ここ数年、業務未経験からエンジニアに転職する人が爆発的に増えてきました。
エンジニアは現在深刻な人不足であり、さらに、なるために特別な資格を必要としません。比較的学習もしやすいため、独学で学んだり、スクールに通ったりすれば、未経験からでも転職することは決して難しくありません。paizaでも未経験者・第二新卒向けの転職サイトの「EN:TRY」を使って業務未経験からエンジニアに転職する人が毎日のように生まれています。
一方で、エンジニアになりたい気持ちはあって勉強もしているのに、なかなか転職に成功しない人も残念ながらいます。彼らは決して他の応募者と比べて(未経験者の中では)技術力が低いわけではないにもかかわらずうまくいきません。
彼らがエンジニアとして採用されないのはなぜなのでしょうか。そこで今回、企業から伺った落選理由を調査しました。この記事では調査から分かった「未経験者でなかなか転職できない人が抱えている問題」をお話しします。
落選者にありがちな「したいしたい病」
先に結論から言ってしまうと、技術面では問題ないが選考で落選してしまう人は「業務未経験者なのに、希望が多すぎる」傾向が強いことが分かりました。
- 1つの開発言語(例:Python、Rubyなど)で勉強してきたから、その言語だけで仕事がしたい
- 特定の領域だけ開発したい(例:Webアプリだけ、機械学習だけなど)
- テストや調査はしたくない、純粋にプログラミングだけをしたい
といった主張をしてしまう人が多いようです。何かを「したい」という思いが強すぎてしまう……。これをこの記事では「したいしたい病」と呼ぶことにします。
それでは「したいしたい病」の何が問題なのでしょうか。
「したいしたい病」の人が抱える問題
そもそも自分の実力が把握できていない
未経験の人にまず知ってもらいたいのは、「自分が未経験であること」です。
「なんのこっちゃ?」「哲学?」みたいに感じるかもしれませんが、これはとても大切なことです。求人に応募する人は、全員が未経験者なわけではありません。特に人気の高い求人だと、経験者からも数多くの応募があります。「これの開発がしたい!」と思っても、開発内容が難しかったり、人気がある分野であれば、彼らとの競争に勝たないことには、採用されるはずもありません。
「勉強してスキルを高めてきた!」と胸を張って言える人もいると思います。それはとてもすばらしいことで、面接でもアピールするべきです。ただ、現職のエンジニアだって勉強をしています(していない人もいますが、そういう人たちも転職は失敗します…)。さらに彼らには日々ビジネスの現場でエンジニアリングに携わっている経験もあります。彼らに勝って採用されようとするならば、相応のスキルが必要です。実力がないにもかかわらず、ただ「したい」ことだけに応募し続けるだけでは何も進みません。よほどのご縁に恵まれない限りはお祈りされるだけに終わってしまうでしょう。
趣味と仕事の違いが分かっていない
趣味でのプログラミングしかしてきていない人は、実際のエンジニアの業務がどういう形で進められているかのイメージがうまくできていないことがあります。
実際の開発はほとんどの場合、チームで進められます。開発の期限もありますし、企業によってレギュレーションも決まっています。趣味のときは自分のペースで、好きなように作れていたと思いますが、チームのメンバーとして仕事をしていく場合、多かれ少なかれ制約の中で開発をしなければなりません。
「業務でも趣味と同じように自分のペースで開発をしたい」「業務だからといってしばられたくない」といった気持ちが強く出てしまうと、企業からは「チームでの開発が苦手そうだな」と判断されてしまいます。
企業の求めることと自分のしたいことがかみあっていない
現在のエンジニア求人での需要は、プログラミング言語や開発領域の人気とは一致していません。すでに現場にいる経験者であれば当たり前に分かっていることですが、未経験者ではその点を把握していないと思われる人も見受けられます。
たとえば、開発現場で求人数が多いのはJavaやPHP、JavaScriptです。
paiza.hatenablog.com
一方、paizaラーニングで最もユーザーから人気があるのはPythonですが、かといってPythonの求人は人気に比例するほど多くはありません。
開発言語や開発内容での需給のギャップを理解しないまま「これがしたいから」と応募したところで、ほぼ間違いなく採用されません。人気が高い開発言語・領域なのに、求人の数はそれほど多くないのですから、取り合いになるのは当然です。そして、ほとんどの場合はスキルの高い経験者から決まっていくので、未経験者が入り込む余地はどうしても少なくなってしまうのです。
転職を成功させるために改善すべきポイント
自分の実力を把握する
まずは自分が現在どのくらいのスキルを持っていて、何ができるかを把握しましょう。新卒で就活したときにやった「自己分析」をやるようなものだと思ってください。何をどこまで勉強していて、どんなものなら作れるのかを理解しておきましょう。これをpaizaでは「キャリアの棚卸し」と呼んでいます。
とはいえ、自分がどのくらいの実力があるのかを把握するのは難しくもあります。そんなときはpaizaのスキルチェックがおすすめです。プログラミングテストの結果で、あなたのプログラミング力が絶対評価で判定されるので、1つの指標になります。
スキルチェックについて、詳しくはこちら
そして、何ができるかの大きな証明となるのが制作物です。「自分はこういうものが作れますよ」ともっとも分かりやすく伝えることができるので、何か作ったものがあれば、ポートフォリオとしてまとめておきましょう。
ちなみにpaizaラーニングでは、ポートフォリオをどのように作成したらよいかを解説している動画講座を公開しています。無料講座なのでぜひ参考にしてみて下さい。
求人をしっかり見て、企業が求めるものを理解する
自分の分析が終わったら、今度は求人の分析をしましょう。エンジニアに限った話ではありませんが、求人には入社時点で高いスキルを求める経験者向けの求人と、ポテンシャルがあれば採用し、実力に合わせて担当業務を決めていく未経験者向けの求人があります。
どんな求人票にも、企業がどういう人を求めているかは書かれています。それが自分に合致しているかを確認して、自分に合ったものに応募をしなければ、採用などされるはずがありません。未経験者が経験者向けの求人に応募しても、よほど個人の開発経験が豊富な人でない限りは書類選考や1次面接で落選となるでしょう。
「したいしたい病」の人は、「これがやりたい」が先にたち、応募要件も読まずに応募しているケースが目立ちます。あなたは求人票をきちんと読んで応募していますか? できていない人は、自分の実力に見合った求人を探すことを意識してみましょう。
なお、冒頭でもご紹介した「EN:TRY」では、開発経験がない未経験者や若手エンジニアでも応募できる求人情報を中心に掲載しています。スキルチェック問題を解いてスキルがあると判定されれば、事前の書類選考なしでさまざまな求人に応募できます。
まとめ
ここまで、未経験からエンジニア転職に失敗する人にありがちな「したいしたい病」について説明してきました。
将来に野望や大志を持つことは決して悪いことではありません。ただ、よほどの天才でない限り、一段飛ばし、二段飛ばしでキャリアアップはできません。今、第一線で活躍しているエンジニアも、一歩ずつ階段を登って今のポジションをつかみ取ったのです。
まずはエンジニアになれなければ、スタートラインに立つことすらままなりません。目の前の転職に対しては、現状の自分のスキルをしっかりと把握して、自分でも早期に戦力になれる求人・企業を探すべきです。
将来やりたいことを見据えつつ、業務経験を積みながらエンジニアとしての実力をつけていきましょう。
paizaでは、未経験者のエンジニアの方へ「未経験からエンジニアになるための転職成功ガイド」を公開しています。企業選びや面接対策などもご紹介しておりますのでぜひご覧ください。

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