paiza times

paizaがお届けする、テック・キャリア・マネジメント領域における「今必要な情報」を届けるWebメディア

logo

paizaがお届けする、テック・キャリア・マネジメント領域の「今必要な情報」を届けるWebメディア

あなたの職場は働きやすくなりましたか?働き方改革の落とし穴とは

f:id:paiza:20191023132505j:plain
f:id:paiza:20180910132940p:plainこんにちは。倉内です。

厚生労働省が推進している「働き方改革」ですが、皆さんの職場ではどんな取り組みがされていますか?

「特に何も…」「もともといい環境なので特別やることはない」といった声もあるかもしれませんが、一番はやはり「時間外労働が厳しく管理されるようになった」「残業の制限が厳しくなった」ということでしょう。(厚生労働省「時間外労働の上限規制」)

あとはリモートワークの導入や時短勤務、産休・育休制度を取得しやすい環境が整えられたことなどもあると思います。

先日、その「働き方改革」に関して、パーソル総合研究所*1からこんな調査結果が発表されました。

rc.persol-group.co.jp

「働き方改革」を進めたがゆえに業務量増加とはかなり皮肉な話ですが、一体何が起こっているのでしょうか? また、IT業界に限ってみるとどんな問題があるでしょうか? 調査結果を見ながら考えてみたいと思います。

調査結果から見える問題点

働き方改革が進んでいる企業ほど業務量増加や人手不足

さきほど取り上げた調査の対象は、全国の企業規模50人以上の企業の中間管理職です。

ここでの中間管理職とは、「第一階層の管理職」ということで、組織構造によりますが主任や係長、課長あたりを指すと思います。SIerでいうとPM(プロジェクトマネージャー)の役割を担っている人にあたります。

調査結果を少し詳しく見てみると、「管理職の業務量の増加」「組織の業務量の増加」「人手不足」など5つの項目すべてで働き方改革改革が進んでいる企業のほうが進んでいない企業よりも負担が高いという結果になっています。

f:id:paiza:20191023114104p:plain
出典:パーソル総合研究所「中間管理職の就業負担に関する定量調査

管理職の業務量だけでなく、組織の業務量の増加を感じており、全体的に人手不足感が強まっていることが分かりますよね。このような結果になったのは大きく以下の2点が原因だと考えられます。

「働き方改革」を労働時間の削減と捉えている

働き方改革の取り組みが始まって、労働時間は減らせと言われるけど仕事量・内容は変わらないという声をよく聞きます。

本来であれば人員を増やしてひとりあたりの業務量を減らす、単純作業のシステム化をはかって重要な仕事にフォーカスできるようにする…といった改善がされることが理想ですが、おそらくそういった取り組みがすぐにできる組織はそう多くないと思います。

また、この調査は中間管理職にフォーカスされていますが、その部下にあたるメンバーの労働環境についてはどうでしょうか?

働き方改革が施行されたのが2019年4月(大企業のみ適用、中小企業は2020年4月)からなので国の統計としての数値はまだ出ていないのですが、以下のアンケート結果を見てみると、あまりよい効果が出ているとは言えないようです。

www.j-cast.com

この調査では「長時間労働しているか」という質問に対して「とてもそう思う」「ややそう思う」と答えた人が合わせて39.9%となりました。

2017年に実施された同調査では42.1%だったとのことで、「微減」という結果に留まっています。

調査では「長時間労働をする理由」についても質問していて、半数以上の53.4%が「仕事量と人員のバランスが合っていないから」を挙げています。次いで「自分で仕事をコントロールできない業務だから」も24.8%にのぼります。

実態としては、名ばかりの裁量労働制で残業時間の概念がなくなり、サービス残業が増えたなんていうケースもあります。

また、確かに労働時間は減ったが手取り額が減って生活が苦しくなったという声も…。実際前職でSEをやっていたころは残業代にかなり頼っていたので、それがなくなると生活がキツいだろうなと思っていました。

やはり労働時間に上限を設けるだけでは、働き方を改善することは難しいという結果が浮き彫りになりました。

人事と現場との認識のズレが大きい

さきほど取り組みは全社的にやらないと難しいということを書いたのですが、調査によって中間管理職と人事とで課題に感じている内容にかなり乖離があることも分かりました。

f:id:paiza:20191023135851p:plain
出典:パーソル総合研究所「中間管理職の就業負担に関する定量調査

人事は法令対応や企業イメージの損失などのリスクを気にしていて、現場ではとにかく現実問題として人手不足が深刻であることが読み取れます。

正直、実業務で手一杯どころか人手が足りないような状況で、人事が上位に選んでいるハラスメントやコンプライアンスへの対応を優先して考える余裕はありません。(もちろんないがしろにしていいという意味ではないのですが…)

企業規模が小さく、顔の見える範囲にいろいろな部署の人がいる場合はまだいいのですが、企業規模が大きいと人事部署と実業務をおこなっている部署の間にはかなり隔たりがあります。

関わりがないというだけでなく、物理的にオフィスやフロアが異なっていて実態を知る機会がないことも珍しくありません。

特にシステム開発のような専門性の高い仕事というのは、なかなか他の部署(他の職種)に業務実態を理解してもらうのは難しいものです。

むしろ逆にコンプライアンスや制度変更の説明会や研修に時間を取られるなど、働き方改革への対応が実業務を圧迫しているという結果になっています。

会社の働き方改革を推進する側である人事と、実際の現場で働いている中間管理職との課題感がこれほどまでにズレていては、いつまで経っても状況は変わりませんよね…。

IT業界特有の問題点

ここまでに取り上げた二つの調査結果はIT業界に限ったものではありませんが、IT業界(とりわけシステム開発業務)においても労働時間を短縮するだけの働き方改革では労働環境改善は難しいでしょう。

というのもシステム開発は、専門性が高く人によって生産性に大きな差が出る仕事です。そのため成果を労働時間の長い・短いで考えることが難しく一律で横並びに何か制限や規則を設けてもうまくいかない可能性が高いです。

長時間労働を強要するような働き方は論外ですが、たとえばサービスの検討や設計、コーディングといった作業に長時間没頭して取り組むときもあります。

それとは別に特に受託開発の実態として、労働時間の短縮を理由に顧客に「できません」とは言いにくい環境にあります。理由はいろいろありますが、たとえば…

  • 同じ顧客相手に以前はできていた実績がある(残業等でカバーしていた)
  • できないなら他の事業者に頼むと言われる可能性がある(競争力の低下)
  • 顧客側のシステム開発に対する理解不足で費用・納期の調整が効かない

また、社内での問題点もいくつか挙げられます。

  • 組織内の理解不足で無理をしてでも受注を優先するように言われる
  • 生産性の高い人に業務が集中する(それが続くとその人が辞めてしまう懸念もある)

受託の問題点は分かりましたが、「自社開発は問題ないのか?」というと…これはまた別の話で、納期(サービスリリースの期限)がないわけではありませんし、そもそも少人数のスタートアップ企業だと絶対的に人手が足りなさすぎて長労働時間の傾向にあります。

いずれにしても「労働時間を短縮する」というのは、根本的な課題や問題をクリアした上で、結果的に労働時間を短くすることができたというのがあるべき姿ではないかなと思います。

真の意味で「働き方改革」を実現するには?

労働時間の短縮の手前にある問題を解決する

さきほどのアンケート回答にもあったとおり、そもそもの原因は仕事量と人員のバランスが適切ではなく人手不足の状態が続いていることです。

そのことに対して何も対策をとらないまま、「業務を効率化して労働時間を短縮しよう」というのは無理な話で、むしろ効率化だけでどうにかなるのであればこのような調査結果にはならないはずです。

また、長時間働くことをよしとする企業文化があるならば、働き方を変えて早く帰ったり有給取得をしたりしやすい雰囲気を作ることも大切です。

このように「労働時間の短縮のために解決しなければならない問題は何か?」を突き詰めて考えるべきです。

本来なら社内のそういった制度を整える側の部署(人事など)が実態を把握した上で、抜本的な改革を推進してくれるとスムーズなのですが…まずはさきほどの調査結果にあった人事と現場のギャップを埋めていくことが必要でしょう。

合わせて受託開発の場合は顧客(ユーザー)の意識を変え、理解を求める働きも必ず必要になります。

そもそもエンジニアはIT技術で面倒だったり手間のかかる課題を解決するのが仕事なので、自動化や効率化が推奨されて然るべきです。その上で目の前の業務に追われるのではなく、新しい価値を生み出す仕事に最大限フォーカスできるような労働環境を整えることで組織や企業にとってもメリットが生まれます。

労働者側に負担を強いる企業からは脱出する

業務量の調整や人の増員もしないような企業で労働者がなんとか無理をして頑張っても、企業は「このままでもなんとかなるんだな」としか思いません。

現在の働き方改革では労働時間の上限だけが設けられ、「労働時間の短縮をどう実現するか?」はすべて企業側に任されている状態です。その中で組織の制度やルール、風土をいち個人が変えるのは非常に大変なことです。

それにそのような環境で無理を続けて心身を損ねてしまうと回復には時間がかかります。

ただ、働く場所は自分で選ぶことができます。転職すればすべてが解決するというわけではありませんが、実際ものづくりにフォーカスし、知識や技術を伸ばしながら働ける環境も存在しています。

ちなみにpaiza転職で掲載している求人票には「開発言語、フレームワーク、データベース、プロジェクト管理ツールから支給マシン、開発手法」といった開発環境だけでなく、「自社サービス、ソーシャルメディア、ソーシャルゲーム、スマートフォンアプリ、機械学習、AI」等の開発ジャンルも記載されています。

また、「イヤホンOK、服装自由、社長が元エンジニア、1920×1200以上のモニターを提供、一部在宅勤務可、残業30時間以内」といった条件でも求人票を検索することができます。

paiza転職について詳しくはこちら
paiza転職
 

まとめ

働き方改革を実施した結果、業務量が増えたと感じている人が多かったという調査結果をもとに、真に働く環境をよくするにはどうするべきかを考えてきました。

IT業界に限れば、ひと昔前の長時間労働が当たり前で残業や休出で対応していた時代を思うと、随分よくなったなと感じる部分もあるのですが…。今の「労働時間を短縮する」だけを目的にしていてはこれ以上の改善は難しいでしょう。

年功序列や終身雇用が保証されない今、不満を抱えながら企業に居続けるより、働く環境を変えてみるというのも一つの手だと思います。





paizaラーニング」では、未経験者でもブラウザさえあれば、今すぐプログラミングの基礎が動画で学べるレッスンを多数公開しております。

詳しくはこちら

paizaラーニング

そしてpaizaでは、Webサービス開発企業などで求められるコーディング力や、テストケースを想定する力などが問われるプログラミングスキルチェック問題も提供しています。

スキルチェックに挑戦した人は、その結果によってS・A・B・C・D・Eの6段階のランクを取得できます。必要なスキルランクを取得すれば、書類選考なしで企業の求人に応募することも可能です。「自分のプログラミングスキルを客観的に知りたい」「スキルを使って転職したい」という方は、ぜひチャレンジしてみてください。

詳しくはこちら

paizaのスキルチェック

*1:総合人材サービス、パーソルグループのシンクタンク・コンサルティングファーム

paizaのおすすめコンテンツ

PPG proken プログラミングゲーム「初恋 プログラミング研究会〜海に行こうよ〜」 PPG Bingo プログラミングゲーム「コードレビューBINGO!!」
paiza転職 paiza新卒 EN:TRY paizaラーニング 記事内に記載している情報は、記事公開時点でのものとなります。 Copyright Paiza, Inc, All rights reserved.