paiza開発日誌

IT/Webエンジニア向け総合求人・学習サービス「paiza」の開発者が、プログラミングやITエンジニアの転職などについて書いています。

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ITエンジニア向け総合求人・学習サービス「paiza」の開発者が、プログラミングやITエンジニアの転職などについて書いています。

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「日本はAI人材不足」は本当か?データで見えてきた「AI人材」の実情

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f:id:paiza:20180910132940p:plainこんにちは。倉内です。

アメリカの調査会社Gartnerが2019年11月に発表した、2020年以降のテクノロジーのトレンドおよび展望*1を見てみると、引き続き「人工知能(AI)」に関する技術が注目されていることが分かります。

アマゾンジャパンは中高生向けにAI活用に必要なプログラミング教育の無償提供を始めましたし*2、つい先日はGoogleが持つAI技術「BERT」が文章読解において人間を超え始めたという記事*3も話題になりました。

また、「IT人材白書2019」(IPA)、「令和元年版 情報通信白書」(総務省)でもAIについて多くのページを割いて書かれています。

ただ企業への調査結果を見てみると「AI人材が不足している」と回答する企業が多いのと同時に「不足しているAI人材の人数は分からない」「どのように育成すべきか分からない」と感じている企業も多いことが読み取れます。

そこで今回は、そもそも「AI人材」の定義とはなにか、国内企業の「AI人材」を取り巻く状況などを読み解いてみたいと思います。

「AI人材」とは

国内における「AI人材」の定義

単語自体はよく目にすると思いますが、ここでは認識を合わせるために「IT人材白書2019」での定義を正として扱います。

まず「人工知能(AI:Artificial Intelligence)」を「機械学習、画像処理、音声処理、自然言語処理及び最適化等の技術を用いて学習・認識・推論などの人間の知的能力を人工的に実現したソフトウェアやシステムを指すもの」と定義し、その人工知能(AI)に携わる人材を「AI人材」とします。

「AI人材」は以下のとおり3つに分類され、「AI研究者」は求められるスキルが高くエキスパートのみ、「AI開発者」と「AI事業企画」はエキスパートとミドルにレベル分けされています。

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(出典)「IT人材白書2019」第2部 第3章 人工知能に携わる人材より(IPA)

表中に出てくる「数理モデル」については、こちらの記事で分かりやすく説明されているので参考にしてみてください。

実際どんな仕事をしてるのか

さきほど「AI人材」は3つに分類されていると述べましたが、おそらくITエンジニアから目指す人が多いのは「AI開発者(AIエンジニア)」かと思います。「AI開発者」は数理モデルもしくは既存のAIライブラリなどを活用してソフトウェアやシステムとして実装ができる人物をいいます。

ちなみにpaiza転職では「AI・機械学習の求人特集」を公開しており、具体的な業務内容は求人票を見るとよく分かります。傾向としては、画像処理や映像解析、音声認識の仕事が多いようです。

また、機械学習エンジニアに転職し活躍されている方のインタビューも掲載中です。

転職者インタビュー:機械学習を使って世の中の課題を解決 エンジニア魂が刺激される環境で充実の毎日(株式会社Laboro.AI)

国内企業の「AI」および「AI人材」活用状況

AIやAI人材の定義が分かったところで、国内企業の状況を見ていきましょう。

業務へのAIシステム・サービスの導入・利用状況

まず、IoT・AI等の技術を使ったシステム・サービスを業務へ導入しているかについて見てみます。IoTも含まれての結果ではありますが、63.2%の企業が「導入していない」という結果になりました。

(出典)「令和版 情報通信白書」第2部 第3章 ICT分野の基本データ(総務省)

導入しない理由としては「使いこなす人材がいないから」がもっとも多い結果に…。

(出典)「令和版 情報通信白書」第2部 第3章 ICT分野の基本データ(総務省)

「導入後のビジネスモデルが不明確だから」や「導入すべきシステムやサービスが分からないから」については、よく分からずにコストをかけるよりはよいと思いますが、現場の業務課題などに目を向けると必要なものが見えてくるかもしれません。

導入した企業のうち73.3%は「非常に効果があった」「ある程度効果があった」と回答しており、業務に対して何らかのプラスの影響があった企業も多かったという結果になりました。

AI技術を用いたビジネスの実施状況

先ほどは業務への導入・利用状況を見ましたが、今度は企業規模別にAI技術を活用したサービスの提案などビジネスにおいての活用状況を見てみます。なお、以下は国内のIT企業に対しての調査結果となっています。

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(出典)「IT人材白書2019」第3部 第1章 IT企業におけるIT人材の動向より(IPA)

企業規模が大きいほどAI技術を活用してビジネスを実施していることが分かります。

調査対象企業数に差があるとはいえ、特に従業員数1,000名以上のIT企業の61.5%が「実施している」と回答しており中小規模の企業との差が顕著です。

ただ、この調査結果だけでは分からないため予想ですが、1,000名以上のIT企業というと業務形態はSIerが多くなってくるので、自社でAI技術を搭載したソフトウェアを開発するというよりは、他社のソフトウェアやツールの販売仲介としてビジネスをおこなっているところが多いのかなと思います。

AI人材の過不足感

さきほどの結果で中小規模の企業においては、AI技術を活用したサービスの提案などを「実施している」以上に「検討している」という回答が多いことに着目してみると、AI人材が不足している割合が高くなるのはうなずけます。

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(出典)「IT人材白書2019」第3部 第1章 IT企業におけるIT人材の動向より(IPA)

しかし、上の図で注目すべきは“現在”は約7割の企業がAI人材が「不足している」*4と答えたのに対し、“中・長期的な将来”には「分からない」の割合が非常に高くなっていることだと思います。

また“現在”不足しているAI人材数についても「分からない」が半数以上という結果が出ています。

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(出典)「IT人材白書2019」第3部 第1章 IT企業におけるIT人材の動向より(IPA)

これは「AI人材はいない。確保・獲得の予定はない」と回答した企業も含まれますが、その場合は「0人」と回答するはずだと思いますので「確保・獲得の予定はあるけど、どんな人材が何人必要かは分からない」という企業が多いと考えられるのではないでしょうか。

さきほどと同じく、“中・長期的な将来”では「分からない」の割合はさらに増えます。

AI人材の獲得・確保方法

つづいて、IT企業が今後重点的に取り組む予定のAI人材の獲得・確保方法についての調査結果を見てみます。

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(出典)「IT人材白書2019」第3部 第1章 IT企業におけるIT人材の動向より(IPA)

企業規模に関わらず「社内の人材を教育して確保する」と回答した企業が一番多いという結果になっています。やはり即戦力となる層は新卒・中途ともに競争率が高く、確保が難しいという背景もあるのかもしれません。

では、企業がAI人材育成のためにどんな取り組みをしているかを知るために、AI人材を育成するための教育研修の実施状況の調査結果を見てみましょう。

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(出典)「IT人材白書2019」第3部 第1章 IT企業におけるIT人材の動向より(IPA)

「一定時間の教育研修をしていない」(今後実施の予定も今のところはない)と回答した企業がほとんどでした。

ここまでの結果から、「不足していると答えながら、何人必要なのか・どう教育すべきなのかは分からない」ということが見えてきたのではないでしょうか。つまり、AI人材そのもの以上にAI人材を育てる・管理する・評価するといった適切に活用するための人材が不足しているということが言えるかもしれません。

よくよく考えてみれば、IT人材(ITエンジニア)の不足も解消できていない状況で、さらに高度なスキルや知識を要するAIエンジニアを活用するのは難しいのが現実です…。

ちなみに参考までに、IT企業がIT人材のスキルをどのように把握しているかという調査結果を見てみると「情報処理技術者試験」と回答する企業が多いことが分かります。

(出典)「IT人材白書2019」第3部 第1章 IT企業におけるIT人材の動向より(IPA)

特に企業規模が大きい場合、画一的な判断ができる指標を好む傾向にあります。「自社の独自基準」という回答も多いですが、実践的な経験の部分などを評価するのは難しいことがうかがえます。

ただ、基本情報技術者試験がAI人材育成のニーズ等を踏まえ見直しが実施されているなどの動きもあるためひとつの判断材料とするにはよいと思います。


<参考サイト>

大企業のAI人材確保の取り組み

AI人材の不足を強く感じており、確保に力を入れている大企業はどんな取り組みをおこなっているでしょうか。

ソニーが来年度からAI人材に年収1,100万円以上を支払う制度を新設すると発表したのは記憶に新しいですね。合わせてAIの基礎的な研究開発を推進する新組織「Sony AI」を設立することも発表しました。

東芝は東京大学と共同で自社向けのAI技術者教育プログラムを開発し、現在グループに750人いるAI技術者を2022年度までに2000人に増やすと発表しています。

また、NECは即戦力の育成を目的としたAI人材育成サービス「NECアカデミー for AI」を提供しています。これはもともと社内向けの人材育成プロジェクトで、既に2600人以上のグループ社員が研修を受講しているとのことです。

国の動きとしては、総務省が「AI利活用ガイドライン」を作成し、経済産業省でもAI人材の育成の取り組みが急務であることを明言しています。

ただ、調査結果によるとAI人材として期待される学生にはベンチャー企業のほうが人気があり、「給与だけで優秀な人材は振り向かない」とも言われています。

AI技術者や研究者はまだ新しい職種で、キャリアパスが見えにくいこともあり、特に若い世代には専門性を生かして将来どのような働き方ができるかも含めて提示していく必要があるでしょう。


<参考サイト>

今から「AI人材」を目指すには

冒頭にも書いたとおり、AmazonだけでなくGoogleやMicrosoftもAI人材の教育プログラムを無償で提供しており、手軽にAI(人工知能)の学習をスタートすることができるようになりました。書店に行ってみると関連書籍も豊富にあります。

さきほど見たように各企業がAI人材の確保に力を入れており、年収上限なしなど高待遇を提示する大企業も目立ってきたということも分かりました。

ただ、AI人材の定義を思い出していただくと、そもそも非常に専門性が高い職種であり、数学の知識はもちろん、AIエンジニアを目指す場合は開発スキルも必要になってきます。

paiza.hatenablog.com

上の記事を読んで「こんなに大変なの…!?」と思った方もいるかもしれません。AIの分野に限らずですが、簡単に身につけられる技術ではないからこそ人材が不足していると考えることもできます。

AI(人工知能)技術は引き続きトレンドではありますが、今後はAIを使ったサービスやシステムのセキュリティを考えるというフェーズに移ってくると言われており、需要がある領域を見定めながらスキルを磨いていく必要があると言えるでしょう。

ちなみにpaizaラーニングでもAIについて学べる講座を公開しています。

Python×AI・機械学習入門講座」では、k近傍法という分類問題を解く教師あり機械学習アルゴリズムを用いて、Webブラウザ上で画像処理の演習ができます。

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まとめ

調査結果や統計データを見ながら、AI人材について考えてきました。

「AI人材の不足が深刻」といったニュースなどを見ることはあっても調べてみる機会はなかなかなかったので、今まさに企業はAI人材をどのように獲得し、活躍してもらおうかを模索している段階だということが分かりました。

人工知能やAI、機械学習で利用される技術は非常に注目されており興味を持っている方も多いと思います。高いスキルを求められる分野ではありますが、「AIを活用して実現したいことがある」という思いがある方はぜひチャレンジしてみてください。


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*1:「ガートナー、2020年の戦略的テクノロジ・トレンドのトップ10を発表」「ガートナー、IT部門およびユーザーに影響を与える 2020年以降に向けた重要な展望を発表」ガートナージャパンプレスリリースより

*2:「アマゾンジャパン、AI人材育成へ無償教育開始」日本経済新聞より

*3:「グーグルの最新AI「BERT」が誇る驚異の学習法、文章を次々と飲み込んで理解」日経xテックより

*4:「深刻な水準で不足」「大幅に不足」「やや不足」を不足として扱う

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