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こんにちは、谷口です。
2016年卒業予定者は学部3年の3月から企業説明会や採用情報が解禁され、面接等の採用選考開始は4年生の8月からスタートということになりました。就活のスタートは、例年に比べて3か月遅くなったことになります。
後ろ倒しになった今年の就活スケジュールですが、例年と比べてどんな影響が出たのでしょうか。来年以降はどうなっていくのでしょうか。
今回は、就活解禁時期の変動が及ぼした影響と今後の就活戦線についてを考察してみました。
■そもそも何で就活開始時期は後ろ倒しになったの?
就活解禁時期が後ろ倒しになった背景には、いくつかの理由があります。
一番に挙げられるのは、「学生が学業に専念する時間を増やすため」というものです。解禁時期を遅らせれば、学生の本分である勉強をする時間が単純計算で増えるとする意見から来たものかと思います。
また、海外の大学は大体6月に年度が終了するため、帰国した留学生等、グローバル人材を欲しがっている企業にとっても都合がいいということになります。
このような理由から、経団連は採用活動の開始時期を後ろ倒しする旨の指針をつくり、加盟企業に呼びかけました。
就活の“後ろ倒し”は迷惑?大学生の本音 | リーダーシップ・教養・資格・スキル | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース
■実際今年の就活ってどうだったの?
ディスコが2016年卒業予定の全国の大学4年生を対象に、就職活動状況に関する調査を実施しています。7月1日時点の就職活動状況について尋ねたところ、内定率は50.6%という結果が出ました。
6月調査時点は35.1%だったため、1カ月で15ポイント増加したことになります。
例年の選考解禁1ヶ月前(3月時点)の内定率は5%前後でしたので、それと比べるとかなり上昇している……というか、経団連の指針変更にもかかわらず、実際には採用活動を開始している企業が多数存在していたということになります。
■後ろ倒しによる影響
後ろ倒しの結果、就職活動には支障が出た、大変になったという意見が続出しています。
結局のところインターン等の開始時期は変わらなかったので、面接開始時期だけが後ろ倒しになって、かえって就活時期が延びたという意見を多く目にします。
ほかにも後ろ倒しに伴い、具体的には以下のような影響が目立っているようです。
・理系修士は例年早めに就活を終わらせればそれ以降は卒業研究に集中できたのに、就活の解禁時期を遅らされては研究に没頭できる時期が激減する
・時期が重なるスポーツの大会やリーグ戦に4年が参加できなくなる
・教育実習や国家公務員試験と重なる
・暑い中スーツで面接のため企業に通うのは大変
学業に専念するためという名目で後ろ倒しになった就活ですが、実際には上記のような支障が出ています。
就活を後ろ倒しするだけで他に何も対策を講じないのであれば、研究等のそれまでのスケジュールを踏襲している部分にしわ寄せが来てしまうことは容易に想像がつきます。
これまでは学業、特に授業だけではなく研究や卒論、体育会系の大会や教育実習、公務員等資格試験など、学生達にとって多くのスケジュールの間に就活も何とかおさまっているというような状態でした。そのため、就活だけを後ろにずらしただけでは当然前後のスケジュールに支障が出てしまい、かえって負担が大きくなるだけになってしまいます。
就活の解禁時時期を変更するのであれば、研究等の大学3~4年生に関わる全てのスケジュールにまで全面的に手を加えるような抜本的な改革を実施しないことには、根本からの改善は難しいでしょう。
■既卒採用・通年採用について
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日経新聞8月1日の社説で、企業が新卒一括採用だけでなく、既卒者採用にも力を入れるようになれば「学生も早い時期からの就活を見直すだろう」という話がありました。
また、時期を固定した一括採用にこだわらない通年型の採用を行えば「学生の負担は和らぐはずだ」とするなど、学生の負担を軽減しようとも訴えています。
今回の後ろ倒しで、企業側も手探りの採用活動をすることになったかと思います。しかし一部は、そもそも新卒の人材にこだわりすぎるがゆえに採用活動に支障が出てきている、また学生にも新卒で何としてでも就職しなければと負担が大きくなっていく面もあります。
優秀な人材であれば新卒一括採用だけでなく、通年採用や既卒採用も考慮するという方針の企業が増えれば学生の負担も減ることでしょう。
◆通年採用について
以前、楽天が新卒も通年採用を実施すると発表しました。
経団連が本当に学生のことを考えているならば、いずれは通年採用が主流になるときが来るかもしれません。
しかし、企業は、優秀な学生を他社にとられる前に確保したいので、できるだけ早く採用を決めたいと考えます。また最近は企業が内定者に就活終了を求める「おわハラ」が話題になりましたが、通年採用となると学生を確保しておきたいがため、学生にそのようなことを言う企業が増える可能性もあります。
通年採用は、企業側の負担も増えるため、まだしばらくは全体が通年採用となるのは難しいでしょう。
■まとめ
後ろ倒しに関しては、この指針を決行した経団連上層部の考えと、就活現場での実状が乖離していたことが、学生からも企業からも不評を招いた原因かと思います。
本来であれば、もっと現代の就活の実情を調査し、大学や企業とも連携をとった全体的な対策をとる必要があったことかと思います。就活以外の学生の予定を考えず、安易に解禁時期の後ろ倒しだけを強行してしまっては、来年も就活生が多大な苦労を被ることは目に見えています。
それでなくとも就活というのは学生にとって苦労が絶えないものです。(私も就活生の頃何度も泣きました)
日本の就活スタイルは、新卒重視の一括採用、黒髪スーツ必須……などなど異様な部分は多数ありますが、現在こうしてほとんどの業界で確立されている就活スタイルをすぐに崩していくことは、現実的に考えてなかなか難しいことだと思います。
また、学生にとって、新卒として就活ができる時期は一度に限られています。学生の本分がおろそかにならないように解禁時期遅らせよう!→学生がかえって大変になったからもとに戻そう!となったところで、前の年の学生が強いられた苦労は戻ってくるわけではありません。
学生の負担が少しでも減らせるよう、我々採用に関する仕事に携わる人間が慎重に考えていかなければならないことは多いと思います。
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