Photo by Daniel Morrison
長谷です。
paizaラーニングの制作ディレクターをやっとります。
今まで、受託開発や自社開発、小規模スタートアップやメガベンチャーと、いろいろな企業で開発エンジニアをやったり、専門学校の先生にもなったりしてきました。今はディレクターなので、開発業務はしていません。
って話をすると、「波乱に満ちたキャリアですね!」「よくそんなに方向転換できますねえ!」とか言われたりするんですよね。
自分ではそんなつもりなかったんですが、振り返ってみるとたしかに計画性のないキャリアを歩んできました。(胸を張って言うことではない)
今回は、そんな私のキャリア変遷と、方向転換や選択が必要になったときにどんな指針を持っていたかについて書いてみます。
今の仕事やキャリアについて「このままでいいのかなぁ」ともやもやしている若い人の参考になる要素があればと思います。
■忙しい人のための私のキャリア変遷
文系大学→中規模SIer→Web系小規模受託開発→情報系専門学校の教師→大規模自社サービス→paizaラーニングのディレクター
今はプログラミングが動画で学べるpaizaラーニングにおいて、どんなレッスンを作るかを考えたり、制作の進行管理をしたりする人をしています。
無料のレッスンもあるからやってみて~!あと、こんなレッスン増やしてほしいっていう要望もあったら教えてください!!(宣伝)
■1.新卒で入社したSIer時代
そもそも何で文系からエンジニアになったかって話からなんですが、もとは学生時代によく行っていた飲食店にそのまま就職するつもりだったんですよね。
で、4年になっても全然就活してなかったんですけど、そのときたまたま知り合いの社会人で某大手SIerにお勤めの人がいまして。何となく「何の仕事してるんですか?」って聞いたら、「涼しい部屋でパソコンの前に座ってる仕事だよ~」って言われたんですよね。
それで「えーっめっちゃ楽そう!そんないい仕事があるのか!」と思って、何をするのかもよく調べずに、新卒求人が出ていたIT企業に何社か応募して、金融系案件中心の中規模SIerに入社しました。プログラミングに関しては、もちろん入社後の研修で初めて触れました。(当時から計画性のなさがうかがえるぅ…)
◆主な仕事内容
メインでやっていたのは、金融系のシステム開発に必要な独自ライブラリ(Java)を作るプロジェクトです。最後の方は、銀行システムの障害対応や運用をしていました。
◆よかったこと
SIerはいろいろ言われがちですけど、
- 私のような未経験者でも入ってから勉強できる
- いろいろなプロジェクトを経験できて飽きない
- プロジェクト単位で人間関係リセットできる
ってところは自分に合っていたなと思っています。
詳しくはこの記事にも書いています。
paiza.hatenablog.com
◆よくなかったこと(転職理由)
じゃあ何で辞めたんやという話なんですが、5年目ぐらいのときに、都心を離れた関東某県の奥地で銀行システムの障害対応・保守・運用など(not開発)をする仕事に配属されたんですよね。当時は若かったので、だんだん「この先ずっとこんな何もないところで運用だけしてるの嫌だ…」と不満に思うようになっていきました。入社までプログラミング経験もなかった自分ですが、その頃には開発業務が好きになってましたねー。
加えて、同時期に実家(東京ではなく地方です)の母が倒れてしまって「もしかしたらこのまま地元に戻るべきなのかも…」というのもあり、6年目ぐらいのときに退職を決めました。
それで一回実家に帰ったんですが、しばらくして母が回復して大丈夫そうになったんで、やっぱり東京で転職することにしました。
■2.Web系受託開発
今度は都心に居続けられて勤務先が変わらない会社がよかったのと、JavaやWebシステムのサーバサイドに関する知識を多少は身につけていましたから、都心でWeb系サービスを受託開発しているベンチャー企業に転職しました。
◆主な仕事内容
いろいろなWebサービスの受託開発……基本的には依頼が来て作ってリリースしたら終わり…という案件の繰り返しでした。
前職で扱っていたシステムは、B2Bで使う人も固定でしたから「これはIE6で使ってください、そういう仕様です」でよかったんです。でも、一般的なWebサービスだと誰がどのブラウザ(そしてどのバージョン)で見るかわからないから、いろいろなブラウザに対応したサービスを作らないといけない…ってのが最初は戸惑いました。今思うと当たり前なんですけど…。
◆よかったこと
前職は某県奥地・朝早い固定の出社時間・スーツ必須…って感じだったのが一変して、都心勤務・出勤時間はかなり自由(大体昼頃に来ておればよろしい)・みんな私服・合間で集まってはモンハン大会(当時流行ってたので…)みたいな環境になりました。
前職とは違い、割とみんな若くて社長も含め「実務と関係ない部分はゆるくてOKじゃ~ん」みたいな雰囲気だったので、そういった文化感は楽しい会社でした。
◆よくなかったこと(転職理由)
5年ぐらい続けたのですが、だんだん「ずっと同じものを作ってるな」という感覚になっていったというか、もう本当に悪い言い方をしてしまうと、ちょっとガワを変えた掲示板を作っているだけというか…。
リリース後も面倒を見続けるような案件はあまりなく、掲示板を作ってリリースして、また違う掲示板を作って……と、同じ業務の繰り返しが段々すごく嫌になってきて、最終的に「ここから逃げ出したい…」と思うようになってしまいました。
■3.専門学校時代
転職サイトに登録しておいたら、情報系専門学校から求人スカウトが来たのです。
大学で教職とってなかったし、エンジニアから急に教師になるって不安はなかったんですかって聞かれることもあるんですけど、当時はとにかく前職から逃げ出したかったのと、あと「今までの仕事で得た知識を活かして全然違う世界に行ける」のにすごく魅力を感じたんですよね。
あと、何もわからない状態から「ハイ授業開始」だったわけではなくて、選考中に何度か模擬授業をやって「ここはよい」「ここはよくない、もっとこうすべき」みたいなフィードバックを受けて、改善した上でまた模擬授業をやって…という過程を何度か経た上での採用だったため、そこまで不安や戸惑いはなかった気がします。
◆主な仕事内容
主に、JavaとPHPと、あとは基本情報技術者試験に関する授業などを受け持っていました。あと、毎日情報系の授業があるのはもちろんですが、担任業務や就職指導もやっていました。
◆よかったこと
学校にいる間は黙っているタイミングがないぐらいずーっと喋り続けてた気がしますけど、もともと人と話すのが苦手な方ではなかったので、そういう状況は嫌じゃなかったです。本当にいろんな学生がいて、毎日いろんな問題(?)が起きて、でもそうやってかわいい学生たちの面倒を見るのも楽しかったです。
あと、授業って自分が既に持っている情報を提供するだけの場に思われるかもしれませんが、そんなことはなくて、私が詳しくない・知らない内容について質問してくるんですよね。
この時点で開発エンジニアを10年以上はやっていてそれなりの経験はありましたが、「だからJavaについては何でも知っている!」ってわけではないじゃないですか。だから、授業の前って本当に入念な下調べと事前準備が必要になるんです。
使った経験のない機能やツールは、自分で試した上で「これはこうなんだよ」って言えるようになっておかないといけないし…調査とか自分で手を動かして試すとか、本当に常にやってました。
現在もpaizaラーニングの学習コンテンツを作りながら、同じようなことはずっとしているので、そのへんは今の仕事につながっている感じがします。
◆よくなかったこと(転職理由)
業務内容に不満はなかったのですが、まぁとにかく激務だったんですよね。授業数は多い、授業が多ければ準備はもっと多い、有給があっても授業に穴があいてしまうから実質休めない…という状態でした。
そんな中で実家の母が再び倒れてしまって、またしばらく帰省しなきゃ…となったときに「業務内容自体はよくても、このままずっとここで仕事を続けていくのは無理だな」と思って退職を決めました。
■4.自社サービス開発企業
母のこともあって、前職みたいな「実質休めない仕事」はもう無理だなと思いました。
で、「何かあったときにまともに休める会社がいい」と考えたときに「教師よりは普通に労働環境が整った企業の開発エンジニアでいるのがいいだろうな」と思い、再び小規模なWeb系受託開発企業に入社しました。
ただ、そこが入社後すぐに大手サービス運営企業へ吸収されたため、結果的に自社サービス開発企業のエンジニアとなりました。
◆どんな仕事
某有名自社サービスで、主にAndroidアプリの開発を担当していました。
◆よかったところ
やはりこれは自社サービスの醍醐味と言いますか、ユーザーの反応が見えるところですね。
私が入った段階で、サービス自体は市場に浸透していて、ユーザー数が相当多い状態でした。これの何がよいかと言いますと、もうアップデートすれば即Google Play ストアでレビューがついて、ツイッターで検索すれば感想をツイートしている人が見つかるって感じなんですよ。
それまでの開発経験って、受託ばかりで「作ったらそれで終わり」な仕事がほとんどでした。頼まれて誰かのものを作って、リリースしたらさよならで、「俺のサービスだぜ」みたいな愛着って全然わいてこなかったんです。
でも、自社サービスだとユーザーからの反応が開発者にダイレクトに届いて、よい評価がつけばすごくうれしいし、悪い評価がつけば悔しい、もっといいものにしたい!という気になります。
ここへ来て初めて、自信を持って「これが私の作った私のアプリです!みんな見て!」と思えるようになりました。
◆よくなかった
そもそもすごく不満があって辞めたかったわけではなかったのですが、文化フィット的に微妙だった部分はありました。
というのも、私はもとからこの大企業側にいたわけではなく、吸収された側なんですよね。
経緯的には、大企業がそれまで複数企業に依頼してサービス開発していたのが「やっぱり自社で開発部門を持ちたい!」ってことで、受託していた企業たちを吸収したんですが…そういった成り立ちの開発部って、当然と言えば当然ですが、もともとの企業ごとに文化的な差異が発生しやすいんですよね。特に吸収した側とされた側…。吸収した側は大企業マインドがあるのでイケイケ感が強いし…。
あとは大企業になると、どうしても無駄な会議やフローも多くなりがちで、小規模なスタートアップみたいにスピード感を持って仕事を進めていくのが難しい…というのはありました。
自分のアプリを作っている充足感はあるけど文化的な違和感は拭えないな、でもすぐに転職したいってほどではないな…と思っていたところ、paizaから今の仕事のスカウトが来ました。
専門学校時代からpaizaはスキルチェック目当てで登録していたので、「オッ知ってるサービス作ってる会社の中とか見てみたいやん」と興味本位で話を聞きに行きました。
■5.自社サービス(paizaラーニング)のコンテンツ制作ディレクター
専門学校時代、仕事自体は楽しかったですから、激務すぎず普通に休めるような環境であれば続けていただろうな~という思いはずっとあったんですよね。で、paizaで話を聞いてみて、プログラミングに関するEラーニングコンテンツを考えるというのは近しい仕事だし、激務すぎる環境ではなさそうだし、いいかもな~と興味は感じました。
ただ、前職にそれほど強い不満があったわけではなかったので、内定をもらった面談で「承諾期限まで考えさせてください」って言ったんですよ。
そしたら社長に「えっ、うちに入社しない理由とかあるの!?」と言われて、それで心がときめいて入社を決めてしまいました。そんなこと言ってくる社長、絶対ヤバい人だし…そんなヤバい人がやってる会社、絶対ヤバい会社だからおもしろそうだと思って…。
でも、マジレスすると中の人が「うちを断るなんてあり得ない!」ぐらいに思ってる会社って、少なくとも「うちなんて全然ダメなサービスやってるダメ会社なんで……」って自信ない人ばっかりの会社よりはずっといいと思いますよ。(※社長に読まれたとき用のフォロー)
◆やってること
というわけで、めでたく(?)paizaラーニングのディレクターになりました。
paizaラーニングのレッスン内容を考えたり、制作の進行管理をしたり、声優さんのレコーディングに立ち会ったりしています。
◆よかったところ
たぶん今までで一番興味本位で入っちゃった会社なんですが、思いのほか文化的なフィット感がありますな。まじめなところとゆるくていいところのバランスがちょうどいいというか…。
文化的なフィット感ってなかなか言葉で言い表し難いですが、たとえばエンジニアだったら開発部門のあるオフィスを見せてもらうとか、エンジニアの人たちと話をさせてもらうとか、そういう過程で「合いそうかどうか」って結構見極められるんじゃないかと思います。
実際、paizaのエンジニアの人たちって、選考中にエンジニア同士の勉強会とかランチとか、オフィス見学とかを通して「合いそう」「なんか大学時代の研究室に似てる」とか言って入ってきた人が多いので。
ちなみに現在paizaはエンジニアを絶賛募集中です、興味ある人はぜひ話だけでも聞きに来てください!
◆よくないというか、まだちょっと慣れないこと
実際の開発には携わらない…つまりコードを書かないポジションというのはちょっとふしぎな感じがしますね。
ふしぎというか…実際にモノを作っているのは開発エンジニアの人たちなので、コンテンツに対して「これは自分が作ったと言えるものなのだろうか?」と考えるときがあるという…。
あと、ディレクションをしているときについ技術的側面についても考えてしまいます。たとえば「ここは開発的に工数がかかりそうだからもっと簡素な仕様にした方がいいかなあ」みたいな。
もちろんディレクターが技術をまったく知らないのは問題ですが、つい開発側の視点が強く出てしまいそうになる…。そこは、たとえばサービスとして工数をかけても実現すべき要素なのか、それとも簡素にして工数を削減すべき要素なのか、広い目線で見たときにどっちが優先なのか?といったことを見失わないようにしないといけないなーと思います。
■選択を迫られた時の指針
自分が方向を変えたり何か選択したりするときは、こういうことが指針(というほどでもないですが…)になっていたように思います。
◆あえて流されると世界が広がる
仕事をしていると、それまであまり知らなかった分野に興味を持ったり、新たな仕事や自分のスキルを見つけたり、思わぬ出来事やチャンスを通じて可能性が広がることってありますよね。私もそんな感じで、勉強や実務経験を経て知識やできる仕事が増えてくると、新しい世界の存在に気付けて、興味も芽生えて…って感じでやってきました。
私のキャリアってジョブホッパーみたいですけど、実は入社即退職みたいなことした職場は一切ないんです。一社につき短くても3年、長くて6年とか続けてきたので(うーん年がばれる…)。
目の前の仕事にしっかり取り組んで、自分なりにやりきったかなぁと思う頃には、「何か違うんじゃないか」って部分が見えてくると同時に、次に進みたい道が見つかったり、よそから声が掛かったりする。
今すぐ興味の持てるものが見つからないって人は、まず目の前の仕事にしっかり取り組んで、そこからの広がりを探してみるのがいいんじゃないでしょうか。
ちなみにキャリアについて「偶然の出会いや予期せぬ出来事をチャンスとして柔軟に受け止めるために、あえて状況に“流されるまま”でいることも必要である」とする考え方は「キャリアドリフト」と呼ばれ、神戸大学の金井壽宏教授が提唱しています。
http://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2010/10/pdf/004-015.pdf
◆興味を感じたらちょっと進んでみる
母が倒れたときに「人間の時間って無限じゃないんだな」と気がつきました。いや、そりゃそうなんですけど、若いときってそんなこと考えないじゃないですか、むしろ「この若く楽しき瞬間が永遠に続くぜ」ぐらいに思ってるじゃないですか。それが、「そうじゃないんやな」と初めて実感を持ったというか。
で、時間は有限だからこそ、興味がわいた方向には飛び込んでみたほうが絶対面白いと思っています。企業だったらとりあえず話を聞きに行ってみるとか、新しい技術だったらとりあえず触ってみるとか。それで「違うな」と思ったらやめとけばいいし、さらに興味を持ったらもっと進んでみればいいし。
paizaに関しても、前職に不満があったわけではなく、スカウトを受けて興味本位で話を聞きに行ってみたら前職より楽しそうだったから、入社を決めました。
これは転職する・しないの話だけではなくて……何か手を出してみると、そこから新しい世界が広がるかもしれないですからね。少なくともずっと同じ状況で「このままでいいのかなぁ…」とか言ってるよりは、何か得るものがあるはずです。
■まとめ
というわけで自分のキャリア変遷を振り返りつつ書いてみました。
今回書いたのは私個人の経験に基づく話で、当然ながらどんな人にも当てはまるわけではありませんが、仕事やキャリアについて悩んでいる若い人の参考になるような要素が少しでもあれば幸いです。
とりあえずもやもやがある人は、何かちょっとでも調べて触ってみるとか、話を聞きに行ってみるとかするといいですよ。なぜか一歩踏み出すことをすごく重大に考えている人もいますけど、別にちょっと行動したからってそこに何か責任が発生するわけでもないですから、嫌になったらストップすればいいし。
今のところ現職に不満はないですが、それこそもっと興味を持てる仕事が見つかったら、paizaから出ていく日が来るのかもしれませんし、もしかしたら全然IT系じゃない分野に方向転換するかもしれません。でも、自分が興味を感じたならそれはそれでいいと思っています。
最後に、スティーブ・ジョブズ氏によるスタンフォード大学でのスピーチの一部を置いておきます。
皆さんも大好きなことを見つけてください。仕事でも恋愛でも同じです。仕事は人生の一大事です。やりがいを感じることができるただ一つの方法は、すばらしい仕事だと心底思えることをやることです。そして偉大なことをやり抜くただ一つの道は、仕事を愛することでしょう。好きなことがまだ見つからないなら、探し続けてください。
「paizaラーニング」では、未経験者でもブラウザさえあれば、今すぐプログラミングの基礎が動画で学べるレッスンを多数公開しております。
そして、paizaでは、Webサービス開発企業などで求められるコーディング力や、テストケースを想定する力などが問われるプログラミングスキルチェック問題も提供しています。
スキルチェックに挑戦した人は、その結果によってS・A・B・C・D・Eの6段階のランクを取得できます。必要なスキルランクを取得すれば、書類選考なしで企業の求人に応募することも可能です。「自分のプログラミングスキルを客観的に知りたい」「スキルを使って転職したい」という方は、ぜひチャレンジしてみてください。