paiza開発日誌

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年収格差は倍以上!?ITエンジニアをとりまく日本とアメリカの労働環境の違い

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Photo by Tax Credits
f:id:paiza:20180910132940p:plainこんにちは。倉内です。

ここ最近国内大手IT企業のリストラについてのニュースが続いています。

IT大手、リストラ続く 富士通やNEC、「GAFA」に後手 :日本経済新聞

昔ながらのやり方を変えられず、ユーザーのニーズやIT技術の変化を見据えることができない企業は、たとえそれが大企業であっても淘汰されていく時代なのかもしれません。

また、日本では長い間、終身雇用や年功序列といった評価制度がスタンダードになっており、能力のある人が相応の評価や報酬を得られず、それらを得られる国や企業へ人材が流出し競争力を失ってきました。

一方、日本でも一部の企業はとっくにそのことに気づき、従来の日本のやり方を踏襲するのではなく、アメリカのような成果主義・実力主義で時代の変化にも対応し、成功している企業も存在します

そこで今回は日米の労働環境に関するデータを見ながら、なぜ日本の大手IT企業が現在のような状況に陥ってしまったのか、そして日本で働くITエンジニアの今後について考えていきたいと思います。

日米のIT企業における4つの違い

ITエンジニアになる人の違い

アメリカでITエンジニアになれるのは、ほとんどが大学でコンピュータ・サイエンスを学んだ人です。アメリカが学歴社会だと言われる理由でもあります。

日本でも情報工学を学んだ人がITエンジニアになることはありますが、そうでない人も多いのが実態です。もちろん誰にでもチャンスがあるのは悪いことではないと思いますが。

ここで「AppleやGoogle、IBMは従業員に学位を必須としないと発表したのでは…」と思い出した方もいるかもしれません。

14 companies that no longer require employees to have a college degree

しかし、上の記事にあるとおりIBMは「コーディングブートキャンプや業界関連の職業訓練クラスを通して実際に経験を積んだ候補者に目を向けている」と発言しているため、やはり根本的な考え方は変わっていないと思われます。

アメリカには日本のように新卒だろうと未経験者を育てるという考え方はなく、実力がないとITエンジニアとして採用されません。採用方法も新卒一括採用ではなく通年採用が主流です。

勤続年数から見る雇用流動性の違い

IT企業のデータを見る前に、少し古いですが2016年の国別の平均勤続年数のデータを見てみましょう。

国名 総合 男性 女性
日本 11.9年 13.3年 9.3年
アメリカ 4.2年 4.3年 4.0年

出典:データブック 国際労働比較 2018

日本は世界の中でも勤続年数が長く、1位のイタリア(12.1年(総合))に続いて2位となっています。反対にアメリカは調査対象14ヶ国の中で勤続年数が最短です。

冒頭にも述べた日本の年功序列制度では長く勤めれば自動的に待遇がよくなるため、従業員の勤続年数は長くなる傾向にあります。

アメリカの場合は1つの会社に居続けることで待遇がよくなることはほとんどなく、待遇を上げるためには転職(=キャリアアップ)するという考え方が一般的です。アメリカ人は生涯で11もの職を経験する…つまり転職を10回するという調査結果もあるくらいです。


それでは、シリコンバレーのIT企業の平均勤続年数を調査した結果を見てみます。

企業名 平均勤続年数
Cisco 7.8年
Oracle 7年
Adobe 5.3年
Apple 5年
Twitter 4年
Salesforce 3.3年
Alphabet(Google) 3.2年
Netflix 3.1年
Airbnb 2.6年
Facebook 2.5年
Tesla 2.1年
Dropbox 2.1年
Uber 1.8年

出典:Here's how long the average employee stays at the biggest tech companies - Business Insider

短い……!5年以下がこんなに多いとは驚きです。もちろん若い企業もありますが、OracleやCiscoといった比較的歴史の長い企業でさえ7~8年です。

LinkedInで収集されたデータによると、2017年のIT業界(ソフトウェアおよびインターネット企業)は、他の主要産業と比較して離職率がもっとも高い業界だったそうです。


続いて日本のIT企業の平均勤続年数を見てみます。

今回は大学生の人気IT企業ランキングを参考に有価証券報告書(2018年、楽天・LINE・クックパッドは2017年)を公開している企業をピックアップしました。

企業名 平均勤続年数
富士通 20年
NEC 19年
日立製作所 18.8年
SCSK 18年
NTTデータ 14.7年
NRI 14.6年
Yahoo 6.5年
ぐるなび 5.6年
サイバーエージェント 5.2年
楽天 4.9年
カカクコム 4.8年
GREE 4.3年
mixi 3.4年
LINE 3.4年
クックパッド 2.8年
コロプラ 2.6年
メルカリ 1.3年

出典:各社の2018年もしくは2017年の有価証券報告書

日本のIT企業では、勤続年数が長い企業と短い企業と二極化しています。

これはもちろん第一には、設立から年数が経っている企業は長いという当然の理由が挙げられます。例えば、富士通の設立は1935年、対してメルカリは2013年です。

別の理由として、公共系システムのSIなどを得意とする大企業は雇用流動性が低いため勤続年数が長く、ベンチャー企業やBtoC向けサービスを得意とする企業は雇用流動性が高いため勤続年数が短いという傾向があります。

もちろん年数だけを見て判断することはできませんが、特にIT企業においては、あまりにも平均勤続年数が長いと「上の世代が多くて昇進しづらそう…」、「新しい技術にチャレンジする環境じゃなさそう…」といったネガティブな印象を受けることも多くなってきました。

ITエンジニアの年収の違い

日米のITエンジニアの年収の違いも確認しておきましょう。

今回は企業の口コミ情報を軸にした求人検索サービスGlassdoor(2018年にリクルートHRが買収)で「Job: Software Engineer」を指定して出た値を用います。あくまでGlassdoorにある情報を元にした値なので「もっともらってるぞ!」という方もいるとは思います。

都市 平均年収 国際平均との差 最低年収 最高年収
Tokyo, Japan 580万円 1% above 394万円 800万円
San Francisco, USA 1,395万円 22% above 1,063万円 1,760万円

※2019/02/25時点のレートで日本円に換算
出典:Glassdoor Job Search | Find the job that fits your life 

サンフランシスコは物価や家賃など生活にかかる費用が高いため一概には言えませんが、年収だけで見るとかなり差があることが分かります。

アメリカではITエンジニアは他の職業と比べても年収が高い職業です。これはITエンジニアが「ITを活用して価値のある新製品・新サービスを生み利益を上げる職業」と認識されているためです。アメリカでは給与レベル同様、ITエンジニアの地位も高いと言えます。

一方、日本では従来、コスト削減を目的としてITを活用する企業が多く、ITエンジニアは「利益を上げるための業務ではなく裏方的な仕事」と考えられていました。この認識の差が年収にも現れていると言えるでしょう。

ちなみにシリコンバレーのAIエンジニアは年収5,000万を軽く超えるという情報も見かけました。AIの専門家の希少価値が高いのは日米変わりませんね。(待遇は……)

解雇に関する制度の違い

IT企業に限りませんが、アメリカと日本が今も決定的に違うのは解雇に関する部分です。罪を犯して懲戒解雇に…となるとまた別の話ですが、日本ではある日突然従業員を解雇することは法律で認めていません。これは「労働基準法第20条で労働者を解雇する場合、30日前の予告を義務付けている」ためです。

一方、アメリカでは州によって違いはあるものの、多くの州で自由意志雇用契約(At-Will Employment Contract)によって突然の解雇を認めています。「レイオフ(一時解雇)」という言葉を聞いたことがある人もいるでしょう。逆に重要な仕事を持っている従業員が急に辞めたとしても法律上問題になることもありません。

解雇についてアメリカとの文化の違いがよく分かる投稿が少し前に話題になりました。

アメリカでは仕事をいきなりクビになることがあると聞きますが、そのクビになった人が持っていた仕事はきちんと他の人に引き継がれるのでしょうか? - Quora

特に違いを感じたのはアメリカでは引き継ぎをしないという部分で「前任者の仕事のやり方を引き継ぐのではなく、新しいやり方を実践しなければ評価されない」と考えているところです。

日本は仕事が属人化していますし、慣れたやり方を変えることを嫌がる風潮にあるため、仕事のやり方そのものを改革しないと難しいですね…。

実力主義社会で生き残るには

アメリカのITエンジニアが置かれている状況

アメリカではスキルや実績があって初めてITエンジニアとして仕事に就くことができるとお伝えしました。

実力のあるエンジニアであれば、各企業から好待遇を提示され、よりよい条件の企業を選んで転職することができます。逆に相応の実力がないと簡単に解雇されてしまいます。転職経験が多いほうが相対的に見て実力が高いと言われるのはこのためです。

つまりアメリカではITエンジニアとして生きるためには実力を磨くしかないのです。

これは日本の大手IT企業に代表されるような、年功序列制度の中で働いているのとはまったく違った環境であると言えます。

日本のIT企業の変化

年功序列制度では若いうちは給与が低く、能力による評価がされにくいため、若くて能力が高い人材ほどアメリカのような実力主義の国や企業へ流出していきました。

しかし、最近は年功序列制度は崩壊しつつあり、特にIT業界においては、日本でもアメリカのように実力で評価しようという企業も現れています

例えばサイバーエージェントが新卒の初任給制度を撤廃して能力評価で年俸制にしたり、Yahooがエンジニアの中でもスペシャリストコースを設け650万円以上の年俸を提示したり…他にもLINEやDeNAも同様の動きをしています。

能力相応の評価や報酬を得られるようになるというのは非常にいいことです。

また、世界の中で競争力をつけるには優秀な人材を獲得し、よりよいサービスを生み出さなければならないと企業が考えている証拠でもあります。

変化に対応する準備をする

日本でも少しずつアメリカのようにITエンジニアが高度な専門職と認められ、年齢や役職ではなく、実力で評価されつつあることが分かりました。

しかし、従来の日本企業に慣れきってのんびり過ごしてしまうと、できる人たちとの差がどんどん広がって、気付いたときには取り返しがつかないことになっているなんてことも考えられます。このニュースもひとごとではありません。

IT大手のリストラ組 人手不足でも転職難しい? :日本経済新聞

こうならないためには準備が必要です。例えば、今の環境でスキルアップをするのが難しいのであればpaizaラーニングのような学習サービスを利用してスキルをつければいいですし、正しい評価を得られていないと感じるなら転職してみるのも一つの手段です。

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まとめ

日米の労働環境に関するデータを見ながら、今後ITエンジニアとしてどうすればいいかということを考えてきました。

冒頭に挙げたように一昔前は絶対安定と思われた大企業でさえもどうなるか分からない時代です。

日々忙しく働いていると5年後10年後に業界はどんなふうに変わって、自分はどうなりたいか(どうなってないといけないか)を考えることを忘れがちですが、今少しでも危機感を覚えた人はできることから始めてみましょう。

取り組みやすいところでいうと、「キャリアの棚卸し」をやってみるのがおすすめです。自分がやってきたこと・自分ができること・自分がこれからやりたいことを明らかにすることができます。

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ITエンジニアとしての市場価値が上がればそれだけ選択肢が広がり、よりよい環境を求めてチャレンジしやすくなります。



 

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