Photo by Dominic Alves
こんにちは、谷口です。
SIerに在籍していて「このままずっと今の会社で働き続けていいのだろうか?」と不安を感じている人は多いと思います。
しかし、「今の仕事が嫌」「なんとなく不安」なだけで退職を決めたり、やみくもに転職活動を進めたりしても、自分の進むべきキャリアの方向性が見えないと、「どんな企業やポジションに応募すべきか」がわかりませんよね。
「転職に興味はあるけど、次のキャリアについて何も考えてなかった…」といった方は、まずはそこから考えてみるとよいかもしれません。
今回は、現在SIerにいる人にとって、この先どのようなキャリアの選択肢があるかを探っていきます。
SIerのエンジニアのキャリア
現職を続ける
転職せずに現職を続ける場合、n次請けの企業であればPL、大手の元請けであればPMなどのポジションにつき、いずれは管理職としてのキャリアを積んでいくことになります。
下請けの場合は発注元との間に一次請け・二次請け・三次請け…と、どうしても中抜きが発生してしまうため、業務が大変な割に待遇はよくない…といった環境も多くあります。
業務内容やスケジュールに関しては案件次第ですが、さまざまなプロジェクトを経験できますから、自分次第では多くのシステムやサービスに携わり、知見を得ることもできます。
必要な資質
- 期日を守って担当分のタスクを作りきること
- 配属された常駐先や案件に順応すること
利点:いろいろなプロジェクトを経験し、それに伴う知識を習得できる。
欠点:スケジュールが遅れたときのしわ寄せを受ける。業務で使える技術が固定されている。
上流のSIerに転職する
元請けに近い上流工程を担っている企業への転職を目指すパターンのキャリアもあります。
上流の企業へ転職すれば、いずれPMとしてプロジェクト全体をとりまとめるポジションになります。また、下請けに比べれば待遇もよくなる可能性があります。
要件定義、設計、マネジメントなどの手順が得意な人であれば、より上流に近い企業への転職が合っているかもしれません。(もちろん上流に転職すれば必ず労働環境や給与がよくなるわけではありませんが…)
上流の場合、期日と予算範囲を守りつつ、不足のない成果物を納品する管理能力が必要になります。また、こうした管理や設計に関するスキルは、小規模なn次請けよりも身につきやすくなります。
必要な資質
- スケジュールを作成・管理し、納期までに作りきること
- プロジェクトに携わる人員をまとめて管理すること
- 設計ができること
利点:大規模で経営などが安定している企業が多く、下請けよりは年収を上げやすい。マネジメントスキル、設定スキルなどが身につきやすい。
欠点:マネジメントする側になるとプログラミングをする必要はなくなるため、技術が好きでプログラミングをしたい人、マネジメント業務が苦手な人には向かない。
自社開発企業に転職する
自社でWebサービスやアプリ、パッケージソフトなどのプロダクトを開発している企業へ転職する選択肢もあります。
若い世代のエンジニアが活躍している業界であり、早いうちから大きな権限を持って仕事ができる企業も多くあります。また、即戦力が求められ、日々自分の開発スキルを研さんしていかなければなりません。
新しいサービスや機能を少人数で作ってリリースして、細かい整備はその後の様子を見ながら…といったケースも多く、受託開発とは業務の進め方が異なります。そのため、「時間をかけて要件定義して、設計して、実装して、テストして…といった作り方ではなく、もっとスピーディーな開発がしたい」、また「B2Cでユーザーの反応が見えるサービスが作りたい」といった方には向いているかもしれません。
一方で、これまでになかった新しいサービスを企画・制作・運営し、ビジネスとして軌道に乗せるのはかなり大変です。頑張って作ったのに思いのほかお金にならない、競合に似たようなサービスをリリースされてしまうこともありますし、軌道に乗らなかったサービスが終了…といったケースも珍しくはありません。着実に安定した企業で働きたい人には、あまり向かないでしょう。
必要な資質
- プログラミングスキルと技術を追い続ける感度
- スピード感についていけること
利点:比較的新しい技術を使える。作ったサービスをダイレクトにユーザーへ届けられる。自由な社風の企業も多い。
欠点:安定性に欠ける。小規模のスタートアップだと会社の制度が整っていない場合もある。
フリーランスのエンジニアになる
常駐先から「この仕事を〇〇さんにやってもらいたい」と指名を受けたり、「あなたに直接仕事を頼みたい」と言われることが増えると、フリーランスの道を選ぶ人もいます。
フリーランスのよいところは、契約した金額すべてが自分のものになる(もちろん税金などはかかりますが)こと、きちんと成果物を納品できれば時間や勤務スタイルに自由がきくことなどが挙げられます。
ただ、企業に所属しないということは、何かあっても企業に守ってもらえないということでもあります。加えて、事務処理や契約金交渉、営業活動なども自分でやらなければなりません。
固定給がある会社員とは違い、仕事量がダイレクトに収入に影響するため、安定志向の方には向いていません。
必要な資質
- 企業が契約してくれるレベルの高い技術や知識
- 自己管理能力
- 税金や事務作業等の知識
利点:成果に応じた収入が望める(場合によっては報酬の交渉もできる)。自由度が高い。
欠点:会社の後ろ盾や保障がない。開発以外の事務処理等も自分でしなければならない。結果を出し続けなければ仕事はもらえないというリスクはある。
起業する
作りたいサービスや将来のビジョンが明確な人、大規模な事業を自分で手掛けたい人の中には起業をする人もいます。
ただ、日本では初年度に倒産廃業する割合が個人事業ベースで37.7%、企業ベースで20.4%倒産、廃業している(経済産業省「工業統計表」ベースの集計)という状態ですから、ろくに調査もせずにいきなり起業するのは高リスクです。
特にWebサービス等の自社サービスで企業起業する場合は、どんな業界でビジネスを起ち上げるのか、どんなビジネスモデルにするのかが重要で、一旦始めてしまうとそれを変更するのも大変です。事前のリサーチも大切ですね。
必要な資質
- リーダーシップ
- 経営に関する知識
- 事業計画
- 資金調達
利点:明確にやりたい事業があるなら自己実現を目指せる。
欠点:失敗も全て自分達の責任となる。事業が軌道に乗らなければ収入がないどころかマイナスとなる場合もあり、リスクが高い。
まとめ
キャリアについては、企業任せではなく自分でもある程度は考えてみたほうがよいですね。
企業任せにしてしまうと、プログラミングがしたいのに業務の中心がマネジメントばかりになったり、スキルに汎用性がないまま年数を重ねてしまったり…といったことにもなりかねません。
もちろん、「すぐに転職したいわけではない」「現職を続けたい」といった人にとっても、自分のキャリアを見直すのは重要です。
まずは今の会社にい続けた場合にどんなキャリアを積むことになるのか、その方向性が自分の目指すところと合っているのかどうかは、今後もエンジニアとして仕事を続けていく方であれば一度考えてみたほうがよいかと思います。
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