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なぜAppleの楽器破壊CMは不快で、映画の街破壊は不快ではないのか


<この記事の著者>
大谷大 - Tech Team Journal

ウェブデザイナー/映像クリエイター/作曲家/ギタリスト/ブロガー/YouTuber

BGMや効果音を無料でダウンロードできるサービス「タダオト」を運営し、自らが作曲した楽曲を掲載。2023年に生成AIにハマり、さまざまな仕事でフル活用しながらそのノウハウをYouTubeやブログで情報発信している。



iPad Proの新CMで楽器などをプレス機で潰したところにiPad Proが置かれている演出に、非難の声があがっています。

www.youtube.com

僕はギタリストなので自分の楽器だったらと思うと嫌な気持ちになりましたが、あくまで感覚的な話しであり、このCMの何がダメだったのかをうまく言語化できませんでした。

それを整理するためにいろいろな例を挙げながら考えてみたので、僕なりの考えとして書き記しておきます。

【目次】

映画での物を破壊する映像との違い

最初に頭に浮かんだのが映画での破壊シーンとの違いです。

これまで見てきた映画の中で物が破壊されるシーンを見ても不快にはなっていなかったと思うんです。それが今回のiPadのCMと何が違うのかを考えてみました。

例えばゴジラに街を壊された時、「建物を壊すなんて建築家への冒涜だ」とは、少なくとも僕は思いません。これは僕が建築家だからそう感じないってことではなさそうなんですよね。

おそらく破壊された対象物がどのような物かではなく、ゴジラは天災だから仕方がないっていう前提で観てるから納得感があるんだと思うんです。

ゴジラがピアノを踏み潰す演出がワンシーン入っていたとしたら「わざわざそのシーンを入れる必要ある?」とは思うかもしれませんけど、制作者に意図があるなら、そしてその意図が必然性のある物なら納得して観れると思います。


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YOSHIKIのドラム破壊との違い

楽器を破壊するといえばYOSHIKIのドラム破壊パフォーマンスを思い出します。

あのパフォーマンスを許せないという方もいらっしゃると思いますが、僕はあくまでパフォーマンスであると割り切って観れる派です。

ドラマーであるYOSHIKIが自分の使っているドラムセットを破壊する行為は、ドラムに対する愛が見受けられます。

また衝動的に目の前の物に自分のエネルギーを押し付けた行為であり、発作的な突発性を感じます。

「ホントはやりたかったわけではないけど勢いでやってしまった」ように見えるので、不快に感じにくいのかもしれません。

本を燃やす行為に近い

物に魂が宿るという考え方が日本人には根付いているので、楽器となると特に不快に感じる人が多かったんでしょう。

西洋文化圏では、物質を再創造することが革新的であり前向きなことであると捉えられるそうなので、そこの感覚の違いはありますよね。今回のCMはあまりに過激であるので海外でも非難の声が増してきている印象はありますが、日本人の方が圧倒的に感じます。

本を燃やす行為に近いと感じていて、映像の演出で「文房具屋のノートコーナーが燃える」のと「本屋の本棚が燃える」のとではメッセージが全然違いますよね。

本屋の本が燃えたとしても在庫はどこかに残っているんでしょうけど、「在庫はまだあります」では済まない感覚があります。

紙が燃えるという現象ではなく、物に宿った魂が燃やされてしまったことになにか感じるものがあるんでしょう。


楽器を否定している感

このCMが、アナログツールを否定してデジタルツールが素晴らしい、というメッセージだと捉えている方もいるようです。

楽器という文化を否定しているCMだとしたら、楽器をやっている人が怒るのも当然です。

ただ、僕は「この端末にこれだけの物が入っていますよ」というiPad Proの薄さを訴えかけるメッセージだと受け取ったので、アナログツールがデジタルツールより下だとは思いませんでした。

生の楽器とデジタルの楽器は全然別物で、それぞれの良さがありますからね。自宅でパソコンにギターを繋いでアンプシミュレーターで演奏する良さと、スタジオでアンプを鳴らす良さと、どちらも素晴らしいしどちらも手放せません。

優劣ではなく「どっちの文化も素晴らしい」っていう演出のCMだったらよかったんですけども、受け取り手に誤解を与えるCMだったのは間違い無いですね。

まとめ

今回のiPad ProのCM騒動を見て、感覚的には不快なんだけど何が不快なのかをうまく言語化できなかったので、記事化してみてようやく僕なりの考えがまとめられました。

本の例で挙げた「この本を燃やしても在庫はあるので」っていう感覚で作ったような、物への愛のなさですよね。自分の物じゃないから関係ないしっていう他人事感というか。

iPad Proの薄さをアピールすることをゴールにして作った台本がうまくいかなかった事例なので、映像制作をする人間として反面教師にして今後の物作りに生かしたいと思います。

(文:大谷大




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