こんにちは。倉内です。
新年度を前に今の業務や将来のキャリアと向き合う機会が多くなり、転職も選択肢のひとつと考えている方もいるかと思います。
中途採用は新卒と違い、ほとんどが通年でおこなわれているため、まだ「転職する!」と決断をしていない方でも行動を始めてもよいでしょう。
というのも転職活動を始めてみると、自分の認識と第三者からの評価とのギャップに初めて気づくことがあるからです。特に初めての転職では、事前準備がどれだけできているかで明暗がはっきりと分かれる傾向にあります。
もちろんITエンジニアは売り手市場で、どの企業も実務経験のある人材を求めていることに違いはありません。しかし、「本気で転職したくなったときになんとかすればよい」と考えていると、思うようには進まないケースもよくあります。
そこで今回は、特に初めて転職を考えている方向けに、どういったことでギャップを感じやすいのか、またそれらをうまく乗り換えるためにどうするとよいかとお伝えしていきます。
転職活動のイメージと現実
インターネット上の転職活動記は、成功事例が多く(途中失敗があっても、よりよい着地点にたどり着いていたり)期待が膨らみがちです。
悪いことではありませんが、実際に転職活動をすると「思っていたようにいかない」「理想と違う」と悩み、必要以上にショックを受けたり悩んだりしてしまう方もいます。
また、現在所属している企業である程度の役職に就いていて、高い評価をされていると「自分はどちらかといえばできるほうだ」という自認があると思います。しかし、転職活動をすると企業からの評価にショックを受けるケースも少なくありません。
2022年3月4日にHRzineで公開された、ITエンジニアを採用している企業の採用担当者向けの調査結果(アクサス調べ)を眺めてみると、企業側の厳しい本音を垣間見ることができます。
「社内において、エンジニア採用が必要な理由を教えてください(複数回答可)」と尋ねたところ、「スキル不足のエンジニアが多い」(62.9%)と回答した企業が6割を超え、他の回答を大きく上回った。ITエンジニアの絶対数が不足しているのではなく、企業が求めるスキルを持つエンジニアが少ないことが、エンジニア採用を必要とする大きな理由だと同社は述べている。
(出典)ITエンジニア採用、多くの企業で応募者の半分は見送り、スキル不足が理由―アクサス調べ|HRzine
人材不足を中途採用で補おうとしている企業が多いにも関わらずの結果です。当然、転職者も企業を選ぶ側ではあります。それでもこういった結果があるということは知っておいてもよいでしょう。
中にはどこに行っても通用するスキルを持った、引く手あまたの人材というのも存在します。ただ、それが客観的に見てそうだと言えるか、つまり「自分のスキルはどうか?」を確かめるためにも転職活動というのは役に立ちます。
そしていざ本気で転職を考えたとき、準備が十分にできていれば初めての転職でも恐れることはありません。
動いてみて初めて分かることも多くあります。一方で、どれだけやってみても100%理想通りの会社に転職するというのは現実的には難しいでしょう。その点も理解した上で、自分が絶対に譲れない軸を定めて転職活動を進めることが大切です。
初めての転職!準備のための4ステップ
転職活動というと「面接対策をしなければ」と思う方も多いかもしれませんが、実はそこまでにやっておくべき準備がいくつかあります。
これから転職活動を始める方は以下の4ステップを意識してみてください。合わせてpaiza転職で公開している「転職成功ガイド」で参考にできそうな記事も紹介します。
1. 自分が今できることを把握する
ポイント:
- これまでの業務経験を振り返り、キャリアとスキルの棚卸しをおこなう(履歴書や職務経歴書を充実させる)
- 経験してきたことを淡々と並べるのではなく「どう考えたからこういう行動をした/判断した」を説明できるレベルまで掘り下げる
参考:
棚卸しのやり方については、以下の記事も参考にしてみてください。
2. やりたいことと今できることのギャップを把握する
ポイント:
- 転職で何を実現したいか(なぜ現職では実現できないのか)を考え、やりたいことを明確にする
- やりたいことは今の自分の経験やスキルとつながっているかを考える
- 強みになりそうなものは何か、逆に足りていないものは何かを整理する
分かりやすい例で言うと、SIerでマネジメント(もしくはそれに近いこと)をやっていて、転職で自社サービス開発のエンジニアになりたいという場合、もちろん生きる経験も多くありますが、同じITエンジニアといっても業務内容や必要とされるスキルに結構な違いがあります。
「自分がやりたいこと」も大切ですが、それをかなえるためにも「転職先では何が求められるか?」を把握することが非常に重要になってきます。
3. ギャップが大きい場合どうするか考える
ポイント:
- 譲れない条件と妥協してもいい条件を整理する
- ギャップを埋める具体的な策があれば実行する
さきほど例に挙げたようなSIerからの自社サービス開発への転職の場合、マネジメント職であっても、ある程度コードを書く力や技術的なスキルを求められる場合もあります。
このとき、そのギャップをどう埋めるかを示すことができないと選考通過が難しくなってきます。
また、転職で重視する条件はひとそれぞれかと思います。「家庭の時間を増やしたいから少し業務量を減らしたい」「将来目指す方向性のためにキャリアアップしたい」「給与を上げたい」などなど…これらの中で、自分が譲れない条件は明らかにしておきましょう。
そうするとギャップを埋める努力をしてでもやりたいことをかなえるか、他の優先したい条件を実現するために今のスキルでできる方向で考え直すか、企業選びの判断軸がはっきりします。
4. 選考対策をする
初めての転職では、面接対策はもちろん、ITエンジニア職で課されることが多い技術試験(技術面接、コーディングテストとも)にも備えましょう。
面接対策
ポイント:
- カジュアル面談を利用して情報収集をする、面談・面接の場数を踏む
- 就活しか経験していない人は中途採用の面接のセオリーを知っておく
参考:
上記のガイドページでは、「コミュニケーションで失敗しないために」「面接でモチベーションが低いと思われないために」などタイプ別に失敗事例を挙げてそれの対策をお伝えしています。
新卒と中途の面接で大きく違うのは、これまでやってきたことをどう生かして働けるかを選考過程で示すことです。
たとえば、新卒では「入社したら○○をやってみたいです」でよかったものが、「入社後はこれまでの●●という経験を生かして○○業務で成果を出せると考えています」といったところが示せるかを求められます。
面接前に考えておくとよいことについては、以下の記事も参考にしてみてください。
具体的な面接対策について解説している記事もあります。
技術試験対策
ポイント:
- よく出題される基本的な内容やアルゴリズムは押さえておく
- 知識を得るだけでなく実際に手を動かしてコードを書けるようにしておく
- 企業独自の課題であればしっかり情報収集をする
普段からコードを書いている方でも、技術試験でよく出されるアルゴリズムなどはとっさに思い出せないこともあります。
paizaで提供しているスキルチェックは、難易度別にS・A・B・C・Dランクに分けられたプログラミング問題を解いて、そのまま求人に応募できるランクを取得することができると同時に、コーディングテスト対策にもなります。
詳しくはこちら
時間制限がある中で仕様(問題文や制約条件)を理解し、それをコードに落とすというのは実際に手を動かして経験を積み重ねることが大切です。
コーディングテストについて、もっと知りたい方はこちらの記事もごらんください。
転職を決めていなくても活動するメリット
キャリアを考えるときに「転職」という選択肢が生まれる
ジョブホッパー*1になるのはあまりおすすめしませんが、キャリアアップはもちろん、何かのきっかけでキャリアチェンジしたいときにも転職活動の経験があると選択肢が広がります。
転職活動だけして、いろいろ考えた結果転職には至らなかったとしても自分の経験やスキルを振り返ったり、やりたいこと・やりたくないことを整理した事実は残ります。
たとえばですが、40代・50代で初めての転職となると慎重にならざるをえませんし、当然企業から求められるレベルも高くなります。早いうちに経験を積んでおくと、のちのち役に立つ可能性が高いです。
「安定企業」などはもう存在しない
日本は欧米諸国と違い、簡単には解雇されないと認識している方も多いと思います。特に大企業の正社員ではその傾向が顕著です。
しかし、コロナ禍もあり、大企業でも早期退職希望者を募っています。
2021年に早期・希望退職募集を開示した上場企業は84社だった。前年の93社から9社(9.6%)減少したが、2年連続で80社を超えた。
2年連続の80社超は、リーマン・ショック後の2009年(191社)、2010年(85社)以来、11年ぶり。新型コロナ感染拡大の影響が長引く業種を中心に、募集企業の数は高水準で推移している。
(出典)1000人以上の大型募集、20年ぶり高水準 コロナ禍で実施企業の二極化加速【2021年上場企業「早期・希望退職」募集状況】 : 東京商工リサーチ
もちろん「IT業界は安泰だろう」という考えも間違ってはいないと思います。
ただ、未来永劫そうかは誰も分かりません。リストラまではいかずとも、会社が不安定な状態になり、そのとき初めて転職活動をしようと思うと大変な苦労が予想されます。
まとめ
これから転職をする方、まだ転職する気はないけど気になっている方に向けて、どのように準備をするとよいかとお伝えしてきました。
ITエンジニアは専門職であり、転職でキャリアアップを実現する方も多い職業です。また、業種や扱うサービスが異なっても、これまでの経験を十分生かすことができるのが魅力でもあります。
ただ、そういった自分の経験やスキルを相手に伝える準備ができていなければ、転職活動でつまずいてしまうこともあります。
今回お伝えしたことがすべてではありませんが、少しでも転職活動の準備に役立てていただければと思います。
paiza転職では多くの掲載企業が、リモートで受けられて、企業側からも事業内容や業務に関する説明が聞けるカジュアル面談を実施しています。「なるべく外出したくない」「まだ絶対に転職したいわけじゃないけど話を聞いてみたいな」という方でも転職活動を始めやすいかと思います。
カジュアル面談について詳しくはこちらで解説しています。
paiza転職について詳しくはこちら
「paizaラーニング」では、未経験者でもブラウザさえあれば、今すぐプログラミングの基礎が動画で学べるレッスンを多数公開しております。
詳しくはこちら
そしてpaizaでは、Webサービス開発企業などで求められるコーディング力や、テストケースを想定する力などが問われるプログラミングスキルチェック問題も提供しています。
スキルチェックに挑戦した人は、その結果によってS・A・B・C・D・Eの6段階のランクを取得できます。必要なスキルランクを取得すれば、書類選考なしで企業の求人に応募することも可能です。
詳しくはこちら
*1:短期間で転職を繰り返すこと。明確な定義はないが、1~2年で転職を繰り返しひとつの企業に定着しないことを指す。