Natasha ChebanooによるPixabayからの画像
こんにちは。倉内です。
転職先を決める際「できれば給与アップしたい!」と考える人は多いと思います。もしくは「上がらなくてもいいけど下がるのは困る…」という人も多いかもしれません。ただ、給与についての情報をどう得てよいか分からないという声もよくお聞きします。
なんとなくエンジニア職は年収が高いイメージがあるかもしれませんが、職種は多岐にわたり、扱う言語や技術によって給与も大きく異なります。
そこで今回は、国内外エンジニアのリアルな給与を眺められるサイトをご紹介しつつ、言語や経験年数による違いなども見てみましょう。
私たちが働く理由はさまざまで、給与だけがすべてではありませんがひとつの指標にしていただければと思います。
国内エンジニアの給与調査
エンジニア職の給与情報の概観
2020年1月に公開された、Robert Walters社の「給与調査2020」をもとに国内のITエンジニア職の給与について見ていきます。
なお、「給与調査2020」の調査対象等概要は以下のとおりとなっています。
給与調査 2020には、世界的にみられるトレンドに加えて、日本国内での正社員/契約・派遣社員の採用事例と当社が実施した会社員意識調査(n=2,465人)をもとに、2020年の人材採用・給与動向の見通しを掲載しています。
ITエンジニア職は「テクノロジー」に分類されるページに掲載されています。業種別にかなり多くの職種を扱っているので、一部を抜粋してご紹介します。なお、2020年の数値は予測のため参考値として見てください。
(出典)ロバート・ウォルターズ「給与調査 2020」の「テクノロジー」より
やはり「マネジャー」とつく管理職は年収が高い傾向にあり、幅はあるもののどの職種でも下限値が800万円と高い値を維持しています。
管理職以外ではデータアナリスト、データサイエンティスト、機械学習エンジニアの年俸の上限が1,500万円と高く、高度な知識やスキルを有するAI・機械学習分野のエンジニアは相応の報酬を得ていると言ってよいでしょう。
私たちが一般的にイメージするITエンジニアは、フロントエンドエンジニア(調査では、フロントエンドデベロッパーと表記)、バックエンドエンジニア(調査では、バックエンドデベロッパーと表記)かと思いますが、前者が400 - 800万円、後者が500 - 1,000万円という結果が出ています。
また、システムエンジニアは600 - 1,000万円となっています。いずれの職種も2020年には年俸がアップする見通しでしたが、コロナ禍でどのような影響が出たか、今後発表されるであろう調査結果に注目したいと思います。
エンジニアの転職意識
この調査結果には、給与以外にも興味深いデータが掲載されていますので、少しピックアップしてみます。
テクノロジー人材のうち27%は2年以内に転職しているとあり、これは他の業種・職種から見ても非常に短いサイクルです。(比較対象として、同調査で製造、営業・マーケティングでは、3割弱が10年以上同じ会社で勤務という結果が出ています)
まだ日本では短期間で転職をすることにマイナスイメージを持つ方もいるかもしれませんが、とりわけIT業界ではそれらは古い考え方になりつつあります。
転職サイクルが短いということは、エンジニアにとって「転職機会に恵まれやすい」「職場環境を変えやすい」とも言い換えられます。
調査でも「転職活動中でなくても83%が仕事の紹介があれば関心を持つ」と書かれています。よって多くのエンジニアが「今よりよい条件・環境の職場があれば移ってもよい」と考えているといってもいいかもしれません。
なお、割合は多少変わるものの全業種・職種の転職動機の1位は「報酬」(テクノロジー分野では32%)となっています。
テクノロジー分野に限らず、主要な業種・職種についての調査結果が掲載されていますので、興味がある方は比較してみてください。
企業単位で具体的な数値を知る
ここまではIT業界・ITエンジニアという括りで見てきましたが、どの企業がどのくらいの給与かという具体的な数字も知りたいですよね。
以前から企業情報の口コミサイトなどで見ることはできたものの給与データに特化したサービスも登場しており、より自分が興味のある企業の情報を得やすくなったかと思います。
※以下、画像などで示しているデータはすべて2021年1月5日時点の情報です。
openwork(旧:Vorkers)
会員が在籍中もしくは退職済みの企業情報を提供しています。就活・転職時に参考にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
(出典)openworkでGoogleを検索した結果
回答者の平均年収、年収範囲は会員登録をしなくても参照可能です。
project COMP
project COMPは、「給与市場を透明にして、評価をもっとフェアに」というキャッチフレーズを掲げている給与データベースサービスです。
企業ごとの情報はもちろん、社会人歴や職種・スキル別での給与データが参照できる点が特徴です。for Engineerとついている通り、現在はエンジニアの給与情報のみ掲載されています。
(出典)project COMPにて公開中の給与データ(一部)
OpenSalary
こちらもエンジニアの給与データベースサービスです。
さきほどのproject COMPは「会社や職種、社会人歴などの項目で集計し、統計情報を作成・提供」*1としていますが、OpenSalaryは「日本で働く開発者から匿名で集められた給与情報を提供」*2している点が異なります。
(出典)OpenSalaryにて公開中の給与データ(一部)
情報が寄せられている件数が少ないと平均年収は多少偏った結果になってしまいます。
そのためOpenSalaryのようにその年収を提示した人の職位・勤続年数・経験年数などの情報を見れるのはありがたいですね。
glassdoor
国内サイトではありませんが、検索窓で職種(たとえば、「Software Engineer」)を入力し、「Salaries」を選び、Japan(Tokyoなど都市まで入力可)を指定することで日本の給与情報を参照することができます。
平均値や年収の分布がグラフで閲覧可能です。
(出典)glassdoorでSoftware Engineer、Salaries、Tokyo(Japan)を検索した結果
世界および米国の給与調査
米国において、エンジニア職の年収が高額であることはご存知かと思いますが、一概に「年収が高くていいな」と言えないのは物価も相応に高いという事実があるからです。
物価の違いについて考えるとき、「ビックマック指数」という各国の経済力を測るための指標を用いることがあります。(参考:大和証券「金融・証券用語解説 ビッグマック指数」)
こちらの記事では、2020年7月時点の各国のビックマックの価格が示されています。米国は5.71ドル(約587円)で56カ国中4番目に高く、日本は3.64ドル(約374円)となっており約1.6倍の差があります。なお、日本は25番目に位置しています。他の国の価格も掲載されていますので、参考にしてみてください。
それらを踏まえて、2020年2月に公開されたStack Overflow Developer Surveyから世界および米国のエンジニアの年収について見ていきましょう。こちらもコロナウイルスの影響はまだ反映されていません。
エンジニアの給与情報
まずは回答者全体で見た、職種別の年収グラフです。なお、エンジニアといってもさまざまな職種・役職の方がいるので、回答者の属性についてはこちらを参照してください。
世界のデータ
(出典)Stack Overflow Developer Survey(Work, Salary)のGlobalより
こちらもやはりManager(管理職)がトップとなっています。92kドルを日本円に換算してみると、約946万円となります。2番目の「Engineer, site reliability」はSREのことです。
米国のデータ
(出典)Stack Overflow Developer Survey(Work, Salary)のUnited Statesより
1、2位は変わらず、3位以下に多少変動が見られます。米国ではEngineer Managerの年収は152kドル、日本円で約1560万円となります。
言語・経験年数と給与の関係
Stack Overflowの調査では、言語別の経験年数と年収の関係性を表したグラフを見ることもできます。
(出典)Stack Overflow Developer Survey(Work, Salary)のSalary and Experience by Languageより
多くの言語では、給与と経験年数の関係が直線的に表せます。 ただし、いくつか例外も見受けられます。
たとえば、PythonとRを扱うエンジニアは経験年数の割に高い給与を受け取っています。これはおそらくAI・機械学習分野でよく利用される言語であり、その分野で十分に成果が出るほど高度なスキルを有している人が少なく市場価値が高いためだと思われます。
またGoやScalaは、現在の技術トレンドの中心にあるような言語であり、まだまだ扱える人が多くないため経験年数に比べて給与が高い傾向にあります。
逆にPHPのように需要がある言語でも、扱える人が多いもしくは習得難易度がそこまで高くなく、使いこなせるまでに比較的時間を要さないとこのような結果になるようです。
VBAやAssemblyを見てみると、現在まったく使われていないわけではありませんが、やはり技術トレンドとしては移り変わっていて経験年数が長くなっても給与が右肩上がりではありません。
Stack Overflowの調査結果は他にも職種と経験年数の給与との関係、職種別の週の労働時間なども見ることができますので、興味のある方はぜひごらんください。
まとめ
エンジニアの給与について、企業や職種別に国内外のさまざまなデータを参照してきました。
新卒時点ではある程度横並び(ベンチャー企業などは異なると思いますが…)でも、エンジニアは専門職であるため個人のスキルや経験によって幅があります。そのためなかなか転職時に正確な情報を得ることが難しく、また自分の適正年収というのも測りづらいと思います。
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もちろんコードを書く力はエンジニアに求められる多くのスキルのひとつではありますが、それが可視化できることで十分にできている部分・不足している部分を知ることが可能です。
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