こんにちは。倉内です。
コロナウイルスの影響で経済が失速し、転職市場にも影響を与えていることは、皆さんもご存知の通りかと思います。
こういった状況下のため、転職活動に対して消極的になる方が多く、転職したい気持ちはありながら今は現職に留まっている方も多いようです。
実際、受託開発の現場では、案件が減って社内待機になっていたり、普段であればそこまで人気が高いわけではない案件に人が殺到したりと厳しい状況も見受けられます。一方、コロナ禍でシステム化・オンライン化の重要性に気づいたユーザー企業も多く、開発者不足という声も耳にしています。
ただ、実は依然としてエンジニアの求人倍率は他職種と比べて圧倒的に高い状況が続いており、エンジニアに関してだけ言えば、まだまだ売り手市場です。
もちろん勢いだけで転職するのは時期にかかわらずやめたほうがよいですが、将来のビジョンがあるのであれば、むしろITエンジニアにとっては今がチャンスと言ってもいいくらいかもしれません。
そこで今回は、現在の転職市場の概況を見つつ、今市場価値が高いエンジニアの条件について考えてみたいと思います。また、転職成功のために何をやっておくとよいかについてもお伝えしていきたいと思います。
転職求人件数の推移
まずは、直近の求人件数の推移を見て、客観的に状況を把握しておきましょう。今回はHRogが公開している、5媒体*1の掲載件数合計の推移を見ることにします。
職業全体
(出典)HRog「正社員系媒体 求人掲載件数レポート」
この集計では業種・職種は分かりませんが、こうして見てみるとコロナ前後で大きな変化があったことが分かります。
10月第1週目では、88,318件まで回復したものの元の水準まで戻るにはまだ時間がかかりそうです。
ITエンジニア
(出典)HRog「【HRog週間求人速報】ITエンジニアの求人は?」
ITエンジニアの求人に限って見ても、コロナの影響が少なからず求人数に影響を与えており、職業全体ほどの落ち幅ではないものの3月~6月のあいだで減っていることが分かります。
ただ、8月、10月の推移を見ると各求人媒体で順調な回復を見せています。
11月1週目の数値は発表されていませんが、コロナ前の水準にほぼ戻っているのではないかと予想されます。
エンジニアを取り巻く環境はどうなっているか
求人件数だけを見るとコロナ前の水準に戻ってきているように思えますが、ここでdodaが発表している職種別転職求人倍率の2020年10月までの1年間の推移も見ておきます。
(出典)転職求人倍率レポート(データ) |転職ならdoda(デューダ)
求人倍率を見てみると、5月以前と以降で明らかに状況が変わったことが分かります。そして実は転職倍率に関しては8月以降もほぼ横ばい、むしろ若干下がっているという結果が出ています。
さきほど見た求人件数は5媒体合計なので単純比較はできませんが、これは求人件数の回復と同時に求職者数(転職希望者数)も増えているためだと考えられます。
「今は転職するような時期ではない…」と思っていた方からするとすでに行動を始めている人が意外に多く、驚くかもしれません。
他の職種のかなり厳しい数値(10月の転職求人倍率は、営業系:1.45、企画・管理系:1.26、クリエイティブ系:1.03、事務・アシスタント系:0.16)と比較すると、どれだけITエンジニアの需要が高いかも分かると思います。数値上はITエンジニア1人に対して6.64もの求人があるということですからね。
ただし、数値上だけでは分からないこともあるので、続いてはおもに受託の現場についてもう少しリアルな声を見ておきます。(7月中旬時点の記事となります)
もちろん、企業によって、また業種・業界によってさまざまなパターンがあると思いますが、なかなかこうした実情を知ることはできないので参考にしてみるとよいでしょう。
こちらの記事で書かれていることで特に注目したいのは
- 未経験者、経験の浅い層
- 年齢に見合ったスキルを持っていない
といった方たちが厳しい状況に置かれているという点です。
2つ目については、もう少し言い換えると「単価は高いがスキルがないため、こういった経済状況下においては避けられやすい」ということです。
逆に言えば、これまで確実にスキルを磨き、経験を積んできた経験者はそこまで悲観する状況ではなく、自信を持って転職活動に臨んでいいでしょう。
また、コーディングのみのスキルでは他者との差別化も難しい(もちろんものすごくハイレベルなプログラミングスキルを持っている方は別にして)一方、要件定義・設計といった上流工程ができる人、コミュニケーション力・リーダーシップに長けている人など、プラスアルファ的な要素を持っている方はむしろ非常に需要が高くなっています。
攻めの転職のための準備
なにはともあれスキルを磨く
やはりエンジニアとして自分が思い描いた転職を成功させるには一定以上の技術力は求められます。そのためのスキルアップが欠かせません。
もし現在、案件の延期や保留などで一時的に時間に余裕があるのであれば、この時期を利用しない手はありません。普段は忙しくてなかなか手を付けられなかったスキルアップに時間を使ってみましょう。
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上流工程の経験値を増やしておく
上の項目とは逆に、コードを書くことが好きな方の中には、あまり要件定義や設計工程に興味がない方もいらっしゃるかもしれません。しかし、今こそ上流工程の経験を積んでいることが大きな価値につながります。技術力と上流工程の経験値、両方を持ち合わせていると、自身のキャリアパスの選択肢が広がります。
プログラミング学習と比べて独学が難しく、実務を通して経験を積む必要があるため、今の職場でチャンスがあるならやっておいて損はありません。
システム開発の上流工程とは何か、どんなことをやるのかについては以下の記事でも詳しく解説しています。
リーダーは積極的にやっておく
チームリーダーやプロジェクトリーダー、プロジェクトマネージャーは、自分の意志だけではなかなか経験することは難しいかもしれませんが、機会があれば積極的にやっておくことをおすすめします。
特に第二新卒くらいの年齢ではなく、20代後半~30代以降の転職時には「リーダー経験の有無」が重視されることもあります。
スキル以外で失敗しないために面接対策をする
ITエンジニアならスキルや経験が十分あれば面接も問題ない…と考えていると、思わぬ落とし穴にハマってしまう場合があります。高いスキルがあっても、それを企業にうまく伝えられなければ宝の持ち腐れです。面接対策はできるだけしっかりやっておきましょう。
特に「ちょっと話すのが苦手かも…」という方は以下の転職成功ガイド内の「技術以外で失敗しないための面接対策リファレンス」をぜひ参考にしてみてください。
まとめ
転職市場についてのデータを見ながら、ITエンジニアの転職について考えてきました。
社会情勢的に、なんとなく「今は転職するときではないな」というイメージを持つ人も多いでしょう。コロナ禍前まで続いてた超売り手市場とは少し状況が変わり、未経験者も含めてすべてのエンジニアの転職がしやすいかと言われるとそれは違います。繰り返しになりますが、特に今は安易に転職を決めるのはおすすめできません。
一方で、経験豊富なエンジニアが転職市場に少ない今、実力のある人は非常に需要が高く、転職でいい条件を引き出すチャンスでもあります。スキルアップやキャリアアップを視野に入れ、転職後のビジョンをしっかり持っている方はぜひ転職活動に乗り出してみてください。
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