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エンジニアが「マネジメントしたくない」という理由で転職するのはアリか?

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Photo by Kevin McDonagh
f:id:paiza:20140916135428p:plainこんにちは、谷口です。

転職希望のITエンジニアの方々からお話を聞いていると、中には安易な考えで転職を希望される方も一定数いらっしゃいます。

例えば、

  • マネジメント業務をしたくないから、転職したい
  • 自分の評価が低すぎる気がするから、別の会社に行きたい
  • 先輩社員を見ていても給与が上がらなさそうだから、給与さえ上がればどこでもいい

という考えの人たちです。

もちろん転職を考えるきっかけ自体は何でもよいのです。しかし、そのまま自分の今後のキャリアやスキルのレベル感なども考えずに浅い考えのままで転職活動を始めてしまうと

  • 志望度の高い企業に受からない(そのまま後に引けなくて希望に合わない企業に入社してしまう)
  • 転職したものの、得意分野やスキルアップ目標などが特になく、なかなか給与が上がらない
  • プロジェクトマネジメントが嫌で転職したのに、転職先でチームマネジメントを求められて「思ってたのと違う」となる
  • 転職前に思い描いていたようにいかず、再び転職を検討し始める

といった感じで、失敗してしまいがちです。

今回は、そうした安易な考えで転職を思い立った人が注意すべきポイントについて考えてみました。

■安易な考えで転職を思い立った人への注意点

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◆「マネジメントをするのが嫌だから転職したい」と思っている場合

「マネジメントをするのが嫌だから」という理由で、転職を希望するITエンジニアの方は非常に多いです。

また、その中には「今の会社を離れればマネジメントをしなくて済む」「自社開発をしている企業に入ればプログラミングだけをしていられる」と思っている人もいますが、それは大きな間違いです。

技術にものすごく卓越したスペシャリストや研究開発者でもない限り、どんな企業でも、それなりの給与が発生するポジションであれば、チームマネジメントに付随する業務が求められます。

開発業務におけるマネジメント業務を分解すると、以下のようなことが言えます。

◇プレイングマネージャーとマネジメント専任者について

マネジメントを担うポジションには、大きく分けてプレイングマネージャーとマネジメント専任者があります。

プレイングマネージャーとはその名の通り、「実務もできるしマネジメントもする」ポジションです。チームリーダーから、大きな組織をまとめる管理職まで、「マネジメントを担ってくれる人材」を募集している企業は多いですが、近年ではほとんどの募集企業がこうしたプレイングマネージャーを求めています。

逆にマネジメント専任の人、「技術はほとんどわからないけど、プロジェクトマネジメントだけをする」といった人を「積極的に採用したい」と考える企業は、かなり減少しています。

◇マネジメントの業務内容

【プロジェクトマネジメントにおける業務】
たとえば、受託開発におけるプロジェクトマネージャーの場合、主に

  • 要件定義
  • 体制構築
  • 進行管理
  • 要件調整

などといった業務があります。

こういったマネジメント業務が嫌で「転職したい」と考える人は多いですが、かといって「自社開発の企業に転職すればマネジメント業務から離れられるか」というとそうではありません。

どんなシステムやサービスを開発している企業に転職しても、「チームマネジメント(ラインマネジメント)」に付随する業務は発生します。


【チームマネジメントにおける業務】

  • 進行管理
  • 会議
  • 対外折衝(要件定義、摺合せ)
  • チームの運営・仕組み作り
  • 採用
  • メンバーの評価・評価指標の検討

多くの企業(※開発内容・国内外問わず)では、例えばAサービスのフロントエンド開発チームのリーダー、Aサービス全体の開発部門のリーダー、CTO…などというように、プレイングマネージャー的な役割のエンジニア達がこういったマネジメント業務を務めています。

「プロジェクトマネジメントの経験なんて、転職先では役に立たないだろうな…」という人もいますが、チームマネジメントではその経験が大いに生かせます。そのため、プロジェクトマネジメントの経験を意外に高く評価してくれる企業も多くあります。(もちろん開発スキルや技術の知識レベルが求められる水準に達している必要はありますが)

また、年齢を重ねてベテランになってくると、こういったプレイングマネージャー的なポジションにつくか、スペシャリストとして技術を極めるポジションに行くか、どちらかに進まないと「ずっと仕事で技術に触れ続ける」のは難しいでしょう。実際にスペシャリストや研究開発職を夢見る人も多いですが、現実的に本気で目指すのであれば研究で成果を出し続けなければならず、かなり厳しい道になります。求人も、相当な経験や知識を要求される狭き門です。

「マネジメントは一切したくない、プログラミングだけしていたい、でも極める領域まで行きたいかって言われるとちょっと……」という人は、末端のプログラマーで居続けるしかないかと思います。

◆「自分の評価が低すぎる」と思っている場合

「自分の評価が低すぎるから転職したい」という人は、現職の評価軸と自分の立ち位置について考える必要があります。

例えば、「現職ではPMにならないと給与が上がらないけど、自分は開発を続けたい」という場合は、現職で頑張っても希望するキャリアには進めませんし、自分の希望と会社の評価軸がズレています。この場合は、もちろん技術者を評価してくれる企業へ転職すべきです。

ただ、そうではなく「現職でスペシャリストとしてのキャリアを選べるコースもある」とか、「今のプロジェクトは希望に合わないけど違う部署に異動できれば希望が叶いそう」といった場合は、先にそっちを目指してみて、駄目だったら転職を考えるようにしたほうがいいでしょう。

また、「自分の評価が低すぎるから転職したい」と思っている人の中には、自分の仕事の成果について客観視できていない人や、成果に対する正当な評価を受けているにもかかわらず「自分は不当に低い評価を受けている」と考えている人も多いのが現実です。

こういった人は、自己満足ではなく、自分が会社のビジネス的に考えても有益な成果を上げられているのか、本当に不当に低い評価を受けているのか、一度客観的に振り返ってみるといいでしょう。

評価を決めるのは自分ではなく他人ですし、会社には会社の目的に沿った評価軸があります。

◆「年収を上げたい」と思っている場合

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Photo by Pictures of Money
転職による年収の大幅アップを狙いたい場合、チームリーダーなどの経験がないのであれば、それ相応の開発スキルが必要になります。

また入社後も、コンスタントにスキルアップができないと、大幅な昇給を狙うのは難しいかと思われます。現職を続けたほうが順当に年収アップできるケースももちろん多くあります。

一方、ときどき「気に入った会社に入れれば給与は二の次でよい」「給与は上がらなくてよいから下っ端でい続けたい」という方がいらっしゃいます。もちろん、そう考えること自体は悪いことではありません。ただ、若い頃はそれでよかった人が、35歳ぐらいになって結婚したとか家族が増えたとか、ライフステージが変化した途端に、収入の低さを感じて慌てて再び転職を考える…といったケースが、転職市場を見ていると本当によくあります。

必要額と自分のスキルレベルとのバランスを考えないと、将来的に慌てることにもなりかねません。

■まとめ

最初にも言いましたが、転職を考えるきっかけ自体は何でもよいのです。しかし、そのまま自分の今後のキャリアやスキルのレベル感なども考えずに浅い考えのままで適当に転職をしてしまうと、結局不満を解消できずに転職を繰り返すことになったり、逆に不満を持ったまま一つの会社にとどまり続けることになったりして、最終的に転職者にとっても会社にとってもアンハッピーになってしまいます。「こんなはずじゃなかった…」と思わないためには、上記のような項目について、もう一歩踏み込んで考えることが必要かと思います。


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