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ITエンジニアが海外で働いたらどうなる?アメリカとフィンランドの比較

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Photo by JOHN LLOYD
f:id:paiza:20140712194904j:plainこんにちは、吉岡([twitter:@yoshiokatsuneo])です。

様々な働き方や場所を選ぶ方が増えてきている現在ですが、「日本を飛び出して海外で働いてみたい……」「世界的に有名なサービスを開発する仕事がしたい!」という想いを抱えながらも、なかなか踏み出せずにいる……という方も多いかと思います。

たしかに海外への転職・移住となると、国内での転職とはまた違ったハードルがあります。

どんな職場環境があるのか、英語力はどれぐらい必要なのか、また生活スタイルはどのように変わってしまうのか……実際に海外で働いている友達でもいない限り、なかなか知りたい現場の情報を得ることも難しいでしょう。

先日、アメリカで15年働いている竜さんが書かれた「エンジニアとして世界の最前線で働く選択肢」という書籍が出版されましたが、経験に基づいたリアルな話が書かれていてとても面白かったです。


私はフィンランドで2014年3月まで5年間エンジニアとして働いていましたが、(その経緯はこちらの記事で↓)一生エンジニアとして働く人も普通いる等、共通点は多いです。

paiza.hatenablog.com

一方、アメリカとフィンランド・北欧での違いなどもありますので、特にアメリカと違いがあるようなトピックについて気づいた点を書いてみます。

■環境

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『自由で合理的な職場環境』(本著P20)

多くのIT企業のエンジニアは裁量労働、またはフレックスになっている点はアメリカと似ているようです。効率を非常に重視しているというのも肌で感じますし、残業は基本ゼロです。

また、バケーションはアメリカより充実していると思います。5週間の有給休暇があり全員が取得します。病欠も有給となります。ただ、日本より祝日は少ないです。

面白い制度として、有給を取ると取得した日数に応じて、通常の給料に追加したボーナスが支給されます。本来は、バケーションから帰ってこなくなるのを防止するためにバケーション後に支給されていましたが、今はバケーションで使えるように前に支給されるようになっています。

■ビザ

『立ちはだかるビザの壁』(本著P46)

フィンランドで働くには、アメリカなどと同様に許可が必要です。

フィンランドでは「在留許可」(いわゆるビザ)が必要になりますが、「ビザの壁」はアメリカに比べるとかなり低いです。

フィンランドを含むEUでは、EU内での人・物・金の動きを自由にするという理念から、入国に関するルールは原則的には統一する方向になっています。(ただ、実際には一枚岩でなく国による違いも多いようです。日本から見ると、EU全体が国に見える時もあり、各国が別に見える時もあります。)

アメリカと比べると在留許可の取得は容易で、数の制限もなく、在留許可の取得後直ぐに働くことができます。駐在・現地採用でのビザの違いはありません。

正社員であれば、最初は1年の許可がおりその後追加で4年の許可が出る場合が多いようです。5年目に無期限の許可(永住権)が得られ、6年目にはEU内のどこでも住めるEU永住権が得られます。2年以上の滞在予定で社会保障(KELA)を利用できるようになります。

実際には、外資系企業に入社して転籍するというのが一番容易かと思います。

■解雇

『日本に比べて、アメリカの方が解雇しやすくなっていることは確かです。』(本著P182)

ある程度以上の規模の会社については、フィンランドでも確かだと思いますが、アメリカよりかはリスクは低めだと思います。

レイオフの場合も、1ヶ月間の労使での話し合いが持たれ、配置転換などが可能かどうかなど調整が行われます。ある程度以上の規模の企業では、勤務期間に応じて半年程度の退職金が支払われます。

ファイアの場合、「PIP(Performance Improvement Program/Plan)」が提示されます。数ヶ月以内に改善があれば普通に戻りますが、改善がなければ解雇になります。

シリコンバレーや東京のような都会に比べると、小さい街ですので転職先の選択肢は少なめになりますが、スタートアップを立ち上げる人もいますし推奨されている雰囲気があります。

■英語

『ソフトウェアエンジニアは一番英語能力が問われないポジション』(本著P38)

フィンランドの標準語はフィンランド語とスウェーデン語で、英語ではありません。ただ、ローカル企業がメインユーザとなる受託会社(ITコンサルティング会社)では、現地語が重要になることはありますが、自社製品サービスを提供している会社は国が小さいこともあり、初めからグローバルに対応出来る英語が標準となります。

同じチームで、フィンランド人・スウェーデン人・インド人・日本人という場合もありました。現地の人はネイティブではありませんが、IT系企業で働く人は英語は、ペラペラです。

ただ、ネイティブではないので、スラングが少なく比較的わかりやすい英語が多いです。フィンランド語は発音が日本語と近い部分もあり、日本人から見て英語も聞き取りやすいと思います。

■子供

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Photo by nicoleta gramada
『子供は簡単にはバイリンガルにならない』(本著P33)

海外で子供がいる場合、一番気になるページかもしれません。

書籍では英語について書かれていますが、フィンランドなどの非英語圏ではフィンランド語(現地語)もあります。

学校は、フィンランド(ほとんどの海外)には日本人学校はありませんので、現地の学校でフィンランド語で学ぶか、インターナショナルスクールなどで英語で学び、週末に補習校で日本語を勉強します。

■オフィス

『オープンオフィス・個室オフィス・キュービクル』(本著P153)

私のいた会社ではどれとも異なり、チーム単位(3-10人ほど)で部屋がありました。部屋の中の机は仕切りはありません。

チーム単位なので、関係が薄い他のチームの話が入って来ないで、かつ同じチーム内での情報は伝えやすいです。

部屋の中で簡単な日々のミーティングもできるようなっており、効率が良いと感じました。

■まとめ

フィンランドとの違いを中心に書いてみましたがいかがでしょうか。

本著には、コーディング面接についてなど、他にも竜さんの経験に基づいた興味深いことがたくさん書かれていますので、ITエンジニアの方が読むと面白いと思います。




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