので、例えば「最近出たあのフレームワークを触っているんですが、業務で取り入れるとこういうメリットがありそうです」などといった感じで吸収力や柔軟性や好奇心が衰えていないという点を分かってもらう必要があります。

■企業に聞いた代表的な落選理由ランキング

◆落選理由ランキング

◇20代のTOP3

1位:スキル不足
2位:コミュ力
3位:企業方針・文化との不一致

◇30代のトップ3

1位:スキル不足
2位:企業方針・文化との不一致
3位:アサイン先の開発分野に対する経験不足

多かった理由を項目ごとに集計したランキングですが、これは逆に言うと、企業が応募者を選ぶ際に重視している条件の優先順位ともとれます。

ITエンジニアなので、スキルはもちろん第一条件ではありますが、20代で3位、30代で2位の「企業方針・文化」という部分は、応募企業の考えや業務スタイルなどが合っているかということを見られます。前述もしましたが、やはり30代は20代に比べると、柔軟性や素直さは負けると思われる部分がありますので、「この人はうちのスタイルと合っているか」ということを見られます。また、「アサイン先の開発分野に対する経験」というのも、入社してすぐにパフォーマンスを発揮できるという即戦力としての部分が、20代よりも強く求められるということです。

■30代が初めて転職するときにやっておくといいこと

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Photo by MC Quinn

◆自分のキャリアの棚卸し

前述のとおり、自分のキャリアの棚卸しをして、自分のこれまでの実績をアピールできる材料をちゃんと用意しておく必要があります。

30代が20代に勝るのは、経験や実績を積んできたこと、判断力があるということです。

そういった点を認識して、具体的な数字など客観的に見ても分かる実績を洗い出し、自分のキャリアの棚卸しをするとよいでしょう。

◆自分のスキルレベルを知る

一度も転職を考えたことのない方は、自分のエンジニアとしての市場価値を意識したことがない方がほとんどかと思います。

自分がエンジニアとしてどれくらいのスキルがあるのか、また自分の得意な言語に関する求人がどれぐらいあるのか等といったことは、転職活動を始める前に知っておくべき大切なことです。勉強会等で社外のエンジニアのレベル感を押さえておいたり、社外のエンジニアと話をする機会を持つなど、社外感度を高める必要があります。

またpaizaでは、ITエンジニアとしてのスキルレベル測定(9言語に対応)を提供しています。コーディングテストの結果によりS・A・B・C・D・Eの6段階でランクが分かります。自分のプログラミングスキルを客観的に知りたいという方は是非チャレンジしてみてください。

◆転職理由を明確にしておく

自分がなぜいま転職したいのかを明確に説明できるようになっておく必要があります。

転職の際は必ずと言っていいほど「何でいま転職したいの?」ということを聞かれます。年齢によっては、「何でもっと早く転職しようと思わなかったの?」と思われることもあるでしょう。

ここであまり幼い答えをすると考えが甘いなと思われるので、一度「なぜ自分はいま転職したいのか?」(給料が上がらない、自社の経営状況があまりよくないといった理由ではなく、ポジティブな理由)を考えてみましょう。

なぜ転職したいのかを突き詰めて考えるということは、採用活動の対策としてだけではなく、自分のキャリアプランを考えるためにも重要なことです。

転職さえできれば必ずしもキャリアアップできるわけでもなければ、幸せになれるわけでもありません。

例えば、「こういう開発がしたいけど、今のプロジェクトではできない」→「部署異動ができれば叶うかもしれない」→「今のプロジェクトが終わったら、異動願いを出してみよう。それが通らなかったら転職を考えよう」といった考えに至ることもあります。

■まとめ

あなたがもし特定の技術に特化したスーパーエンジニアであれば、転職に当たって年齢は関係ないでしょう。

しかし、いわゆる一般のITエンジニアであると言う場合は、年齢を重ねれば重ねるほど転職のハードルは上がる傾向にありますので、自分の軸や考えを明確にして転職活動に臨む必要があります。

ただし決して30代になったら転職が極端に難しくなってしまう……というわけではありません。

ただ、30代になるまで自分の市場価値やキャリアプランなどについてを考えたことなかった人は、そのあたりからまず意識して考えてみるとよいかと思います。




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