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【ITエンジニア目指す就活生向け】会社選びで失敗しないためのポイント

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Photo by Maryland GovPics

こんにちは、林です。

ITエンジニアを目指す学生の皆さん、入社したらバリバリ開発するぞ!と夢を抱いて、就職活動に励んでいることと思います。

でも、いざ入ってみたら理想とは程遠く、ルーチンをこなすだけで未来が見えない会社だったなんて残念なこともあるんです。ひとくちにITエンジニアを求めている企業といっても、その中身はさまざまです。ITエンジニアが働く企業をビジネスタイプに分けて紹介しましょう。

  1. ウェブ系IT企業
  2. 大手IT企業(元請けSIer)
  3. 独自の製品、サービスを提供する企業
  4. 下請け系IT企業
  5. 一般企業のIT部門

■ウェブ系IT企業

企業の例:Yahoo、楽天、DeNA

○:会社の元気がいい、新しいことにチャレンジできる
△:動きが早く、若干安定性に欠ける

◆概要

IT系というと、まずこのタイプの企業が頭に浮かぶ人も多いかもしれません。1990年代後半以降に設立された企業がほとんどで、成長率が高く(下記図参照)、勢いがある企業が多いのが特徴です。

インターネットを利用したサービスの提供を主に行っている企業であり、なじみが深いEコマースやネットゲーム、検索エンジンやニュースの提供などのB2C(コンシューマ向け)ビジネスだけでなく、ネット広告やビジネスアプリを手掛けるB2B(企業向け)のビジネスもあります。インターネットインフラの整備、スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスの普及に伴って、ウェブ系の仕事はますます増加しています。今後も活躍の場は増えていくでしょう。

例に挙げた企業は大手ですが、ベンチャー企業も多く誕生しています。最近よく話題に上る、多額の融資を受けたり、上場したりしているベンチャーのほとんどは、ウェブやインターネット関連の会社です。ベンチャーの起業家には、ウェブ企業に数年勤め、その後独立する人も少なくありません。

また、別事業を営んでいた企業がウェブ系の関連会社を立ち上げることもよくあります。

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ウェブビジネス市場は大きく拡大し続けており、人材の不足感も今後さらに高まるでしょう。

出典:野村総合研究所「第173回 NRIメディアフォーラム資料」(経済産業省統計、ウェブビジネスに関する各種市場調査などよりNRI推計)

◆人材の特徴

即戦力が求められるため中途採用が多く、人材の流動性は激しいといえます。また、新しい技術が必要となり、移り変わりも早いため、常に自分のスキルアップをしていく必要があります。日本の大手ウェブ企業の平均年齢は30代前半から中盤にかけてで、他の企業に比べて若い世代が多いという特徴があります。

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企業種類別の中途採用の割合

ウェブ企業は中途採用の割合が他の企業に比べて高いという特徴があります。

出典:IT人材白書2014

■大手IT企業(元請けSIer)

企業の例:NTTデータ、IBM、富士通、日立、SCSK

○:安定性、規模の大きな仕事ができる
△:自由度が低い、硬直性がある、プログラミング力は不要

◆概要

ITにかかわるさまざまな仕事を幅広く行っている企業です。大企業や政府機関ではさまざまなITシステムを利用しています。

たとえば、銀行では金融システム、販売業では受発注管理システムがなければもはや業務がなりたちません。また、社内では人事管理システムも必要です。こういったシステムをまるっと受託して開発しているのが、いわゆるSIerと呼ばれるIT企業。いわば、現代の企業活動を裏で支える存在と言ってもいいでしょう。

日本のIT企業の多くはSIerで、世界でも特殊と言われています(図)。アメリカなどでは、企業内でITシステムも開発することが多いからです。日本のSIerでは、サーバーなどハードウェアのリースや販売も込みで提供するパターンも少なくありません。

受託が中心のビジネスは、景気や発注側の都合によって仕事量が左右されるため、自社サービスの提供へとシフトする動きもありますが、とにかく受注金額の規模が大きいため、受託に頼る構造はなかなか変わらないのが現状です。

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情報産業全体の売り上げ規模におけるSIerの比率(ソフトウェア業が該当)

日本では、SIerの売上が多くを占めています。

出典:平成26年情報通信業基本調査報告書

 

◆人材の特徴

大規模な開発には多くの技術者が携わるため、全体をまとめるプロジェクトマネージャーが重要視されています。開発だけでなく、運用の仕事も多く、特定のシステムに長く携わりつづける人材も存在しますが、プログラミングは新卒後数年で管理側へとシフトしていくので、手を動かして物を作りたい人にはあまり向かないかもしれません。新卒採用を重視する傾向にあります。

■独自の製品、サービスを提供する企業

企業の例:サイボウズ、ジャストシステム、OBC

○:対企業向けなので顧客の反応がわかりやすい
△:1製品に頼ると危険

◆概要

企業に対して自社で開発したサービスや製品の提供を主要な事業としている企業です。社内で使うグループウェアや会計ソフトなどは、テレビCMも流れているため、目にしたことがある人も多いでしょう。以前はCD-ROMとして箱に入れて店頭で販売することが多く、パッケージソフトと呼んでいましたが、最近ではネット上でダウンロード販売する形態も増えています。また、ネット上でクラウドサービスとして提供することも増えており、ウェブ企業との境目が難しくなっています。単に開発して終わりではなく、顧客に合わせたソリューションを提供し、カスタマイズやサポートを行っている場合も少なくありません。

このビジネスモデルでは、提供している製品がマーケットのシェアをどれだけ獲得できるかに、企業の運命がかかっているとも言えます。栄枯衰退も激しく、環境変化に柔軟に対応する力が求められます。

◆人材の特徴

ビジネスモデルもウェブ系IT企業と近しいため、その特徴もウェブ系IT企業と似ていると言えます。技術力が求められるのはもちろんですが、企業マーケットに敏感に対応する力も求められます。

■下請け系IT企業

企業の例:大手企業の情報子会社、中小SIer

○:多様な開発案件に関われる
×:一次請けの尻ぬぐいが発生する、デスマーチに巻き込まれやすい

◆概要

前述の大手SIerから仕事を受注して、開発や運営業務を行う企業です。中小のIT企業では、大手からの受注を主な収入源としているところも少なくありません。大規模なITシステムの開発は、大手SIerが受注して、さらに二次請け、三次受けへと発注していく多重下請構造で行うことが一般的です。

企業側にとっては、上から開発業務が下りてくるので、わざわざ営業活動を行わなくても収入を得られるというメリットがあります。また、せっかく開発した製品が売れずに収入を得られないというような危険性もないため、このビジネスモデルの企業は一定数存在します。

また、大手SIerが、これらの企業を頼りにしているという面もあるため、なくなる気配はありません。しかし、下請けになるほど、労働対価は減っていきます。大手SIerが、発注者から一人月(技術者ひとりあたりの月額受託費用)数百万円で請けた仕事が、二次受け、三次受けと下流に行くに従って管理費などの名目で中抜きされ、下流の技術者が受け取れるのは月額20万に満たない、なんてこともめずらしくありません。そいわゆる中抜きですね。

以前、IT企業にはブラック企業が多いと問題になっていましたが、多くは二次請け、三次請け以降の企業に発生している問題です。お金だけの問題でなく、仕様通りに開発するだけになるため、仕事の面白みがあまりない、という場合もあります。客先への派遣も多く、自分のやっている仕事が何なのかわからない、しかし締め切りや要求は厳しいと、技術者にとっては厳しい環境も多くあります。

そのほか、大手企業では情報部門を分社化し、情報子会社としている場合もあります。企業によっては親会社以外の仕事も行い、大手SIerと変わりないような体質になっているところもありますが、下請け的に親会社の言うとおりの仕事だけを行っている企業もあります。

IT人材の「量」に対する過不足感【主要顧客別】
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受託業務の人材不足感は一次請け(プライム)よりも二次請けのほうが高く、しわ寄せが下流に来ていることになります。

出典:IT人材白書2015

◆人材の特徴

詳細設計や実装が中心ですが、最新技術等を駆使した業務はあまりないため、高い技術レベルがなくても仕事はまわせるというような傾向にあります。ただ、理不尽な要求に対応しなければならないことも多いので、ストレス耐性が求められがちな環境です。

■一般企業のIT部門

企業の例:一般の企業のほとんど

○:さまざまな業種がある
×:システム運用以外の仕事が少ない

◆概要

いわゆる一般の会社でも、ITエンジニアは活躍しています。ある程度の規模の企業には、IT部門やシステム部門と呼ばれる部署があり、社内のIT関連の仕事を担当しています。主な仕事は、業務システムや社内システムの運用など。たいていの場合、開発そのものは外部に発注していることが多いので、そのやり取りも行います。

最近では、クラウドの普及や、個人所有のPCやスマホ利用などによって、IT部門なしでもITの活用が可能になってきています。しかし、その一方で、情報の漏えいなど情報セキュリティの強化が求められていたり、ビッグデータ活用や、ITを活用した新事業の重要性などを叫ぶ声も高まっており、社内のITエンジニアに求められる内容は変わりつつあると言えます。

IT利活用についてユーザー起業IT部門に期待されている役割
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「現行ビジネスの拡大」や「新たな事業やサービスを生み出すための事業部門との協業や支援」が今後のIT部門に期待される役割だと考える企業が多いという調査結果が出ています。

出典:IT人材白書2015

◆人材の特徴

IT部門としての新卒採用を行っている企業は少なく、採用後配属されることが多いようです。必要な人員の中途採用も行われています。他部署とのローテーションも行われています。

■今後のIT業界


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これまでのIT導入は、既存業務の省力化など、コストカットが主な目的でした。しかし、IT技術とインフラの整備が急激に進んだ今、ITをもっと積極的に活用しようという動きが高まっています。いままであまりIT化が進んでいなかった農業や医療などへの導入や、データ分析のビジネスへの適応などが始まりつつあり、ITスキルはさまざまな分野で必要になっています。

たとえば、最近話題になっている「スマートコミュニティ」とは、街をまるごとITでコントロールし、安全で快適な街づくりにつなげようという試みです。エネルギーコントロールや交通システムの最適化などさまざまな技術が必要となり、家電メーカーや自動車メーカーから電力会社などインフラ提供者、センサーなどの部品開発者までが一緒になって取り組みを進めています。そこで重要な役割を果たすのは、ネットワークや通信技術、制御技術などのITスキルです。

このような分野で必要なのは、IT技術に加え、他分野の知識や技術、全体を捉えて物事を考える幅広い視野です。今後はいままでのITエンジニアとは違ったタイプの人材が必要になっていくでしょう。

◆スマートコミュニティのイメージ

政府でもスマートコミュニティを推進する動きがあり、さまざまな取り組みが始まっています。

実現化には、多くのITエンジニアの力が必要になります。

出典:経産省ウェブサイト 

■まとめ

以上、ざっくりとITエンジニアが活躍できる企業についてご紹介しました。働く場によって、かなり仕事の内容や働き方も違うということがわかったと思います。

上では企業単位で説明をしましたが、もう少し大きな分け方をすると、ITの役割には、コストカットと売上や価値の創出の2種類があります。これまでのIT導入の主な目的は、コストカットで、それは今も続いています。企業のIT部門ではITによる業務の効率化などが主な仕事であり、IT企業はそれを支える存在でした。

それに対して、売上や価値の創出は会社の利益を生み出します。たとえばウェブサービスを作って利用料を払ってもらったり、自分の技術を生かしたアプリケーションを販売したり、データ解析によってより売上が上がるような仕組みを考えるなどの仕事です。IT化はコストカットのためのもの……という企業では、IT部門はどうしても日陰の仕事のイメージがありました。しかし現在は、ITの力で売上を創出する部門が花形の存在であるという企業も増えてきました。

また、これからの企業は、ITを売上や価値の創出に活用できる力がなければ生き残っていけないと言われています。逆に言えば、伸びている企業は、ほぼ確実に積極的にITを生かす取り組みを進めており、IT技術者を積極的に製品開発や経営に登用しています。新卒で会社を選ぶ立場にあるならば、ぜひ沈み行く企業よりは、今後伸びていく可能性が高い企業を選んでください。

もうひとつ、自分の性格や志向に、仕事内容や社風が合っているかどうかも忘れてはいけないポイントです。最前線で新しいものを作りたいなら、早いサイクルでサービス開発を行うウェブサービスやアプリ開発がおすすめです。また、研究科肌なら、特定の技術に特化した小規模な企業を選ぶのもいいでしょう。IT分野には、小さいながらも特定分野で影響力の強い企業もたくさんあります。さらに、十数年後のキャリアまで見通して、全体をたばねるマネジメント力をみがく方向もありです。そのような場合は、大手のIT企業を目指してみるのもいいでしょう。

新卒段階では、まだ「これ!」という企業をみつけるのは難しいかもしれません。まずは、自分が何をやりたいのか、どんな技術者になりたいのかを考えてみてください。あなたが選ぼうとしているその企業は、理想へと続く道の第一歩を踏み出すのにふさわしいでしょうか?納得できる結果をだせるように、企業選びはぜひ真剣に取り組んでみてください。paizaには新卒者対象の募集もあります。ぜひご活用ください。




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