こんにちは。倉内です。
皆さんの中には、プログラミングが好きでITエンジニアになったという方も多くいらっしゃいますよね。
そのため、なんとなく「将来PM(プロジェクトマネジャー)とかはやりたくないなぁ……」と思っている方もいるかもしれません。
マネジメント職に就くと多少なりとも実際に手を動かして開発する時間は減ってしまいますし、人やスケジュールの管理はもちろん、場合によっては予算管理や利益の確保といったことも求められるようになります。
ただ、実はPMの役割や業務についてよく分かっておらず、イメージが先行して嫌だなと感じている人もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、なぜエンジニアはPMやりたくないと思うのかを深堀りしつつ、知ってみると意外にPMの適性があることに気づくかもしれないという話をしたいと思います。
なぜ「PMやりたくない」と感じてしまうのか?
経験がない・イメージがわきづらい
PMに限らずですが、「何をやるのか」「どういった役割を求められるのか」がよく分からないものに対して不安を抱くのは当然です。まずは知るところから始めましょう。
一例ではありますが、PMのおもな仕事は以下のとおりです。
- プロジェクト立ち上げ時の計画立案や見積もり
- プロジェクトのスケジュールや人員調整・確保、予算管理
- 受託開発のプロジェクトの場合、受注後は顧客との要件調整(場合によっては価格折衝も)
- 決められた期日までにリリースもしくは納品できるよう進行管理
- 完成物に対してレビューおよび顧客への報告
など
プレイヤーのうちは自分の作業(とそれに関するものくらい)が責任範囲ですが、PMはプロジェクトメンバーみんなが成果を出し、プロジェクトが成功するよう導かなくてはなりません。
マネジメントには明確な正解がない
まったく同じ開発プロジェクトはないので、マネジメントについても毎回正解(に近いもの)が変わります。そしてプロジェクト規模が大きくなればなるほど判断が難しい場面も多くなります。
ただ、システム開発業務も調べたり考えたりしながら機能を実装していくことは多いですよね。そういう意味ではプロジェクトマネジメントも近い部分があります。
よって、少し乱暴に聞こえるかもしれませんが、「そういうものと割り切る」のも大切です。マネジメントでは、絶対的な正解を求めることはほぼ不可能です。
とは言ってもセオリーはあるので、プロジェクトマネジメントの基本は学んでおいて損はありません。たとえば、基本中の基本であるPMBOKは知っておきたいですね。時代に即して内容のアップデートもされています。
あとはやはり経験を積むことによって判断材料も増えて、よりよいマネジメントができるようになります。
開発者としてのキャリアが無駄になるという思い込み
これまでエンジニアとして技術的スキルを磨いてきた方は、マネジャーになるとそれまでのスキルや経験値が無駄になると考えている人もいるかも知れません。
しかしエンジニアとPMは相反する存在ではありません。PMをやるならむしろエンジニアとして開発業務に携わった人のほうが工数やスケジュールの見積もり精度が高い場合が多いですし、経験やスキルが生きる場面はたくさんあります。
逆に技術を知らない人がPMになるとプロジェクトを炎上させてしまうなど失敗につながる可能性があります。
以前、ダメなPMの特徴について書いた記事でも「あまりにも技術のない人が、開発プロジェクトを管理しようとすると大変なことになる」とお伝えしました。プロジェクトメンバーとしてこういった状況に遭遇した経験がある方もいるのではないでしょうか。
実は向いてるかも?PM適性のある人の特徴
つづいてPMに向いている人の特徴についてお伝えします。
「やることは分かったけど自分には向いてないし……」と思った方も意外とあてはまる項目があるかもしれません。
物事の全体像を把握して構造的に考えられる
エンジニアはすでにできている人が多いと思いますが、目先のことだけでなく、プロジェクト全体を考えた人やスケジュールの管理が求められます。
開始から数カ月~半年くらいで終了を迎えるプロジェクトであればそれほど重視されないかもしれませんが、数年単位のプロジェクトではこの視点で考えられるかどうかが非常に効いてきます。
実際にSIerでSEをしているころ、約3年計画のプロジェクトに参画した際、最初に決めた無理な見通しに時を経て苦しめられた経験があります。
目的意識を持って結果を出そうとする
プロジェクト進行中には予想外のことも度々起こります。
残念ながら、どんなに経験値の高いPMの作成したプロジェクト計画でも、すべてそのとおりに進むことはほとんどありません。
ただ、ゴールであるリリース日や納期、そして使える予算は守らなければならない場合が多いため、目的意識を持って進められる・やり遂げようとする人が向いています。
粘り強く取り組める
当然ですが、どれだけ大変でも途中で勝手に「よし、このプロジェクトは辞めだ!」とは言えません。
もちろん心身を追い詰められてまで無理して続けよと言いたいわけではありませんが、やはり責任を持って粘り強く取り組める人が求められます。
そのため分からないエラーにぶつかったときにとことん調べたり、他の手段を模索したりしてきたエンジニアは適性があるといえるでしょう。
そしてやむを得ず遅れが出たり赤字になったりしたときに、自社のサービス開発プロジェクトであれば機能やリリース日を見直す、受託開発であればお客さまと交渉をする…という行動を起こすのもPMの役割です。
根拠を示すことを大切にしている
PMには「なんとなく」や「勘で」ではなく、エビデンスをもとに考えたり判断できる人が向いています。
また、感情で判断するタイプの人がマネジャーになると、メンバーとの関係構築がうまくいかない場合が多く、円滑なプロジェクトの進行の妨げになることもあります。
エンジニアは根拠を示す大切さを理解している人が多いため、この点は特に適性があると言ってもいいのではないでしょうか。
話しかけられやすい雰囲気を持っている
ここまでと少し違う視点ですが、話しかけられやすいというのもひとつの大切な要素です。
この場合、コミュ力があるかというよりは、報告や相談をしやすい雰囲気を持っているかどうかと捉えていただくとよいと思います。
リーダーシップを持ってぐいぐい引っ張っていく人にPM適性があるイメージを持っている方も多いかもしれませんが、計画通りに進むことがなかなかないという開発プロジェクトの特性上、メンバーが包み隠さず状況や問題点を話せる関係性を作れるかが肝になってきます。
やってみてそれでも「やりたくない」ときは
「やってみると意外と自分に向いていた」「やり甲斐を感じられる役割だった」という人もいる一方、そうではなかったという方もいると思います。
その場合はどうするとよいでしょうか。
プレイヤーに戻るという選択肢もある
「PMはどう考えても自分に合っていない、どうしたら……」と思い詰める前に、プレイヤーとして現場に戻ることも視野に入れてみてください。
PMになるというのは一方通行ではありません。むしろエンジニアとして業務をこなす上でPMをした経験が生きる場面が多くあります。
実際、マネジャーをやってみて「やっぱり自分はまだまだコードを書くことをメインにやりたい」と言って、エンジニアに戻るキャリアを選ぶ人もいます。
もし現職でそういった選択が難しければ、転職での実現も可能です。
ITエンジニア専門の転職サービスであるpaiza転職では、これまでの開発・マネジメント経験、扱ったことのある言語・フレームワークなどエンジニアならではのアピールポイントの登録が可能です。
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マネジメント職はPMだけではない
エンジニアの将来のキャリアはマネジャーだけではありません。技術を追求するのもいいですし、エンジニア経験を生かしたキャリアチェンジもできます。
また、以前はPMが広い範囲のマネジメントをカバーしていましたが、その概念も時代とともに変わってきています。
たとえば、プロダクトマネジャーやエンジニアリングマネジャー、さらに上位職種としてはCTOやVPoEなど役割が細分化され、それぞれに適した人材を配置する企業も増えてきました。
技術力があり、人をうまく動かすことができ、遅延ゼロでスケジュール管理をし、さらに高い利益をあげられるような見積もりまでできる…こんなふうにすべてをこなせる人はそうそういません。そのため役割を分けて各自が得意な領域に集中するほうが、よりパフォーマンスをあげられます。
以下の記事ではエンジニアの17種類のキャリアパスについて紹介しています。よければ参考にしてみてください。
まとめ
ここまでPMの役割や適性についてお伝えしてきました。
本文でも述べたとおり、プロジェクトマネジメントには明確な正解がなく、また、人やお金の管理といったエンジニアリングから少し離れた領域の業務であることも確かです。
ただ、立ち上げから関わり、プロジェクトメンバーを主導してリリースや納品までやり遂げた達成感はなかなか他では味わえないものです。
それ以外にもマネジメントを経験すると、開発プロジェクトについて見えてくることはたくさんあります。自分がメンバーとして参画したプロジェクトで大変な目に遭った方は、失敗の原因が理解できるかもしれません。
もしPMを担う機会があるなら、ぜひチャレンジしてみていただければと思います。
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