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こんにちは。谷口です。
開発業務未経験や、経験が浅い状態から「ITエンジニアに転職したい」という人が増えてきました。
もちろん最初は誰でも初心者ですから、未経験でもプログラミング初心者でも、エンジニアを目指すのは可能です。実際にpaizaでも、他の職種からエンジニアに転職して、大活躍している人はたくさんいます。
ただ一方で、エンジニアを目指して転職活動をしているのになかなか内定が出ない人たちもいます。
その中には
- 実務経験も勉強したこともないのに「機械学習の求人にしか応募したくない」
- あまり求人がない(あっても超狭き門な)言語や開発環境にこだわる
- 初心者なのに「スペシャリスト的なポジションにつきたい」
といった身のほど知らずな方が常に一定数いるのです。
たとえば、「漫画を描いたことはないけど、ジャンプで連載を持ちたい!連載が決まったら編集部に漫画の描き方を教えてもらいたい!」なんて、絶対に無理だとわかるでしょう。
しかし、なぜかエンジニアを志望する未経験者の中には、「機械学習を勉強したことはないけど、機械学習のエンジニアになりたい!転職したら会社に機械学習について教えてもらいたい!」みたいな人が結構いるのです。
なぜそんなふうに、いきなり身のほど知らずな希望を持ってしまうのでしょうか?
今回は、エンジニア志望の実務未経験者が勘違いしているポイントと、これからすべきことについてお話しします。
■エンジニア志望の実務未経験者が勘違いしていること
◆エンジニアの仕事はかっこいい(そして自分はかっこいい仕事しかしたくない)
機械学習とかAIとか画像認識とか研究開発とかスペシャリストとか大人気ゲームとか有名サービスとか……の仕事をしているエンジニアって、キラキラして見えますよね。
でも実際の仕事には、難解なコードを見つめて読み解きながら「何が書いてあるんだ?」「何でうまくいかないんだ?」と悩んだり、ログやエラーメッセージを見てバグの発生箇所を探して「どこがおかしいんだ?」と悩んだり、少しコードを書いたり修正したりして実行して思った通りの結果が出なくて悩んだり……といった地道な泥臭い作業が相当あります。
加えて、わからないこと、初めて触れることがあれば、その都度調査や勉強をしなければなりません。仕事によっては開発をしながら、英語や数学の勉強も必要になってきます。
◆教えてもらえると思っている
基本的に中途求人では、即戦力の人材が求められています。
「初心者だから教えてもらいたい」と思うかもしれませんが、同じように一から十まで教えて育てなければならないのなら、企業は新卒を採用します。
◆やったこともないのに「自分はできる」という謎の自信を持っている
これは、既卒や離職中で「学校で情報系の勉強や研究をしてきたんだから、自分なら実務も十分にできるはず」と思い込んでいる人に多いですね。
実際に何もやっておらず、挫折を経験していない人ほど「(やったことないけど)やったらできる」と思いがちです。加えて、「大学院で研究していたんだからそこらの素人よりできる」「だからやりたい仕事しかしたくない」と思い込んで、根拠のない自信を持っている人もいます。
しかし、現実に「情報系出身ではないけどエンジニアになって実務経験を積んできた人」よりも、「実務経験もないのに根拠のない自信やこだわりが強い人」を採用したいなんて企業はほとんどありません。
◆転職で心機一転リセットできると思っている
仕事を変えれば人生リセットできる、転職できれば全てうまくいく、と夢見ている人がいますが、仕事を変えただけで人生はリセットできません。
たとえ全然違う業界や職種からの転職だとしても、今まで積み上げてきたものの上に次の仕事があります。
そして、これまでの経験や勉強の積み上げもない人が、いきなり明日から技術のスペシャリストとして採用されるなんてあり得ません。
■勘違いしているエンジニア志望の実務未経験者に足りないこと
◆自分の「can」と企業の「want」を考えていない
どんな求人に応募するにしても
- 今の自分には何ができるのか(can)
- 応募先ではどんな仕事をするのか、どれくらいのスキルレベルが求められるのか(want)
を把握しなければ、内定に至るアピールはできません。
いつまでたっても内定が出ない人、特に分不相応の求人にしか目を向けていない人は、思考が「自分はこの仕事がやりたいんだ!」だけで停止しています。
もちろん「やりたい」という気持ちは大切ですが、企業のwantに当てはまらない人は、いつまでたっても採用されません。
採用されるのは「企業にとってメリットがある人」です。
◆転職で叶えたいことや今後のキャリアプランが明確でない
「実務未経験だけど機械学習の求人にしか応募したくない」などという人は、仕事について勘違いをしている人、実態をよく知らないまま憧れだけで「やりたい」と言っている人がほとんどです。
もちろん、「実務未経験だけど機械学習に強いエンジニアを目指す」のが悪いわけではありません。ただ、本当に「未経験から目指す」気のある人は、「実務未経験だけど機械学習の求人にしか応募したくない」とは言いません。自分のレベル感を考えたときに、それが現実的ではないとわかっているからです。
自分のレベル感と仕事で求められるレベル感を客観的に把握できている人は
- 現段階の自分でも即戦力になれる求人を探して、まずはエンジニアになる
- 実務経験を積んだり勉強したりしながらスキルを上げる
- 増えた経験とスキルに応じて、さらに高いスキルが求められる場所へ転職する
といった感じで「やりたい仕事に近づくための現実的なキャリアプラン」を考えて、実行に移しています。
■エンジニア志望の実務未経験者がすべきこと
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◆まずは自分の「can」と企業の「want」を把握する
繰り返しになりますが、まずは「今の自分には何ができるのか」「企業がどんな人を求めているのか」を把握しなければ、採用面接で的確なアピールはできません。
とはいえ、開発経験もない人が自分で自分を客観視するのは難しいかと思いますので、転職サービスや周囲の人の手を借りたほうがよいでしょう。paizaでもいろいろなサポートを実施しています。
◇転職活動の準備でできること
paizaでは、プログラミングスキルチェックを実施しています。プログラミング問題のレベルに応じてスキルランクが獲得でき、自分のランクに応じたレベルの求人に応募できます。
また、paizaでなくてもさまざまな求人票を見まくって業務内容や必須要件をチェックすると、「どんな仕事でどれぐらいのレベルの人が求められているのか」「自分の需要はどこにあるのか」が大体つかめてきます。
◇転職活動を通してできること
paizaでは、求人応募の際は運営事務局が企業との間に立ち、応募先との日程調整や面接のアドバイスなどを実施しております。求人応募に関して悩みや疑問がありましたら、ご相談いただければレベルにあった求人をご紹介することもできます。
転職活動中は、気になる企業があれば実際に応募をしてみるとよいのはもちろんですが、特に未経験や経験が浅い方ほど、いろいろな企業に応募してみて、情報や比較材料を集めたほうがいいでしょう。どんな企業の面接でも、大抵は逆質問の時間が設けられていますから、気になる点を聞くことができます。
paizaでは、多くの掲載企業が、私服で行けて企業側からも事業内容や開発業務についてなどの説明が聞けるカジュアル面談を実施しています。
カジュアル面談は、一方的に質問をされるだけの面接ではなく、仕事内容や将来的なキャリアパス、必要なスキルなどについて詳しく質問することもできます。
また、paizaでは、選考で落ちた場合も落選理由のフィードバックをご連絡しております。「自分に何が足りなかったのか?」「企業にどんな印象を持たれたのか?」といったことが客観視しやすく、その後の転職活動や企業選びに役立ちます。
◇勉強会に参加してみる・エンジニアと話してみる
IT業界では、未経験者でも初心者でも、誰でも参加可能な勉強会が頻繁に開催されています。
勉強会は、プログラミングの勉強になるのはもちろんですが、経験者や現役エンジニアと話せる貴重な機会です。知り合いにエンジニアがいなければ、現役エンジニアと直接話せる機会なんて勉強会か面接ぐらいしかないでしょう。
現役エンジニアに勉強や実際の業務について聞いてみると、ネットで調べるだけでは出てこないリアルな話が聞けます。「これからエンジニアになりたくて勉強しているのですが……」と言えば、喜んでいろいろ教えてくれる人も多いかと思います。
◇やりたいことがあるならまずは自分で勉強してみる
「未経験から目指したい」ジャンルがあるのであれば、転職先が決まるのを待たずに、自分で勉強して、実際に動くものを完成させてみましょう。
このブログでも弊社のエンジニアが機械学習初心者向けの記事をときどき書いています。別にこれらの記事でなくてもよいので、機械学習の仕事がしたいなら、初心者向けのチュートリアルを自分で実行してみましょう。ここまでできて、やっとスタートラインの手前の手前あたりと思ったほうがいいでしょう。
「やりたい」と言いながら自分で勉強する気がないのであれば、そのままの自分で受け入れてもらえる求人に応募するしかありません。
◆今後のキャリアプランについて考える
自分のレベル感を客観的に把握できたら、現実的なキャリアプランを考えてみましょう。
キャリアプランと言うと大げさに聞こえますが、要は「今後どうするべきなのか、現実的に考えてみる」ことです。
「そんなの考えたことない」という人も、自分は何がしたいのか?それはなぜか?どんなエンジニアになりたいのか?それはなぜか?なぜ機械学習のエンジニアになりたいのか?機械学習で何を実現したいのか?それは機械学習じゃないと叶わないのか?どんなステップがあればそれは叶うのか?……といったことを自分に「なぜ?なぜ?」と問いかけて、書き出して詰めていくと、直近でまず何をすべきかも見えてきます。
よく知らないのに、あこがれや、はやりに乗りたいだけで「機械学習やりたい」と言う人は、別に機械学習について詳しく知った上で「こういう理由でこんなことがやりたい」という明確な動機に至ったわけではありません。
ですから、ほとんどの人が「なぜ?なぜ?」で詰めていくと、「よく考えたら機械学習じゃなくても自分の希望は叶えられるな」という結論に至ります。
もちろん、「それでもどうしても機械学習のエンジニアになりたい!」という場合は、勉強から始めるなり実務経験を積むなり、現実的に今の自分から始められるステップを考えて取り掛かればよいのです。
■まとめ
別に未経験者や初心者が、機械学習やスペシャリストを目指すのが悪いわけではありません。長期スパンで考えれば、なれる可能性は十分にあります。
でも、「未経験者が明日から経験者でも難しいジャンルのエンジニアとして採用される」なんてケースは、現実的に考えればあり得ないですよね。
まずは客観的に自分のレベルと、企業が求めるレベルを知るのが重要です。その上で自分のキャリアプランを考えれば、おのずと「今から何をすればやりたいことに近づけるのか」がわかります。希望を叶えるためには、それが一番の近道になるはずです。
もちろんpaizaもそれをお手伝いします。求人応募や面接対策など、転職活動をしていて悩むこと、迷うことがあれば、ぜひpaiza運営事務局の担当者にご相談ください。
paizaは、開発経験の浅い方や開発業務が未経験の方へ向けて、エンジニアとしての転職をサポートするサービス「EN:TRY」をスタートしました。
実際に、開発業務未経験からエンジニアになった方、採用を担当された方のインタビュー記事も掲載しています。
詳しくはこちら
「EN:TRY」は、エンジニア職未経験者や経験が浅い方をITエンジニアキャリアへ導く転職サービスです。
これまでのpaiza同様、EN:TRYもプログラミング力、コーディング力で転職をする「コーディング転職サイト」です。転職希望者には「プログラミングスキルチェック」を受けていただき、提出していただいたコードをもとにスキルランクを評価します。求人には必要なスキルランクが設定されており、評価がそれを満たしていれば書類選考なしで応募が可能です。
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まずはスキルチェックだけ、という使い方もできます。すぐには転職を考えていない方でも、自分のプログラミングスキルを客観的に知ることができますので、興味がある方はぜひ一度ご覧ください。
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