こんにちは。倉内です。
ITエンジニアに必要なスキルというと、「プログラミング言語を習得してコードを書くこと」だと捉える方も多いと思います。
そのため、特に未経験からエンジニア転職を目指す方で、プログラミング言語の勉強だけをしてIT業界に飛び込もうと考える方もいます。企業によっては、受け入れて育ててくれるところもありますが、なかなか希望通りの転職ができない方がいるのも現実です。
もちろんコードを書くことは、開発系のITエンジニアの重要なスキルのひとつです。ただし、エンジニアを目指す方、もしくはなったばかりの方が身につけるべき知識やスキルはたくさんあります。
そこで今回は、各社が公開しているエンジニア職の新卒研修資料から「ITエンジニアに求められるスキル」とは何かを考えてみたいと思います。
新卒向け研修資料(6社)
以降で紹介する資料は、本記事公開時点(2021年11月29日)で調べたものとなります。また、一部抜粋して記載している箇所がありますので、詳細情報はリンク先の資料をご参照ください。
サイボウズ株式会社
おもな提供サービス
- 企業向けグループウェア
- 業務アプリ構築クラウドサービス(kintone)
ほか
研修内容(一部)
- Webアプリケーション開発に必要な基礎知識
・各サーバの役割
・Webサーバとアプリケーションの関係
・データベース
・ログイン認証(Cookie、セッションなど)
・セキュリティ
・Webアプリケーションフレームワーク
・フロントエンド(HTML、CSS、JavaScript、Web APIなど)
- コンテナ(Docker)
- ネットワーク(HTTP/DNS)
- テスト(自動化)
- アジャイル開発(CL/CD)
コロナ禍以前から、リモートワークの先駆け企業としても知られている同社は、新人研修もフルリモートで実施。研修期間は2カ月とありますが、座学からグループワーク、実践開発研修まで濃い内容となっています。
株式会社ミクシィ
おもな事業
- ゲーム・映像事業(モンスターストライクなど)
- メディア事業(mixi、家族アルバム みてね など)
- 求人広告事業(FINDJOB! など)
ほか
研修内容(一部)
- Git(+GitHub)の使い方
- データベースの基礎知識
- 設計・テスト
- コンテナ(Docker)
- モバイルアプリ開発(iOS(Swift)、Android)
- フロントエンド(UIツール、UIライブラリ)
- ゲーム開発(Unity)
- セキュリティ
資料のほとんどに動画も合わせて公開されています。サービスごとに技術スタックが異なることを考慮して、配属部署に関わらず生かすことができる開発の基礎となる研修と、そこにプラスして特定領域の研修も実施。より実務をイメージしやすい内容だと感じました。
GMOペパボ株式会社
おもな事業
- ホスティング事業(ロリポップ! など)
- EC支援事業(SUZURI など)
ほか
研修内容(一部)
- Webアプリケーションフレームワーク(Ruby on Railsチュートリアル)
- コンテナ(Docker)
- セキュリティ
- フロントエンド
- モバイルアプリ開発
- 機械学習
エンジニア職だけでも100名以上が在籍し、さまざまな専門領域を持つエンジニアがいる同社は、「最新の技術に幅広く触れてOJTに入っていく」というスタイルを取っています。自身の専門以外の技術にも触れることでコラボレーションを生み出すという意図があります。
株式会社リクルート
おもな事業
- HRテクノロジー事業(Indeed など)
- メディア&ソリューション事業(SUUMO、ゼクシィ など)
- 人材派遣事業
研修内容(一部)
- Webブラウザの仕組み(通信、レンダリング、セッションなど)
- モバイルアプリ開発(iOS、Android)
- テスト
- サーバ(AWS)
- セキュリティ
- JavaScriptの基本
- TypeScriptの基本
- ビジネス理解・企画
- ToC(制約理論)
研修は前半が講義形式の技術研修、後半が実際の業務を経験するOJTという構成になっています。研修の資料の多くは内製しており、実際の業務に沿った知識が得られるよう工夫されているようです。昨年同様、フルリモートで実施されました。
株式会社サイバーエージェント
おもな事業
- メディア事業(AbemaTV など)
- ゲーム事業(グランブルーファンタジー、ウマ娘プリティーダービー など)
- インターネット広告事業
ほか
研修内容(一部)
- チーム開発とはなにか
- チーム開発の進め方(DevOps)
- コード品質
- エンジニアとしてのプロダクト貢献
サーバサイド・フロントエンド・iOS・機械学習など、技術領域が異なるメンバーをシャッフルしてチーム編成をおこなうのが特徴的。各自が得意分野で力を発揮して課題に取り組めるようにとその形になっています。
合同会社DMM.com
おもな提供サービス
- ECサイト「DMM.com」にて動画配信、通販、レンタル、オンラインゲームなど幅広く展開
- プログラミングスクール「DMM WEBCAMP」
ほか
研修内容(一部)
- Webアプリケーション開発基礎
- モバイルアプリ開発(iOS、Android)
- フロントエンド(HTML、CSS、React.js)
- 開発技術・手法(スクラム開発)
- コンテナ(Docker、KBs)
- サーバ(AWS)
- テスト
- 機械学習
- コードの書き方・品質
多くの事業がある同社は、技術研修のコンセプトを「『プロダクト開発に必要な技術』を知り、自身の『知識の地図』を作ること」と定めています。研修を通して、実際の開発現場で遭遇するであろう課題の解決方法を知ります。期間は3カ月半です。
研修資料から見える企業が「エンジニアに求めるもの」
ここまで紹介した企業は、提供しているサービスや製品は異なりますが、研修資料にはいくつか共通の内容があることが分かると思います。
フレームワークを使ったアプリケーションの開発や、データベースは必須の知識ですし、個人開発ではそれほど意識しないネットワークやセキュリティの知識は非常に重要で、設計やテストについての知識も欠かせません。
実際の業務では、コードを書くことひとつとっても、「よいコードの書き方」や時間的制約と品質とのバランスなど考える必要があることも多くあります。
また、技術的な内容よりもチーム開発やプロダクト貢献についての研修を重点的におこなう企業もあります。エキスパート職などはまた別の話になる場合もありますが、趣味ではなく仕事としてのエンジニアリングがどのようにユーザーに価値を提供し、事業利益を上げていくかを考える(そういった思考でプロダクトを作れる)ことをエンジニアにも求める企業も多いように思います。
挙げたのはいずれも新人研修の資料ですが、これらが各企業がベースとしてエンジニアに求めているスキル(の一部)であるとも捉えられます。
中途入社のエンジニア経験者の場合、理解の程度や得意領域はあれど大抵は習得している・知っていることばかりです。実務未経験からの転職とはいえ、新卒同様に「これから覚えていきます」では苦しい場面もあるかもしれません。
それらを踏まえた上で、これらの資料の内容を眺めてみて「おもしろそう。学んでみたい」「すでにやったことのある内容もあった」という方は、ぜひエンジニアを目指してがんばっていただければと思います。
一方で「大変そう……」「あまり興味を持てなかった」と思った方は、今一度エンジニア転職について考えを整理してみたほうがいいかもしれません。
必要なスキルを独学で身につける方法
開発業務に関する知識は独学では難しい分野もありますが、プログラミング言語以外にもオンライン学習サービスを使って学べることは多くあります。
たとえば、paizaラーニングでは、DjangoやLaravel、Ruby on RailsといったWebフレームワークを使ったアプリ開発講座を公開しています。ある程度言語の基本を学んだあとは、こういった講座を活用して具体的にものづくりに取り組んで見るとよいでしょう。
また、書籍以外での独学が難しい、データベース(SQL)やサーバー構築に必要な知識の基本を学べる講座もあります。
いずれもブラウザ上で実践的に学べるので、インプットだけに偏らず、アウトプットをしながら学べるという点がおすすめです。学習講座一覧はこちら
ほかにも学習サービスによっては、基礎的なものだけでなく用途や目的に合わせたコース(例:ビジネスケースで学ぶPythonでのデータ分析、チーム開発で必要なGitの知識 など)を公開しています。オンラインで学べる学習サービスをまとめて紹介した記事があるので参考にしてみてください。
まとめ
各社が公開しているエンジニア職の新卒向け研修資料を見ながら、「エンジニアに求められるスキル」について考えてきました。
本文でもお伝えしたとおり、企業によって提供しているサービスや扱っている技術は異なり、当然それによって求められるスキルの領域やレベル感も違います。
ただ、ベースとなる(ほとんど必須の)基礎知識はあります。これからエンジニアを目指す方は、この記事を通して、プログラミング言語の勉強というのが必要な要素のひとつであることを知ってくださったかもしれません。
大変ではありますが、記事で紹介したような学習サービスを使ったり、場合によってはスクールを利用したりして身につけることはできます。
もちろん実務でしか得られないことも多くあるので、すべてを今すぐ身に着けなければならないわけではありません。興味を持って学び続けられるかどうかも考えてみていただければと思います。
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また、スキルチェックでは、Webサービス開発企業などで求められるコーディング力やテストケースを想定する力などが問われる問題に挑戦できます。結果によってS・A・B・C・D・Eの6段階のランクを取得でき、ランクに応じて求人応募が可能です。
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