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学生が企業選びで失敗しないために知っておきたい世界と日本のIT競争力

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Photo by Tendenci Software
こんにちは。林です。

IT技術の発展が国の未来を左右する」と言うと、ちょっと大げさだなと思う人もいるかもしれません。

でも、これは冗談でもなんでもなく、優秀なITエンジニアがいない国に未来はないと言っても過言ではないのです。

世界的に見たIT業界の大きな流れというのは、学生さんが新卒応募する企業を選ぶ際にも、「業界の今後はどうなるの?」「この企業の将来性は?」といったことを考える際にも参考になる情報です。

「プログラミングが好きだからITエンジニアを目指しています!」という学生さんに話を聞いていると、「プログラミングができればどこでもいいと思っているので、特に業界や企業の研究はしていない」と思っている方が結構いらっしゃいます。

実際に、情報系の学校で優秀なプログラミングスキルを身につけた学生さんが、研究等であまり就活に時間がとれず、内定が出たSIerの下請けに入社した結果、スキルを全く生かせない業務しか回って来ず、結局辞めてしまう……というパターンも何度も見てきました。

今回は企業選びの際にも役立つ、業界の流れと日本のITの未来、また見習うべきIT先進国の国力について、データをもとに考察していきたいと思います。

■少子化が進む日本を没落させないためには

みなさんも、日本では少子化が進んでいるというニュースを聞いたことがあると思います。現在の日本の出生率は、1.42。このままだとどんどん人口が減っていくことは明確で、大きな問題になっています。

でも、人口が減ることが、なぜそんなに問題視されるのでしょうか。

それは、日本の国が何によって支えられているのかを考えるとわかります。国の経済は、国土の大きさや資源など、さまざまな要素によってなりたっていますが、いずれもあまり豊かではない日本を支えているのは「人」以外の何物でもありません。何を作るかを考え、実現する「人」の頭脳や技術があるからこそ、経済大国になることができたのです。

現在、日本の人口は約1億2700万人ですが、このまま少子化が進むと2050年には1億人を割りこむことになります。高齢化も進むため、労働人口の落ち込みはさらに激しく、現在の約6800万人から約4400万人まで減少してしまいます。一人で稼ぐ金額が変わらなければ、日本の経済規模はどんどん縮小していくことになります。

というわけで、少子化はたいへん問題視されており、少子化対策もいろいろ行われてはいますが、今後いきなり出生率が上昇することを期待するのはちょっと難しそうです。そうなると、限られた人数のなかで、日本の国の力を維持、または高めるには、一人当たりの売上高を増やしていくしかないという結論が導き出されます。

IT業界は、ほかの業界に比べて一人当たりの売上高が高いので、国のためにもIT技術者が増えたほうがよいと言えます。加えて、昨今のIT技術者の不足感の高まりや、今後情報産業の重要性がますます高まることも見越せば、若い人たちにはぜひIT技術者を目指してもらいたい、ということになります。

しかし、単にIT技術者が増えるだけでは、このグローバル社会ではやっていけません。IT関連の開発業務のなかにも、言われた通り作るだけの単純労働があるからです。単純労働は、必然的に人件費が安いほうへと仕事が移っていきます。IT分野においても、製造工場が中国などに移されていった歴史と同じ道をたどることは、想像に難くありません。ベトナムやインドネシアなど、若い人が多く人件費の安いアジアの各国では、IT開発のオフショア誘致に熱心で、実際に多くの企業が利用しはじめています。

システムの部品作りのみのようなIT系単純労働を主な業務としている企業は、いずれその仕事のほとんどをオフショアに取って代わられてしまう可能性があるのです。

◆IT技術者 職種別平均給与(2009年)

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情報処理推進機構 「グローバル化を支えるIT人材確保・育成施策に関する調査」概要報告書

しかし、いまの日本のIT企業には、受託を主とする労働力提供型が多いのが事実です。仕様書通りに部品を開発するのではなく、その人ならではのアイデアや知識、技術を生かした開発をしていかなければ、日本のIT業界の未来は明るいとは言えません。労働集約型ではなく知識集約型に移行することが必要です。もちろん、そこには、それだけの能力を持った技術者が必要になります。

ITエンジニアを目指す学生の皆さんは、ぜひそういった技術力を伸ばせる環境のある企業を選んでいただきたいと思います。

■世界のIT先進国の状況

経済をリードするようなIT企業といえば、GoogleやAmazonなどが思い浮かびますが、世界各国に目を向けると、アメリカ以外にも有力なITベンチャーが次々と誕生しています。

たとえばイスラエル。人口1000万人に満たない小国ながら、高度な技術を持った企業が多く生まれ、GoogleやAppleに次々と買収されています。

◆買収されたイスラエル企業例

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ITベンチャーが多く生まれる下地には、イスラエルの優れたIT教育があると言われています。いまでこそ世界の各国でプログラミング教育の重要さが説かれていますが、イスラエルはいちはやく2000年に高校のプログラミング教育を必修化しました。現在IT先進国として確固たる地位を獲得した背景には国を挙げた人材育成への取り組みがあり、着実に成果を上げてきているのです。

IT先進国といえば、北欧各国を挙げないわけにはいかないでしょう。福祉やダイバーシティなど、さまざまな面で世界の先端を行く北欧だけあって、IT力も世界のトップを走っています。世界経済フォーラム(WEF)の世界ITレポートでは、2位にフィンランド、3位にスウェーデン、5位にノルウェーが位置しています。

◆IT競争力の国際ランキング

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有力なネット企業も次々誕生しています。最近日本でも定額音楽配信サービスが話題となっていますが、スウェーデンのSpotifyは早くも2006年にサービスをスタートし、提供国は60国近くに上っています。また、フィンランドはノキアという超巨大企業で有名ですが、そのほかにもLinuxやMySQLの生まれ故郷でもあり、最近では世界で大人気のゲーム「Angry Birds」も登場するなど、時代に沿って新たなサービスを生み出し続けています。

いずれの国も、国を挙げてITへの投資に積極的であり、スウェーデンではかつてから世界的なIT企業が研究開発センターを置く「シスタ・サイエンスシティ」)(通称ワイヤレスバレー)などが発達していたり、フィンランドでも国からITベンチャーへ多額の資金援助が行われていたりします。もともと発明家や企業家が生まれ育ちやすいという土壌に加え、具体的な援助が行われているとあれば、ITベンチャーが次々と誕生しているのも納得です。

先ほどのランキングをもう一度見てみましょう。トップに君臨しているのは、アジアの極小国シンガポールです。人件費を抑えるためのオフショア先としての役割を担いがちなアジア各国において、シンガポールは異色の存在です。東京23区と同じくらいの大きさしかないシンガポールでは、労働力の提供元として勝負できるわけがなく、また国内の市場に期待することもできません。その結果、IT企業は高い技術力によって開発したサービスや製品を海外に輸出することで生き残りをかけることになるわけです。実際、輸出額は全体の6割以上を占めています。シンガポールは1992 年以来「IT2000:Vision of an Intelligent Island」として、ICT戦略を推進しており、2000年には早くも「情報通信収入に占める輸出割合を現在の 50%から 70%にする」ことを目標に掲げています。

以上のように、世界的なIT先進国となれるかどうかには、国土の広さや人口が多いかどうかは重要ではありません。小さな国でも、世界的企業が続々と生まれるシリコンバレーになり得ることができるのです。むしろ、小さな国が生き残っていくためには、世界的に通用するようなIT産業を推し進めていくしかないと言い換えることもできるでしょう。

■サービスを提供する「理念」を持った企業を選ぼう

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日本が生き残っていくためには、以上のようなIT先進国を参考に、ITサービスで勝負できる企業を生み出していくしかないでしょう。日本は超大国ではないかもしれませんが、まだそれなりに人口が多く、国内経済規模も大きいため、既存の大企業や公的機関の受託をしていくだけでも、IT企業が食べていけているという実態があります。しかし、最初に述べたように、これから人材が減少していくなかで、そのビジネスモデルだけでは遅かれ早かれ行き詰まることは目に見えています。これからは、「言われたものを作る」という受け身の姿勢ではなく、その企業ならではのサービスを打ち出し、世界で勝負していくことが必要になってきます。

そのような強い意志を持った企業であるかどうか。企業にビジョンがあるか、何を目指そうとしているのか。あらかじめ知る手がかりとして、「会社の理念」や「社是」があります。ネットで検索してみると、日本のSIerが掲げている社是には、「お客様のために」「取引先と共に成長」などのことばがずらずらっと並びます。
では、海外で成功しているIT企業はどうでしょうか。

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いずれも、このひとことだけで、何をめざす企業なのかが一目瞭然ですね。はっきりとしたビジョンを持ち、サービスの創出と提供に価値があると考える企業でなければ、世界の頂点に立ち、未来を作り出すことはできません。

企業の目標や将来のビジョンというのは、企業選びの際も参考になる情報です。目的やビジョンがはっきりしており、また目指す将来像に共感ができる企業に入ることができれば、日々の業務でもおのずと自分の作るべきものや学ぶべきことを常にはっきり掴んだ状態で仕事をすることができるでしょう。

■まとめ

今後IT化が進むなかで、ITエンジニアの存在はますます大きくなっていくでしょう。

せっかくのチャンスをつぶさないためにも、技術力を活かせる企業を選ぶことは大切です。せっかく夢を持って入っても、気がつけば受託構造の片隅で、言われたことをやるだけの単純労働者になってしまう恐ろしい可能性もあります。

新卒のみなさんも、ぜひ、サービス提供に重きを置く企業を選び、間違ったスタート地点に立たないようにしてください。そして、世界を変えるようなサービスを生み出し、国を引っ張っていく人材へと成長していくことを願っています。


(参考資料)
ネット企業が続々誕生 フィンランドの秘密 | 週刊東洋経済(ビジネス) | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース

http://www.sekai-lab.com/times/?p=1343#TV

[シンガポール]アジアのデータセンターが集積 | 日経クロステック(xTECH)

JICA研究所:JICA国際協力総合研修所・JBIC開発金融研究所の調査研究情報 | 補論 3 アジア各国における ICT 活用促進の取り組み

ホントに高い?日本人IT技術者の給与は世界第何位か|【Tech総研】




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