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不健康エンジニアが3ヶ月だけ食事に気をつけたら心も体も健康になれた話

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Photo by Marco Verch
長田です。

エンジニアの皆さん、健康に気を使っていますか?

先日オライリーからヘルシープログラマーという書籍が出て話題になりましたが、ITエンジニアのなかには朝遅く夜も遅い、腰痛い、肩凝った、目が疲れた、残業しんどいなど、不健康な人も多い印象があります。

私ももともと超不健康な生活を送っていたのですが、一転してここ3ヶ月で社内のみんなから「健康エンジニア」と呼ばれるようになってきました。

今では「エンジニアが健康を意識しないのはもったいない」と思っています。なぜなら「健康こそが開発の生産性を向上させるのに最も重要な要因」だからです。力こそパワー、健康こそヘルシー。

というわけで今回は、私がなぜそんなに健康を意識するようになったのか、3ヶ月間具体的に何をやってきたのか、そしてどんな効果が出たかを書きます。自分の不健康さをなるべく見ないふりしているエンジニアの方の参考になることがあればと思います。

■私が不健康だった頃

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最初にいろいろ偉そうなことを言いましたが、3ヶ月前までは不健康代表みたいな生活をしていました。

食生活は、自炊ゼロで食べるのはスーパーとコンビニのお弁当や外食。甘いもの大好きで、一日の食事が「きのこの山たけのこの里ファミリーパック」だけで終わりみたいな日もあるぐらいでした。(※きのこたけのこはまじでどっちも好きなので中立派です)

でも煙草は吸わないしお酒もほとんど飲まないし、体型も細い方なので、むしろ自分は健康なほうなんじゃね?と思っていました。

それが5月に一転、緊急入院するはめになりまして……。突然の頭痛、発熱、吐き気、痙攣で救急車で運ばれて即入院だったのですが、お医者さんが言うには「なんかわからんけど顔の右側が炎症起こしとるから、耳周りの傷かなんかから細菌感染したんでないか」と(そんな傷ないし早い話が原因不明)。

で、よくよくここ数年の健康について思い返してみると、昔に比べて風邪やインフルエンザなどの病気にもかかりやすくなってきて、確実に体全体の性能が低下してきているなと。健康なほうではなく、むしろ不健康じゃねえかとようやく気付いたわけですね。

病院のベッドの上で点滴を打たれながら「早く健康になりたい…」と思ったのが、健康に関する調査と取り組みを始めるきっかけとなりました。

■結果、3ヶ月で改善できたこと

◆疲労解消(夏バテしなくなった)

毎年絶対に夏バテしていたのですが、酷暑と言われる今年は全然平気でした。

夏休みに友人たちと友ヶ島へ旅行に行ったのですが、屋外でみんなが疲弊していく中、私一人元気にはしゃいでいました。

おそらくは「腸内環境の改善による慢性疲労の解消」(あとで詳しく解説します)と「日常における運動量増加による体力の向上」が功を奏しているのだと思います。

◆老化防止(生産性の向上)

生産性を数値化するのは難しいですが、少なくとも集中力はかなり向上しています。「今日はなんかやる気出ねえ」と感じる日がまじでなくなりました。

「老化防止」という言葉をよく聞きますが、これって言いかえると「パフォーマンスの向上」ですよね。人間は放っておくと身体機能や脳の認知機能などがどんどん衰えていきます。これらを防止するということは、身体機能や脳の認知機能を向上させていくということです。

この辺は肌感だけではなく実際にデータとして測定してみたい…。

◆精神が健康になった(なんか自信がついた)

そもそも、身体の健康とメンタルの健康は密接に関係しているため、普通の状態の人なら体が健康になってくるとおのずとメンタルも健康に寄ってきます。

健康への取り組みは日々トライアンドエラーです。これの何がよいかと言うと、「自分が少しずつ改善している」と実感できることです。加えて、論文・文献を読む量が増えたので、自分の中の知識が激増したのも自信につながっていると思います。

体の健康を目指していると精神も健康になってきます。みなさんもやっていきましょう。

■健康への取り組み

健康、食事、運動などは老若男女が関心を持っていることですから、巷にはWebから書籍からありとあらゆる情報があふれています。中にはうさんくさいものもたくさんある。では、その中から「信頼に値する健康情報」はどうやって取捨選択すればいいと思いますか?

◆エンジニアなら論文を読む

信頼のおける情報は、健康に関する科学論文にあると思っています。なぜ信頼できるかというと、「データ」=事実の集まりがあるからです。

エンジニアなら情報系の論文を読むことはありますよね。健康に関する科学論文(または参考文献として論文が提示されているような情報)も読んで健康になりましょう。

科学論文は研究者一同が「これは俺たちが自信をもって保証する事実と考察だ」と送り出しているものなので、少なくとも検証されているかどうかすら怪しい情報に比べれば信頼度は非常に高く、実践に値するものです。

◆健康とはトライアンドエラー

もちろん、どんな論文も100%信頼できるかというとそうではありません。そもそも人間には個人差があり、環境によってさまざまな事象から影響を受けるため、誰でも100%効果のある健康術なんて存在しません。

「100人にAという健康法を試した結果、90人にはめちゃくちゃ効果が出て、10人には全然効果がなかった」といった実験結果があったとして、自分が10人側である可能性は大いにあります。それでも、「私はこれで健康になった!」みたいなあやしい口コミなどに比べたら論文の信頼度は非常に高いですよね。

だから「自分にも効果があるかどうか」は、自分で試して検証していくしかありません。で、検証したときの成功率を上げるには、信頼度の高い論文から得た情報を試すのがいいよね、という話です。

◆自分が楽にできる方法だけ続ければよい

例えば、食事で言うと糖質制限・炭水化物ダイエットの話ってよく耳にしますよね。たしかに糖質を控えるとやせやすい感じがしますけど、厳密には糖質制限自体にダイエット効果はないということがわかっています。

簡単に言えば、「糖質制限すると結果的に総摂取カロリーも減るのでやせる」ということです。ある実験では、食事における糖質を0%にしたグループと72%にしたグループとを比較したところ「摂取カロリーが同じであれば体重変化に差異はなかった」という結果が出ています。

Effect of Diet Composition on the Hyperinsulinemia of Obesity

ついでに別のある研究では、糖質制限やバランス食などのあらゆる一般的なダイエット方法を比較した結果「あんまり差はないから自分で楽なのを選べ」という結論も出ています。

Comparison of weight loss among named diet programs in overweight and obese adults: a meta-analysis

というわけで、基本的には自分が一番楽で続けやすい方法(※科学的に実証されているものの中で)を取捨選択するのがよいですね。

次に、私が続けている内容について書きます。

■やっていること:食生活編

やってること全部書くとまじで多すぎるので、今回は食生活についての話を中心にします。もっと詳しく知りたい人は参考文献や論文を参照してください。

◆コンビニ食をうまく使う

健康やダイエットの話で絶対に「コンビニの食品はよくない」「自炊すべし」って話が出てきますよね。でも現代社会で普通に働いてて、一人暮らしで、コンビニに頼らないって無理だと思います。私は無理。

で、食生活の改善ってそこがネックなんですよね。常に自炊できたらそりゃ大変素晴らしいんですけど、難しいし続かないし、結局諦めてやめたら意味ないじゃないですか。

「コンビニ食はよくない」というのは、正しくは「加工食品はよくない」って話なんですね。「加工食品を食べ続けたら健康に悪影響が出た」という研究結果はたくさんあります。

Consumption of ultra-processed foods and cancer risk: results from NutriNet-Santé prospective cohort | The BMJ
Which Foods May Be Addictive? The Roles of Processing, Fat Content, and Glycemic Load

これ、逆に言うと「いわゆる加工食品でなければコンビニ食でもいいじゃん」って話なんです。私は加工食品(食品添加物や人工甘味料などが含まれるものという意味での)ではないものを中心にコンビニ飯を食べています。

◇コンビニ飯はこれ食べとけばOK

【サバ缶水煮】
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ギノ(paiza)は最寄りコンビニがセブンイレブンなのですが、その中でも最強食です。成分は「さば、食塩」だけ、日持ちして安くて栄養があっておいしくてすぐ食べられる。

サバは「オメガ3」という超優秀な脂肪酸が豊富に含まれており、このオメガ3は体内の炎症を抑える効果が確認されています。

Seafood Long-Chain n-3 Polyunsaturated Fatty Acids and Cardiovascular Disease: A Science Advisory From the American Heart Association


【バナナ】
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Photo by Matt Madd

バナナは自然が生み出した究極の食品の一つです。安くて栄養があっておいしくてすぐ食べられる。

食物繊維やドーパミンの原料となる物質が含まれる上、運動後に食べると体内の炎症が激減するという効果もあります。

果糖は摂取しすぎると悪影響を及ぼす恐れがあるのもわかっていますが、普通の人なら一房ぐらいなら特に影響ないはず。(※個人差はあります)


【ゆで卵】
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ゆでたまごも安くて栄養があっておいしくてすぐ食べられるので最強ですね。

卵に関しても「一日〇個まで」とか「食べすぎるとコレステロールガー」みたいな話をよく見かけますが、論文を当たっていてもそれを裏付けるようなデータは見つかりませんでした。逆に、卵を3〜4個ぐらい食べるとコレステロールの質が上がったり、体脂肪も減少したりする、というデータを見つけました。

Intake of up to 3 Eggs per Day Is Associated with Changes in HDL Function and Increased Plasma Antioxidants in Healthy, Young Adults | The Journal of Nutrition | Oxford Academic
Lipid‐lowering mechanism of egg yolk in normal rats - Park - 2016 - International Journal of Food Science & Technology - Wiley Online Library

ちなみに、たんぱく質には食欲を抑える効果もあります。

◆食事は一日のうち8時間以内に済ませる

1日において、食事を摂取する時間は8時間以内にしています。「16時間は一切カロリーをとらない」ってことです。

これは「リーンゲインズ」という健康法です。「16時間ダイエット」「プチ断食」「夜8時以降は食べないダイエット」みたいな言葉で知っている人も多いと思います。

「おなかすきそうで絶対無理!」と思うかもしれませんが、リーンゲインズに関しては既にいろいろな研究で効果が確認されています。食欲が抑えられて体重や体脂肪率などの数値が下がるだけでなく、体内の炎症レベルも下がったり睡眠の質があがったりする効果も認められています。

Dietary restriction in cerebral bioenergetics and redox state
Time-restricted feeding and risk of metabolic disease: a review of human and animal studies

これが何で健康にいいのか、すごく簡単に説明すると、人間の体は空腹になると「老廃物の自動洗浄機能」みたいな機能が働きます。大体、食事を終えてから12時間〜14時間後くらいにそういった機能が活性化するのですが、現代の不規則かつ過剰摂取な食習慣だと、この自動洗浄が始まる前に食事を始めてしまうケースがほとんどです。だから、この自動洗浄機能がきちんと働くようになれば、健康効果が上がるというわけです。

リーンゲインズのよいところは、なんといっても8時間以内にすべての食事を済ませばあとは自由なところです。楽。(もちろんいくら8時間以内に収めても悪いものを過剰摂取してしまえばマイナスですが)

私の場合、大体毎日朝11時半頃に食事解禁して、18時くらいで終了しています。たまに友達と飲みに行く日などは、「最後のカロリー摂取から16時間は何も食べない」としています。原則。

◆腸内細菌について

最近の研究で、「腸内環境」は人体に非常に大きな影響を及ぼすというのがわかっています。極端な話、腸内環境の悪化はあらゆる体調不良を引き起こします。

もともと人間は、多くの細菌と共存しながら自分の体を正常に保ってきました。ところが現代社会では、やれ抗菌だ除菌だっつって細菌を排除しすぎてしまう傾向にあります。その結果、かつては50種類ほどの腸内細菌がいたのに、現代人の腸には数種類程度しかいないそうです。

人間は腸内細菌が足りなくなると、下記のような状態になります。

  • 腸の「栄養吸収フィルター」が破壊され、悪いものまで吸収されてしまい、体中で炎症が起きる。
  • 栄養をうまく分解・吸収できなくなり、ビタミンなどを摂取できなくなる。

炎症レベルが高まると、心臓病などによる死亡リスクも高まります。

また、最近では「うつ病の発症リスクは体の炎症レベルと相関があるのではないか」といったデータが出始めています。「腸内環境を改善することで不安やストレスが軽減された」という研究結果もいくつも出ています。

というわけで、私は「腸内環境の改善」こそが「身体と精神における健康への近道である」と考えています。健全な精神は健全な腸に宿る。

◆腸内細菌育成ゲーム

では、どうすれば腸内環境をよくできるのか。

腸内環境の改善とは、ほぼイコールで「腸内細菌の飼育」です。具体的には「増やす」と「育てる」の二軸が必要となります。

まず「増やす」ために私がやっているのは、腸内細菌が配合されたサプリの摂取です。というのも一度死滅してしまった腸内細菌が再び勝手に再生してくれることはないので、自分で新たにぶち込んでいくしかありません。

私は「臨床実験データのあるサプリと酷似した成分配合になっている」「安い」という理由で、ビオスリーHi錠というサプリを飲んでいます。

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そして、増やした細菌を「育てる」ために食物繊維も摂取しています。「サイリウム」というオオバコの種子から精製される食物繊維を水に溶かして毎日飲んでいます。

なぜオオバコを選んだかというと、「実験データがかなり豊富」かつ「信頼性の高い論文がある」からです。高い確率で腸内環境の改善に効果をもたらしてくれると思ってよいでしょう。また、腸内改善だけでなく糖尿病や肥満などにも効果がある、といった実験データもあります。

オオバコ水はこんな感じです。味は一言で言うと草で、しばらく放置するとゼリー状になってきます。(これ水分が足りないと窒息や便秘を引き起こす可能性があるため必ず水と一緒に摂取しましょう)

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会社で飲み始めたころは「長田が会社で泥を飲んでる」「まだ病院にいたほうがよいのでは」とささやかれていましたが、今では放置されています。でもこのオオバコのおかげでずっと便秘気味だったのが改善されてお腹の調子は最高にいいですね。

■まとめ

なんか健康健康言ってると意識高い人みたいですが、私は基本的に全部ゲーム感覚で実践しています。

というのも、あらゆる健康法には「信頼性」「効果量」「確率」などといったパラメータがあります。その中から、どこコマンドを選択して打ち込むのか。クリティカルヒットすれば儲けもんですし、外れたらまだ違うコマンドを選ぶだけです。

そうやって一つずつ改善していけば、いつの間にか健康になれそうじゃないですか。「データを集めて実装して結果を見て改善して…の繰り返し」という意味では、システム開発と同じようなものなので、エンジニアの皆さんは絶対に健康になる適性があると思います。

今回は食生活中心の話だったので、次回は運動とか瞑想について書けたらいいなあ。

→続編(運動編)書きました
paiza.hatenablog.com


最後に、参考文献として特にコスパのよかったものを紹介しておきます。

<参考文献>
【最高の体調】

「体調」について多角的にアプローチしている書籍です。内容は単純な運動能力からメンタル面まで幅広いうえに、ほぼすべての情報が科学的根拠にもとづいているところが大変すばらしいです。

健康に関する本って「こうするとこんな効果があるよ」に留まっているものも多いですよね。この書籍は、たとえば「A大学で500人の被験者にこういう実験を行ったところ、450人のA値がこれぐらい改善した」といったところまで書いてくれているので、非常に信頼性が高いです。


【パレオな男】
yuchrszk.blogspot.com
『最高の体調』の著者の方のブログで、健康に関するあらゆる科学論文が紹介されています。ほとんどすべて出典も記載されているので、自分で論文をあたることもできます。私がこの記事で書いたいろいろな話も、もとの情報ほとんどこちらのブログにあります。


【心理職のためのエビデンス・ベイスト・プラクティス入門】

直接健康とは関係ありませんが、「論文」に関する書籍です。簡単に言うと、「論文の良し悪しの判断方法」についてが書かれています。心理学の話がメインですが、医学系全般や社会学など、あらゆる分野で論文を通じて調べたいときに使える一冊です。





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