paiza開発日誌

IT/Webエンジニア向け総合求人・学習サービス「paiza」(https://paiza.jp ギノ株式会社)の開発者が開発の事、プログラミングネタ、ITエンジニアの転職などについて書いています。

ITは人の仕事を奪うのか?シンギュラリティから労働者の未来を考える

f:id:paiza:20161207184745j:plain
Photo by Dan Thornton
f:id:paiza:20140916135428p:plainこんにちは。谷口です。

コンピュータが全人類の知性を超える未来のある時点は、シンギュラリティ(Singularity、特異点、技術的特異点)と呼ばれています。

このことについて書かれた『シンギュラリティは近い―人類が生命を超越するとき』や『2045年問題』を読まれた方も多くいらっしゃるかと思います。

技術的特異点は、「強い人工知能」や人間の知能増幅が可能となったときに出現します。フューチャリストらによると、特異点の後では、科学技術の進歩を支配するのは人類ではなく、強い人工知能やポストヒューマンであり、従ってこれまでの人類の傾向に基づいた人類技術の進歩予測は通用しなくなると考えられています。

シンギュラリティを迎えたのち、人間の労働者がすべき仕事はなくなってしまうのでしょうか。

今回は、そんな人間の仕事とIT化の関係について調査したことをレポートしていきたいと思います。

技術的特異点 - Wikipedia

2045年どころかあと10年で食えなくなる!?

少し前の本になりますが、渡邉正裕氏の『10年後に食える仕事食えない仕事』を読みました。

10年後に食える仕事、食えない仕事

10年後に食える仕事、食えない仕事

こちらでは10年後、主にグローバル化によって様々な仕事がGDPの高い中国や人口増加率の高いインド等、労働単価の安い国に取って代わられるという内容が語られています。

例えば2008年に介護・看護の分野で参入規制が緩和され、日本が東南アジアから看護師や介護福祉士を受け入れることが決まりました。これに対し渡邉氏は「今後日本人の雇用との食い合いは避けられない」としていますが、実際この受け入れがうまくいっている例はまだ少ないようです。

むしろ「仕事の食い合い」という点に関しては、対外国人というよりも、むしろ対IT化という観点で考えた方がよいのではないかと思います。

昨年、オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授とカール・ベネディクト・フライ研究員が発表した『雇用の未来—コンピューター化によって仕事は失われるのか』という論文が話題となったことは記憶に新しいかと思います。

この論文では、米国労働省のデータに基づいて、702の職種が今後どれだけコンピューター技術によって自動化されるかを分析した結果、今後10~20年程度で、米国の総雇用者の約47%の仕事が自動化されるリスクが高いという結論に至ったとされています。

では、実際のITによる自動化や人工知能開発に関する例を見てみましょう。

「人手不足」と外国人(1) 「介護士・看護師受け入れ」はなぜ失敗したのか

オックスフォード大学が認定 あと10年で「消える職業」「なくなる仕事」(週刊現代) | 現代ビジネス | 講談社(1/5)


■進むIT化と人工知能開発

f:id:paiza:20161207184839j:plain
Photo by PRODagny Mol

◆自動車工場のロボット達

テスラモーターズは、かつてゼネラル・モーターズトヨタ自動車が合弁生産していた工場を買収し、革新的な車づくりを進めています。

工場では、世界最高精度とされる大型ロボットの一体がクレーンのように車体を持ち上げれば、もう一体はモーターなど重量の大きい部品を組み付ける力仕事に回ります。一般的な車の組み立てはリフトなどで車体を持ち上げますが、テスラの工場ではこうした上げ下げの大半をロボットが担います。一見効率が悪いように見えますが、プログラムマネジャーのアダム・スラッサー氏は「ロボットが動きやすくなるほど1台でできる仕事が増え、組み立て時間も短縮できる」と語ります。工程が増えればロボットのプログラムや配置を変更するだけで済むのです。

EVの革命児テスラ、工場の主役はロボット :日本経済新聞


◆介護の現場で働くロボット

パナソニックは、介護ロボットの開発戦略を進化させています。ベッド型介護ロボットは、中重度の要介護者が寝たきりにならず、ベッドから車いすに移動するのを楽にし、自立を支援し移動の自由を手に入れてもらおうというものです。ベッドが真ん中から2つに分かれ、片方の背中が持ち上がりリクライニングシートとなり、車いすになります。

パナソニックの介護ロボ ベッド型に見える本気度 :日本経済新聞


IBM人工知能事業強化のためにデータ分析ソフト社を買収

IBMは、人工知能型コンピュータ「ワトソン」の本格的な事業化に向けた基盤を強化するため、データ収集・分析ソフトウェアを手がける新興企業Alchemy APIを買収したと発表しました。Alchemy APIはすでにワトソンを利用しツール開発を手がけるデベロッパー約4万人を抱えており、IBMは買収によって大規模なユーザーベースを獲得することになります。

米IBMがデータ分析ソフト社買収、人工知能事業強化 | ロイター


Googleが開発した学習する人工知能DQN

Googleが開発した人工知能DQN」(deep Q-networkの略称)が話題になっています。

DQNは、Googleが子会社化したディープマインド社が開発した、人間の脳の神経回路を真似て作られた自ら学習する人工知能です。

これは既に『人間プログラミングしたとおりにしか動かない』というITの特性を覆しています。

ゲームを使った学習実験では、最初は低得点のゲームでも繰り返しプレイさせて学習させることによって、高得点を出せるようになっていきました。

DQNは、プログラミング等といった人間の手を借りずに、自らの機能を成長させていける人工知能と言えます。


■技術革新と人間の歴史

技術革新によって「人間の仕事が奪われる」恐れが誕生する現象は、古く産業革命の頃から繰り返されてきました。

産業革命当時、機械使用の普及により、それまで手作業でモノを作っていた労働者達は失業の恐れを感じ、「ラッダイト運動」という機械を破壊し、使用をやめさせる運動を起こして問題となりました。

しかし、その後の労働者達は、恐れていた通りに機械のせいで仕事を失って路頭に迷ったのでしょうか?

結果としては、機械の発達・普及により労働自体が効率化したことによって、生産性が大幅に向上しました。そして上がった分の儲けが労働者に還元されることによって、中流階級が生まれたのです。

当時イギリスの経済学者マルクスは「資本家と労働者の二極化が進む」と考えていましたが、後にピーター・ドラッカーはその説を間違いだったとし、労働者が自分たちを中流階級として意識するようになった変化についてを著しています。

かつての労働者達が新たに中流階級という層に変化していったように、技術革新というのは、ある仕事を人間から奪う一方で、新たな多く職業を世の中に生み出してきました

例えば、工業の世界では、産業革命以後しばらくは、機能性はありつつも、美しさには欠ける製品が溢れていました。しかし、そのような工業画一品ではなく、大衆の身近にもっと造形の美しいものがあったら良いのにという想いから、デザイナーという職業が生まれました

また、現在も不況が続く出版業界では、多くの人が紙媒体からWeb媒体へ移りましたDTPWebデザイナーへ、編集・ライターが紙からWebの運営へ転向していった人達は、私の知り合いにもたくさんいます。

教育の分野では、今後eラーニングやオンラインでの学習環境の発展によって、講義形式で一方的に教えるだけの教師という仕事は無くなるとも言われています。しかしその代りに、家で講義的な内容は学び、学校では議論するようになるなどの変化が起き、教師は学びを促進させるファシリテーターのような職業へと役割の変化が起きる可能性は高いでしょう。

ITエンジニアという仕事も、現在使われている主なプログラミング言語の原型が開発されたのは1960年代から1970年代末頃であり、まさに技術革新によって生活がどんどん便利になっていく過程で新しく誕生した職業に当たります。それ以前には存在していない職業だったのです。

「コンピュータに仕事が奪われる」は本当か | 安達裕哉

http://zxcvbnmnbvcxz.com/log/donguri_minabe_01/


■まとめ

世の中に存在していた職業は、減少していく一方で、技術革新に寄り添う形で変化を遂げてきました。本当のシンギュラリティを迎えるまでは、コンピューターに付随する仕事などは今後もどんどん増加していくことと思います。

ただ、だからといって安心できるわけではありません。

単純な肉体労働や知識労働だけで完結するような仕事は、今後どんどんロボットやビッグデータによる情報分析やセンサーによる認識能力の組み合わせ等に取って代わられていくことは目に見えています。今後人間に求められてくるのは、例えば肉体と知識労働の高度な組み合わせが必要な業務や、より創造性が必要とされる業務になってくるでしょう。

ITエンジニアは、仕事を奪われる側と言うよりは、奪う側にいる訳ですが、コピペで言われた通りの処理システムを組むような業務は価値が低く、安泰とは言えないでしょう。まだ世の中にない新しいサービスや価値を生み出すようなエンジニアになっていく事が長期的には求められると思います。

そんな中で「どうせすぐには変わらないでしょ」「自分はこのままでいいや」と考えている人は、それこそITの発展に伴う仕事の変化についていけず、淘汰されてしまう可能性があります。

Amazonが登場し、町の書店が次々と廃業に追い込まれたように、大きな変化は知らず知らずのうちに少しずつ進行しており、最初は馬鹿にしていたものに、後々飲み込まれてしまうというのはよくある話です。

IT化によって職業は変化し、新しい仕事はどんどん生み出されていきます。今後を生きる我々には、その変化に常に対応できる状態でいることが必要になってくるのだと思います。




paizaではITエンジニアとしてのスキルレベル測定(9言語に対応)や、プログラミング問題による学習コンテンツ(paiza Learning)を提供(こちらは21言語に対応)しています。テストの結果によりS・A・B・C・D・Eの6段階でランクが分かります。自分のプログラミングスキルを客観的に知りたいという方は是非チャレンジしてみてください。

また、paizaオンラインでプログラミング学習ができるパイザ・ラーニングに、この度動画で学習できるレッスンが追加されました。動画を見たり補足テキストを読んだりしながら、自由にコーディングをして実行結果まで確認することができます!レッスンは今後どんどん追加されていく予定ですので、ぜひプログラミング学習に、教育に、お気軽にご活用いただければと思います!


http://paiza.jp