こんにちは。倉内です。
ITエンジニアは専門職であり、開発系のエンジニアであれば、サービスやアプリの開発やそれに関する技術的な仕事に集中できる環境が必要です。
しかし、本来の業務以外の雑務や本人があまり得意としない領域の業務の割合が高くなり、結果的に本来持っているパフォーマンスを出せなくなるというケースがよく見られます。
もちろん会社に所属する以上、ある程度は仕方がない部分があります。ただ、特に実務経験があり即戦力になれるエンジニアの場合、転職市場での価値が高く、「うちの会社なら得意な業務に集中できます」と声をかける企業が出てきます。そうなれば自分の能力が発揮しづらい環境に居続ける理由がなく、ためらいもなく出ていってしまいます。彼らはわざわざなぜ辞めるのか指摘などしないので企業側は問題点に気づけません。
今回は、そういったことを解消するためのひとつの方法として「エンジニアに得意な領域で力を発揮してもらい、苦手なことはやらせない」ために企業ができることを考えてみたいと思います。
調査結果から見る「エンジニアの転職理由」
まず最近のアンケート調査の結果からエンジニアの転職理由を把握しておきましょう。
給与や人間関係が上位に来ていると思われがちな転職理由ですが、IT・Web・ゲーム業界やエンジニア職を中心に転職支援をおこなっているGeeklyが、2021年7月に公開した調査結果では、1位は「業務内容に不満がある」(25%)となっています。
(出典)Geekly「転職希望者を対象に実施した『転職理由』アンケート調査」
つづく2位は「会社の将来性に不安がある」(21%)で、コロナ禍での不安が出る形となりました。3位は「待遇に不満がある」(18%)となっています。
特にエンジニアの場合、新たなチャレンジをしたい、キャリアアップをしたいなどポジティブな理由で転職をする人も多くいます。しかし、やはり不満を抱えて今の会社を去る人も少なくないと考えてよいでしょう。
また、レバテックキャリアが2021年6月に公開した「レバテック版 ITエンジニア転職白書2021」では、仕事のモチベーションの1位は「満足する給与がもらえること」(34.3%)ですが、2位に「やりがいを感じられること」(15.8%)が来ています。
(出典)レバテック「「レバテック版 ITエンジニア転職白書2021」
「やりがい」を重視するかはもちろん人によりますが、自身のスキルや知識で仕事をこなす専門職は、やりがいを求める人は比較的多いように思います。
業界の平均から見ても給与は十分に出しているという企業は、おそらく採用にあまり困ることはないかもしれません。ただ、入れ替わりが激しく人が定着しない、社員から仕事に対する熱量が感じられないなど問題点が潜んでいることもあります。
エンジニアが不満を募らせる2つの原因
冒頭にも書いたとおり、エンジニアは専門職として自身の本来の仕事に集中して取り組むことで、期待されたパフォーマンスを発揮できます。
しかし、以下のようなことが原因で妨げられていることがよくあります。
社内のキャリアパスがPMなどマネジメントしかなく、本人の意志や得意・不得意関係なくそちらの道に進ませる
採用時は技術力重視でサービスの開発などで活躍してもらえると伝えて入ってもらったにもかかわらず、プロフェッショナルとしてのキャリアパスが整備されていないケースがあります。
そういった組織では技術志向の中堅以上のエンジニアが定着せず、いつも技術的に開発チームをリードできる役割の人が不在もしくは不足しています。
エンジニアを正しく評価し、適切なキャリアパスを設計することは多くの企業が悩み、試行錯誤を繰り返している部分です。簡単ではありませんが、今や事業の成長にエンジニアリングは欠かせません。そこに投資をして改善を続けることはエンジニアに選ばれる企業になるために必要なことです。
これが理解できないと、規定されたキャリアパスに満足できるエンジニアだけが残ることになり、それ以外のエンジニアが辞めていってしまいます。特に技術的にリードする存在がいなくなれば、その後の採用にも支障が出るという悪循環に陥ってしまいます。
開発職のエンジニアに、社内のインターネットやPCの不調の際に頻繁に頼るなど情シス的な役割を兼ねさせる
「ちょっとくらいいいじゃん」と思うかもしれませんが、この手の作業は差し込みで依頼(しかも急ぎで…)されることが多く、集中を途切れさせます。
まとまった時間が取れないとクリエイティブな発想ができなくなるというのもありますが、自分の業務プラスアルファになるため単純に多忙になります。
結果的に新しい技術や情報のインプットやスキルアップをする余裕がなくなってしまいます。
エンジニアは、優秀なエンジニアが多いチームに所属し、仕事を通して自身のスキルを磨いたり新しい学びを得たりできることを重視している人も多いため、だんだんとモチベーションが下がる可能性があります。
福利厚生や設備などをよくすることには目が向いていても、これらはなかなか気づかない点かもしれません。また、開発チームのリーダーよりも上のレイヤーで解決しなければならない分、難しいとも言えます。
自社のエンジニアの現状を改めて把握してみてください。
苦手なことをやらせない組織を作るために
リーダーやマネジャーは適性のある人に任せる
本人が希望している場合は別にして、技術的なスキルが高く成果を出せる人に管理職的な役割を強いるのではなく、適した人に任せるという考え方もあります。
実は開発組織で必要となるマネジメントは大きく分けても「テックリード」「プロジェクトマネジャー(PM)」「プロダクトマネジャー(PdM)」、そして組織マネジメント(ピープルマネジメントとも)の4つあります。呼び方は違う場合もありますが、これらを「マネジャー」としてひとりに全部を求めるせいでうまくいっていない場合があります。
理想としては、兼任ではなくそれぞれに適任者を置くほうがいいでしょう。
これはマネジメントができない上司が仕事のやりがいを奪う事態を避けるためでもあります。
互いの弱点をカバーできるチーム体制にする
苦手なことをその本人が無理に補う必要はありません。チームでカバーできる組織づくりを目指したほうが安定感もあります。
さきほどの話ともつながりますが、マネジャーでも技術的なリードをする役割とメンバー(人)をうまくマネジメントする役割とでは、必要になる能力が異なります。
また、メンバーには気を配れていても、リーダークラスに相談相手がいなかったり、ひとりですべてをこなさなければならない状態になっている組織はよく見かけます。チームが健全な状態であるためには、リーダーを務める人材も適切なフィードバックや評価を受けられる環境が大切です。
技術力の高いエンジニアが選択できるキャリアパスを整える
不満を募らせる原因にもあげた通り、技術的スキルの高いエンジニアが選択できるキャリアパスを会社側が考えて用意することが大切です。
ここを整備しておかないと、いくら「技術力の高い優秀なエンジニアを採用したい」と思っても、その人たちがより上位を目指すためのキャリアパスがないため採用はほぼ無理だと思ったほうがよいでしょう。
そしてエンジニアを適切に評価できるのはエンジニアだけというのも頭においておく必要があります。以下の記事は選考時の話ですが、なぜエンジニアにしか判断できないかについて詳しく解説しています。
まとめ
エンジニアが専門職として、本来の領域でパフォーマンスを発揮するために「苦手なこと」はやらせないように組織づくりをすることについてお伝えしてきました。
社内の雑務や無駄な手順ばかり増えると企業側としてもエンジニアに求めている成果を得られないばかりか、退職が続いたり採用が思うようにいかなくなったりとエンジニアに選ばれない企業になってしまう可能性すらあります。
paizaは、CTOやVPoE、エンジニアリーダーに直接お話を伺い、エンジニアの採用や評価に関する記事を多数掲載している「Tech Team Journal」というメディアを運営しています。
組織づくりに悩んでいる方、これからそういった役割を任される方、もしくは採用に悩んでいる人事担当者などは参考にしていただければと思います。
paizaでは、エンジニアを募集している企業の皆さまからの「応募があって面接をしても辞退されてしまう」「積極的に採用活動しているつもりだけどなかなかエンジニアを採用できない」などといったご相談もお受けしています。
今後エンジニアの採用にpaizaを導入してみようかなと検討されている担当者の方は、こちらからお問い合わせください。(※すでにpaizaとご契約いただいております企業様は、直接担当者へご連絡ください)
paiza転職について詳しくはこちら
「paizaラーニング」では、未経験者でもブラウザさえあれば、今すぐプログラミングの基礎が動画で学べるレッスンを多数公開しております。
詳しくはこちら
そしてpaizaでは、Webサービス開発企業などで求められるコーディング力や、テストケースを想定する力などが問われるプログラミングスキルチェック問題も提供しています。
スキルチェックに挑戦した人は、その結果によってS・A・B・C・D・Eの6段階のランクを取得できます。必要なスキルランクを取得すれば、書類選考なしで企業の求人に応募することも可能です。「自分のプログラミングスキルを客観的に知りたい」「スキルを使って転職したい」という方は、ぜひチャレンジしてみてください。
詳しくはこちら