こんにちは。倉内です。
paizaはITエンジニア向けの転職サービスを運営しているため、エンジニアの皆さんから転職に関するお悩みをお聞きすることもあります。
中でも「受託(SIer)から脱却して自社サービスを作っている会社へ転職したい」という方は依然として多いと感じます。しかし、特に30代以降の転職となると、仕事のやり方の違いや開発スタイル、給与のギャップなどから踏ん切りがつかない方もいるようです。
そこで今回は、
- そもそもなぜ自社サービス開発の企業へ転職したいのか?
- 受託から脱却して自社サービスへの転職がやっぱり正義なのか?
- SIerでの経験を生かせる転職の選択肢は他にもあるのでは?
について考えてみたいと思います。
なぜ転職するのかを改めて整理する
実務経験のあるITエンジニアは、売り手市場が続いており、どちらかといえば求職者のほうが優位にあるというのは間違いではありません。
下記は、2022年1月に公開された日経クロステックの記事ですが、2022年の転職市場予測では「引く手あまたのITエンジニア需要」「求人数はコロナ禍前の水準超え」と景気のいい言葉が並びます。
そのためエンジニア採用に苦戦していたり、かなりのコストを払って運用していたりする企業が多いのも事実です。
しかし、企業側の言葉をよくよく聞いてみると「自社の要件に合ったエンジニアが採用できない」という場合も多く、エンジニアであれば好条件で転職しやすいと思って活動してみると「思ったよりうまくいかないな…」という状況に陥るケースもあります。
特に今回が初めての転職の方は、
- 自分が転職で何を実現したいのか
- やりたいことに自分の経験・スキルは生かせるか
- プロジェクトの移動や部署異動では実現できないのか
- 絶対に譲れない条件とある程度妥協できる条件はなにか
このあたりをはっきりさせておくことをおすすめします。
改めて考えてみた結果、「転職することが最善ではないかもしれない」と気づくこともあります。たとえば、大手SIerに勤めている方が転職活動をしてみると、自分の現在の待遇を維持して転職するのが意外と大変だと分かるかもしれません。
もしくは、自社サービス開発のエンジニアに求められるスキルが思ったより高く、「自分はそこまで技術を追求したいわけではないかもしれない」と気づくこともあるかもしれません。
転職で何をかなえたいのか(そのために何を妥協してもいいのか)を整理しておくことで、転職の後悔をできる限り抑えることができます。
以下の記事では、そういったモヤモヤした状況に陥らないための転職準備を解説していますので参考にしてみてください。
自社サービス開発企業以外の選択肢
SIerからの転職先の選択肢は、自社サービス開発企業だけではありません。ここでは転職理由から考える別の選択肢をいくつかご紹介します。
年収を大幅にアップしたい
- ITコンサルティング職へ転職する
- 経験をそのまま生かせる別のSIerに役職つきで入社する
さきほども少し触れましたが、現在ある程度の規模のSIerで働いている方は、Web系のIT企業への転職で年収大幅アップは難しいのが現状です。
技術を追求したいなどの理由がないのであれば、年収レンジが高いITコンサルや、マネジメント経験を生かして別のSIerに管理職として転職したほうがよいと思います。
マネジメント経験を含めた、これまでのエンジニアとしての経験が生かせるのであれば給与のアップはそれほど難しくはないでしょう。
労働環境や待遇を改善したい
- より規模の大きいSIerへ転職する
- 社内SEへ転職する
n次請けと言われる多重請負の下のほうに位置する企業で働いている場合、スキルアップやキャリアアップを望むことが難しく、年齢を重ねてしまうと身動きが取れなくなる可能性があります。
そこでより規模の大きい、もっと言うと上流の工程やマネジメント経験を積むことができるSIerへの転職で現状を打破するのもひとつの手です。仕事のやり方はそれほど大きく変わらず、これまでの経験も生かせて、働く環境や待遇は改善する見込みが高い選択肢だと言えます。
もしくは開発職から離れて、ITの知識や経験が一部生かせる社内SEへの転職も選択肢としてはよいでしょう。
自由な働き方をしたい
- フリーランスになる
働き方に自由度を求める方は、これまでの経験を生かしてフリーランスになるという選択肢もあります。
もちろんこれまで会社が処理してくれていた雑務を自分でやらなければならなかったり、自分で仕事を取ってくる必要があったりと大変な面もありますが、働き方は自分で決めることができます。
また、年収アップにつながる可能性も十分あります。
転職はしたいが求めるものが漠然としている
- エージェントに相談をする
今の環境を変えたいという思いはあっても、初めての転職となると「まず何をすればいいか分からない」と困っている方もいると思います。
paizaは、エージェントからのスカウトを受け取れるサービスも開始しており、求人紹介の前に相談からスタートすることができます。多くのエージェントは、ITエンジニアの転職市場についての知見が豊富で、情報収集だけでも価値があります。
最初は「とにかくSIerを抜け出してWeb系に行きたい」と言っていた方が、エージェントと転職相談をする中で、自分のこれまでの経験を生かせる企業選びをするという考え方に変わり、現在より待遇のよいSIerへ納得して転職をされた方もいらっしゃいます。
ひとりでは導き出せない答えにたどり着けることもありますので、ぜひプロフィールの更新と「提携エージェントからのスカウト」を受け取る設定をおこなっていただければと思います。(paizaの会員登録はこちら)
受託から自社サービスへの転職が成功するケース
さきほど自社サービス企業以外の選択肢を示しましたが、「やっぱり自分は自社サービスを開発したい!」と思った方もいるかもしれません。
どういった理由であれば転職成功につながるでしょうか?
将来的にマネジャーになっても自分で手を動かし続けたい
先輩や上司を見ていると、「このまま昇進をしていくと、業務がマネジメントのみになり技術的な仕事が一切できなくなる」ということがハッキリしている会社もあると思います。
もしマネジメントをするとしても、自身が開発に携わりながら、スキルアップをしていきたい場合、自社開発への転職でそれがかなう可能性が高いと言えます。
自社サービス開発のエンジニアの場合、マネジャーでも技術に明るい方が多く、仕事でコードを書く機会が減った分、趣味や副業などで書いているという方もいるくらいです。それほど技術に対して情熱があるのであれば、転職でそういった環境を求めるのはメリットのほうが多いでしょう。
アイデアや新しい技術をサービスに生かして改善を繰り返したい
受託開発でも案件によっては自分のアイデアを反映させられたり、新しい技術を採用できることもあります。
ただし、顧客から出される要件に沿う必要があり、また、人命にかかわるシステムや社会インフラの要になっているシステムでは24時間の稼働が必須となっているなどで、前例のない技術を採用しにくい面もあります。
その点、特にBtoCの自社サービスであれば、ターゲットユーザーの移り変わるニーズに合わせてサービスの改善を続ける必要があるため、さまざまな手を尽くしてサービスを作っていけます。
仕事とプライベートのバランスを取って働きたい
これはもちろん企業にもよりますし、創業間もないスタートアップ企業だとより忙しくて待遇が下がるといった可能性もあります。
その点は念頭におきつつも、やはり顧客の都合に振り回されにくいという点で、比較的自社サービス開発のほうがワークライフバランスを取って働いている人が多いと言えます。
また、客先に常駐が必須といった状況になることはないので、リモートワークを取り入れている企業が多いのも特徴です。ただし、裁量が大きく、成果主義の側面もあるので、これまでと大きく変わる働き方についていけるかもよく考えたほうがいいかもしれません。
paiza転職は、ITエンジニアとして求められるプログラミングスキルをS・A・B・C・D・Eのランクで可視化し、求人に設定されたランク以上を取った方が応募できるサービスとなっています。
技術を生かして転職をしたい方はぜひご利用ください。
受託開発と自社サービス開発の違い
よく言われるのは、技術的な能力がどれだけ必要とされるかという点だと思います。受託開発では外注先も含めて多人数で分業する形で開発をすることがまだまだ多く、少数精鋭のチームで開発をおこなうことが多い自社サービスで求められるスキルとは違いがあります。
それは受託開発と自社サービス開発で重視されるものが異なる点からもよく分かります。
受託開発で最も重視するのは、システム開発を依頼してきた顧客に対して、決められた期日までに要件を満たしたシステムを納品することです。
自社サービス開発の場合、技術力と同じくらい「このサービスでどのような利益を生み出すことができるか」を考えることができるマインドを求められます。
とは言え、SIerのエンジニア(SE)でも仕事内容は多岐に渡りますし、同時に自社サービス開発でもWeb系のフロントエンドエンジニアだけではなく、サーバサイドやマネジメント領域に近い仕事をしている方もいます。
以下の記事では、SIerでの経験を生かして自社サービス開発の企業へ転職する際にアピールできることをまとめていますので、参考にしてみてください。
まとめ
SIerから転職を考えている方に向けて、転職理由の整理と、転職先の選択肢についてお伝えしてきました。
受託開発の現状に不満を抱いている方にとって、自社サービス開発というのは非常に魅力的で、転職先としては「ここしかない!」という気持ちになるのも分かります。
ただ、求められるスキルや業務内容の違いから、なかなか転職活動がうまくいかない方もいらっしゃいます。ある程度年次を重ねると、他業種かつ他職種への転職はハードルが高く、やはりこれまでの経験を生かせる環境へ転職するというのを視野に入れる必要が出てきます。
時期を逃さず、納得のいく転職ができるよう、「自分がなぜ転職したいのか」をまずハッキリさせるところからスタートしてみましょう!
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