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2020年東京五輪、都内で働く人が何も対策しないとどうなるのか調べてみた

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Photo by Michael Coghlan
f:id:paiza:20180910132940p:plainこんにちは。倉内です。

東京オリンピック開催まで1年を切りましたね。2020年7月24日(金)に開会式、8月9日(日)の閉会式まで2週間あまりの期間開催されます。

ここ最近の話題といえば、観戦チケットの倍率がすごい、新国立競技場が完成間近、東京の夏がかなりヤバい……など、いろいろ盛り上がってきているなぁという感じです。

実のところ私自身そんなに興味があるわけではないのですが、ギノ(paiza)のオフィスが東京都港区に位置しているため「もしかして大会期間中、通勤とかが結構大変なことになるのでは…?」と気になったので混雑予想などを調べてみることにしました。

また、オリンピックに向けてリモートワークや時差通勤といった何らかの対策を始めている企業もあるようなので、そういった企業の施策についてもまとめました。

皆さんの会社で「もっと画期的な対策してるよ~」「全社員2週間のバカンス予定です」などありましたらぜひ教えてください。

逆に「休みにならない&時差通勤できない、その上リモートワーク制度もないので絶望している」という方は、リモート可などの条件でエンジニア求人が検索できるpaiza転職をのぞいてみてください。

東京はどんなカオスになるのか

◆開催期間中ののべ来場者数の予想

まずはオリンピック期間中、どのくらいの人が東京に集まると予想されているのかを組織委員会作成の資料から見てみましょう。

オリンピック:780万人
パラリンピック:230万人

(出典)東京2020オリンピック・パラリンピックに向けて

東京の人口が1400万人にちょっと届かないくらい(2019年6月1日時点)です。そこに五輪期間中プラス約800万人がくると…。考えただけで恐ろしいですね。もちろん1日に一極集中するわけではない(開催日数で割ると1日あたり45万人くらい)ですし、東京以外の場所でやる競技もありますが、それでも結構大変な状況になりそうです。

ちなみに競技日程によって混雑度合いが変わってくるため、競技数が多い日や朝ラッシュと観客の来場の時間が重なる日、準決勝・決勝など来場者が多い日などは特に混雑が予想されます。競技日程については公式サイトをご参照ください。

続いて、競技会場のマップ(東京都内に限る)を見てみます。オリンピックスタジアム(新国立競技場)、東京体育館、代々木体育館などがある「ヘリテッジゾーン」と有明、お台場などがある「東京ベイゾーン」を中心に開催されます。

競技開始時間は種目によってバラバラですが、平日の午前9時・10時開始の競技は観客の移動と通勤ラッシュが重なりそうです。

◆交通機関の混雑度

オリンピック準備局のサイトで「大会輸送影響度マップ」というものが公開されています。指定した日時の道路・鉄道、競技会場周辺の混雑予想を調べることができます。

ただし、この予想は「何も交通対策をおこなわなかった場合」に生じる影響ですのでご留意ください。

鉄道(駅)

都内に通勤している方はよくご存知かと思いますが、特にイベント事がない日でも朝の通勤ラッシュ時間帯(7時~9時)は駅も電車も非常に混雑しています。路線によりますが、乗車率150~200%という数値が叩き出されます。

オリンピック開催期間中は競技場の最寄り駅はもちろん、乗換駅として利用される「東京駅」「新宿駅」「永田町駅」の混雑も懸念されています。(会場へは東京メトロを使うことも多いと思われるため)

普段から混雑が酷い通勤ラッシュ時間帯、いずれの乗換駅も構造が複雑でしかも季節は夏、そこに乗り換えに慣れていない観客が押し寄せたらどうなるか…。混雑により電車の発着が送れるとホームに滞留する人も増えますし、地獄絵図になる予感しかしません。

さらに都内の通勤ラッシュ時間帯はすでに最大限の輸送力とギリギリの過密ダイヤになっているため、鉄道会社が何か対策をとるのは難しいと言われています。せいぜい混乱を緩和するために人員配置して案内するくらいでしょうか。

ここでさきほどの「大会輸送影響度マップ」でもっとも競技数が多く、最大の混雑が予想されている7月31日(金)の鉄道の混雑状況を見てみましょう。

7:00~8:00、8:00~9:00のラッシュ時間帯が「普段の朝ラッシュよりも混雑(観客の影響がかなりある)」と表示されるエリアが非常に多いです。※PCからごらんいただいている場合、画像クリックで拡大されます。

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これ怖いのが5:00~6:00の時点で混雑が始まってるんですよね……

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マップを見ると弊社オフィスのある港区(青山一丁目~外苑前)は他人事じゃないですね。青山一丁目駅の通勤ラッシュ時の滞留客は通常時の3.4倍と予想されています。

ちなみに競技会場の最寄りになる大江戸線国立競技場駅、ゆりかもめ台場駅、りんかい線国際展示場駅あたりは、競技開催日は通常の5~6倍の混雑とのことです。

鉄道研究をされている大学教授は「通勤客への対策は?」という質問に対して「休んでもらうしかない」と答えています。そんな…身も蓋もない……。なお帰宅ラッシュは朝に比べると分散しているので大丈夫だそうです。


(参考リンク)

 

バス・自動車(道路)

鉄道だけではなく、もちろん道路も混雑します。首都高は期間中、日中の料金を1,000円値上げする予定です。

通常のプラス3,000円という案もあったようですが、会場のある臨海部を物流拠点にしている運送会社が多いこともありひとまずプラス1,000円を軸に対策をするとのことです。

すでに7月24日・26日の2日間交通規制のシミュレーションも実施されましたが、首都高の交通量はわずか7%しか減少できず一般道の渋滞は悪化したと報告されています。ただ、交通量60%減に成功した路線もあり、路線によってかなり差があるようです。

このシミュレーションではトータルの交通量は約2%減で、目標の30%減達成に厳しい現実を突きつけられた形となりました。

今後は8月25日に開閉会式を想定したバスによる大規模輸送テストが実施されます。果たして2020年までによい対策があるのか…難しい問題となりそうです。

また、会場の最寄り駅の混雑集中を避けるため、最寄りではなくひとつ離れた駅から歩いて会場に向かうように呼びかけるとのことですが、複数の会場があるエリア(たとえば、オリンピックスタジアム(収容人数68,000人)と東京体育館(収容人数10,000人)のエリア)にかなりの大人数が徒歩で向かうことになりますよね。

混雑だけでなく道路上のゴミの問題や治安の悪化も懸念されており、開催エリアの近くに勤務している身としては気になることが多いなと調べていて感じました。


(参考リンク)

 

国が実施している対策

首相官邸のサイトに特設ページがあります。

気になったところをピックアップしてみると「円滑な「輸送」と経済活動、市民生活の適切な共存」のため、祝日が移動されます。具体的には、2020年に限り「海の日」が7月23日、「体育の日(スポーツの日)」が7月24日、「山の日」が8月10日になります。

これのおかげで開催期間中の平日は10日間となりました。……まだ10日間もあるのか。

また、「円滑な交通輸送の実現」ということで、さきほど挙げた交通規制および国道357号東京港トンネル、首都高速晴海線、臨港道路南北線等の整備が進められています。

暑さ対策としては、会場やマラソンコース沿道の木陰の創出、日除けテントの設置や熱中症対策指針の策定をおこなうとのことです。

こちらの資料にはテロや感染症の対策なども含めもう少し具体的な対策が載っていますので興味がある方は見てみてください。

ただし、基本的に国からは「呼びかけ」や「お願い」といったものが多く、企業や個人がどれだけそれに応えられるかにかかっていると言えそうです。

都内で働く私たちはどうしたらいいか

◆企業の実態調査

ニュートンコンサルティング社が実施した「東京2020大会に向けた企業のリスク対策実態調査」の結果を見てみます。回答企業の母数が329社とちょっと少ないのですが、参考として傾向をつかむことくらいはできそうです。

東京2020に向けて「なんらかの対策をすでに検討した」と回答した企業は32%、「今後検討を予定している」と回答した企業(「すでに検討したが今後も検討を続ける」と回答した企業を含む)は64%という結果になっています。

この調査では「今後も自社事業への影響や対策を検討していくと答えた企業ほど交通規制や混雑を受けやすい場所にある」とあり、さすがに開催エリア付近の企業はオリンピックの存在を無視できないと感じているようです。

予想される「業種別のリスク」を見てみると、情報産業では「サイバー攻撃」「交通渋滞や交通規制」「混雑による従業員出社遅延」がトップ3となっています。特にうしろ2つは業種関係なく懸念事項ですよね。

ただ、「具体的な影響が算出できない」と感じている企業も多く、いったいどうやって・どのくらいの対策をすればいいか頭を悩ませていることが伺えます。

また、こちらの「都内ビジネスパーソン400人に聞く「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会混雑への働き方対応」に関する調査」では、大会期間中の通勤や仕事上の移動について7割が不安と回答しています。

「本音では会社を休みたい」人も7割いたとし、理由のトップは「混雑への不安」とあり切実さが感じられます。(「大会を観戦したいから」という人も多いですが)

同調査によると「対策検討は予定していない」と回答した企業が約4割でもっとも多く、「検討予定」と回答した中でも「時期は未定」との回答が多くなりました。

ちなみにpaiza転職では「一部在宅勤務可」「裁量労働」などの条件で求人検索が可能となっています。たとえばですが、オリンピック期間中はリモートワークで業務ができそうとか出社時間を調整できそうな企業を今から探してみてもいいかもしれません。

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◆オリンピックの影響を考慮した取り組み

2012年ロンドンオリンピックでの事例

ところで人口840万人(2013年時点)を超える大都市であり、通勤ラッシュ時間帯の地下鉄が相当な混雑になるロンドンでは「オリンピックの際どんな対策をしていたのだろう?」と気になったので調べてみたところ、こんな報告を発見しました。

2012年に開催されたロンドンオリンピックでは、政府の呼びかけでロンドン市内の企業の約8割の企業がテレワークを実施。これによって、交通網の混乱を回避することが出来たという。

(出典)コラム|一般社団法人日本テレワーク協会

約8割の企業ってすごいですね。日本もこのくらいできれば…と思いますが実際には業種や職種によっては難しいでしょうし、企業側が制度として許すかどうかもさきほどのアンケート回答を見る限りは疑問です。

ちなみにロンドンオリンピックでの取り組みについては、こちらの記事に詳しく書かれています。

国内の対策を進めている企業から学ぶ

2019年06月19日の日経新聞の記事では、リコーやNEC、SUBARU、SCSK、NTTデータ、ブリヂストンなど多くの企業がオリンピックの混雑に備えた取り組みを実施しているとあります。

メインの施策はやはりリモートワークで、加えて時差通勤の推奨やサテライトオフィスの新設を検討している企業もあるようです。また、夏季休暇取得拡大の推進も見られます。

たとえば、リコーは「五輪の主要会場に近い東京都大田区にある本社を期間中の約2週間、閉鎖することを決めた。」、NECは「五輪期間中は社員が2週間、在宅勤務にする計画を立てている。」など本格的な検討を進めています。

幸いにもITエンジニアはリモートワークやサテライトオフィスでの勤務が比較的やりやすい職種です。

テレビ会議やチャットをすでに使いこなしている企業も多いと思いますし、これをきっかけにさらに促進するのもありでしょう。(たとえば、リモートワークは事前許可制としているが、オリンピック期間中は好きに使える、など)

弊社もリモートワークはすでに試験導入しているので、きっと来年のオリンピックのころには人混みに紛れて死ぬ気で出社なんていうことにはならないはず…。

リモートワークの前にセキュリティ対策

次に少し視点を変えてリモートワーク時のセキュリティ面について考えてみます。

リモートワークでは会社以外の場所から社内ネットワークにつなぐためにVPNという仕組みを利用することもあると思いますが、セキュリティ的な懸念がないわけではありません。また、自宅外で作業をして置き忘れてしまったというような物理的な紛失がないとも言い切れません。

リモートワーク導入の際はセキュリティ事故発生時の対応含めセキュリティについても検討したほうがよいでしょう。


(参考リンク)

 

まとめ

2020年の東京オリンピックについて、都内の開催エリアの混雑状況や、そこで働く私たちがどのように対策したらよいかを考えてきました。

オリンピック自体にそんなに興味がなくても都内に住んでいる方や勤務している方はもちろん、オリンピックを楽しみに東京にいらっしゃる方も、知っておいたほうがいい情報がいろいろあったかと思います。

来年の今ごろ、「いいオリンピックだったね~」と言って笑えるためには事前の備えが必要です。

まだ1年近くあると思っていても案外あっという間にやってきてしまうので、国や自治体、公共交通機関の方針や対策にも注目しながら、ぜひ今から対策を考えましょう。





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