Photo by Startup Stock Photos
こんにちは。谷口です。
paizaでは、ITエンジニアの求人募集をしている企業のご相談にも乗っています。
その中で、スタートアップ企業では「まだ社内にエンジニアがいないので、早急に採用したい」というケースも多くあります。
しかし、社内にシステム開発に詳しい人がいない企業だと、「とにかくハイスペックで、何でもできるスーパーエンジニアを採用すれば間違いないでしょ!」と勘違いをして、的外れな求人募集をしてしまいがちです。
まず、「何でもできるエンジニア」がたくさんいて、その上で「そういう人がうちの会社に応募してきてくれる」と思っているのが大きな勘違いです。
加えて、そこまでの超絶ハイスペックじゃなくても、スタートアップにおける開発業務で重要なポイントをおさえたエンジニアであれば、十分に優秀な働きをしてくれます。
今回は、エンジニアがほしいスタートアップ企業に多い勘違いと、どんな人を採用すべきかについて考えていきます。
■スタートアップの採用担当者が勘違いしていること
◆全部が100点のスーパーエンジニアなんてめったにいない
エンジニアの採用にあたって、開発経験がない人ほど「何でもできる人がほしい!」と考えがちです。
でも、例えば同じようなサービスを作っている企業で活躍して評価されている人たちが「何でもできる人」なのかというと、そうではありません。
開発経験のない人ほど「何でも」と簡単に言いますが、開発技術の領域は多岐に渡ります。そして、エンジニアにはそれぞれ得意分野があります。
いま、現役エンジニアとしてバリバリ開発している人たちでも、「全ての分野で100点がとれる人」なんてそうそういません。(ごく少数いたとしても、そんな人たちはひっぱりだこで仕事なんか選び放題ですから、雲の上の存在だと思ったほうがいいでしょう)
現実的に考えて、「80点をとれる科目が1つか2つあって、他の科目は60~40点ぐらい、そこそこ広い分野の知識はあるので、調べながらなら大体のことはできるはず…」というスキルレベルであれば、十分活躍できるレベルの人材かと思います。
実際にpaizaでも、ほとんどいない「何でもできる人」を求めて、必要以上に必須要件を盛ったり、Sランク限定の求人票を出したがる採用担当者の方は少なくありませんが、ほとんどは「全然応募が来ない…」という結果になってしまいます。
そういった企業からご相談を受け、「必須要件はこれがあれば十分で、これは不要では?ランクもこの業務内容であればBランクから応募できるようにしたほうがよいのでは?」といったご提案をすることもあります。それがきっかけで、本来求められているレベルの方(もちろんそれでも十分優秀な方です)からの応募が増えて、採用に至ったケースも少なくありません。
◆尖ったスキルセットは必須ではない
また、「何か深く極めた分野がある人なら素養があるだろう」と、本来求めるべきスキルセットとはズレたものを求めてしまう採用担当者の方もいます。
もちろん、深く極める中で汎用性のある技術や知識を得てきた人も多いです。ただ、Webサービスを開発したいスタートアップの最初のエンジニアとしてそういう人がふさわしいかというと、多くの場合、その狭く深く極めた分野の知識が必要なわけではないですよね。例えば「UNIXを極めています」という人が来てくれたとしても、実際に企業側がやってほしいのは「動くWebサービスを作ってなるべく早く実用まで持っていくこと」ですから、スキルセットとしてふさわしいとは言えません。
そもそも小規模なスタートアップのほとんどは、業務ごとに分業できるほどの数の人員がいませんよね。むしろ、「自分がやりたいこと・得意なこと」に限らず、「必要があれば幅広くやってもらいたい」という場面が多いはずです。
そんな中で、深く狭く専門性を極めたいタイプのエンジニアを雇っても、企業とエンジニア双方の希望が合わないので、どちらも不幸になってしまうかと思います。
■スタートアップではどんなエンジニアを採用すべきか
もちろんサービス内容にもよりますが、スタートアップ、特にまだ社内にエンジニアがいない状態から採用を始めるのであれば、以下のような人が必要かと思います。
◆動くものをすぐに作れて、自分で手を動かして試すのが好きな人
スタートアップは組織が小規模なぶん、意思決定のスピードも早いですよね。
そのため、PDCAを素早く回しながらスピード感のある開発ができる、すぐに動くものを作って出す、ということが重要になってきます。
すぐに手を動かせる、というのはスタートアップのエンジニアにとって欠かせない特質です。
◆狭く深く極めたい人より、得意分野以外のこともそこそこ知っている人
前述の通り、立ち上げたばかりのスタートアップだと、「自分がやりたいこと・得意なこと」以外も「幅広くやってもらいたい」場面が多いはずです。
例えば、何もないところから一つのWebサービスを作ろうとなったら、サービスの開発だけでなく、アーキテクチャ設計やセキュリティ、インフラ周りなどなど、専門ではない領域の仕事もやってもらう必要があるかと思います。加えて、入社したら即実務に入ってもらわなければなりません。
ということは、「この分野は100点だけどこの分野は10点」な人よりも、「いろいろな分野で50点ぐらいずつはとれる」人の方が重宝するはずです。前述の「すぐに手が動く人」という要素も合わせると、「狭く深く極めたスキルや知識があって、慎重に完璧な開発したい人」よりも、「そこそこのスキルと実務経験があって、素早く手を動かせる人」を採用したほうがいいですよね。
エンジニアの中には、深く狭く研究し尽くすタイプの優秀な人もたくさんいますが、彼らが幸せに活躍できる場所は、立ち上げたばかりのスタートアップ以外にあるはずです。
◆学習意欲があって試すのが好きな人
エンジニアがいない・少ないスタートアップでは、得意分野以外も自分で調べながら進めていってもらう必要があるので、そういうことが苦にならない人を採用する必要があります。
ちなみに、前述の「それなりの広い知識や経験があって、素早く手を動かせる」人で「まったく学習意欲がない」という人はほとんどいないかと思います(学習意欲がなければそもそもエンジニアとして活躍できるレベルの広い知識や経験は詰めないので…)。優秀なエンジニアの方は基本的に勉強したり試したりするのが好きですし、自分の成長の糧になる環境を求めています。
■まとめ
大企業で細かく分業されたシステム作りをするよりも、スタートアップのような小規模な企業で裁量の大きな仕事がしたいと考えている優秀なエンジニアは常に一定数います。
ただし、前述の「採用すべき人材」に届く求人票を作るには、「企業側がどんな人を求めるか」だけでなく、「どんな目的を持ってどんなサービスを作りたいのか、ここにはどんな仕事があるのか」といったエンジニア目線に立った内容を書く必要があります。
「入社したらどんなふうに働くことになるのか」がイメージできる求人票でないと、優秀なエンジニアたちに「おもしろそうだな、協力してもいいよ」と思ってはもらうことはできません。
paizaでは、採用基準の定め方や求人票の作り方などについてもサポートを実施しております。
「どれぐらいのスキルの人を募集したらいいかわからない…」「求人を出しているけど思うようにエンジニアを採用できない…」といったご相談にものらせていただいておりますので、ぜひご活用ください。また、今後エンジニアの採用にpaizaを導入してみようかなと検討されている担当者の方は、ぜひこちらからお問い合わせください。(※既にpaizaとご契約いただいております企業様は、直接担当者へご連絡ください)
paizaは、技術を追い続けることが仕事につながり、スキルのある人がきちんと評価される場を作ることで、日本のITエンジニアの地位向上を目指したいと考えています。
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