こんにちは。谷口です。
ITエンジニアの採用活動って難しいですよね。求人票を公開しても応募がなかなか来なかったり、応募があっても選考途中で辞退されてしまったり…といった経験がある採用担当者の方も多いかと思います。
採用活動といえば「求人票を書いて、公開したら応募が来て、面接して、内定を出して終了…」と考えている方もいるかもしれませんが、エンジニア採用というのはそんなに簡単なものではありません。
求人票を作る前に「応募者が知りたいポイント」をおさえておかなければよい求人票は作れませんし、よくない内容の求人票を公開し続けたところで応募は来ません。また、どんなによい求人票ができても、肝心の面接で応募者の心をつかめなければ途中で辞退されてしまいます。
よいエンジニアを採用したいのであれば、採用活動を通して一続きのPDCAを回していくのが重要です。
というわけで今回は、エンジニア採用のPDCAについて、具体的にどんなことをすればよいのか、どうすれば採用活動の成功につなげられるのかについてお話しします。
目次
エンジニア採用を成功に導く採用活動のPDCA
PLAN:エンジニア採用状況の整理と可視化
開発部の現状把握
採用活動というと「まずは求人票作り」と思っている方も多いかもしれませんが、その前にやらなければならないのが、これから説明するPLANです。これらを明らかにしておかないと、的確な求人票を作ることはできません。
まず、一番最初にすべきこと、そして一番大事なことは、開発チームの現状把握です。
採用活動のご相談を受けているときに、開発チームの現状(構成や開発体制など)について聞くと、「よくわからない」という採用担当者の方も少なくありませんが、そんな状態でよいエンジニアを採用するのはほぼ不可能です。
まずはとにかく現状把握から始めましょう。
以前こちらの記事にも書きましたが、事業における開発部門の役割や、エンジニアのチーム構成表について、社内のエンジニアに聞きながら埋めていけば開発チームの現状が見えてきますから、ぜひやってみてください。
採用ニーズの明確化
現状が把握できたら、次は採用ニーズを明確にしましょう。
「エンジニアを採用したい」ということは、今の開発チームだけでは解決できない何らかの課題が発生しているはずですよね。
上で貼った記事でも書いていますが、採用の発生要因はほとんどが以下の3つに当てはまりますから、ここから掘り下げていきましょう。(複数要因が同時に発生するケースもあります)
- 欠員の補充(≒退職者の穴を埋められる人がほしい)
- 新規事業の開始(≒新規事業を始めるのでその仕事をしてくれる人がほしい)
- 今の事業の拡大(≒すでにある事業の規模を拡大するので人を増やしたい)
募集ポジションとペルソナの検討
課題が把握できたら、そこから具体的に「どんなポジションで、どんな業務をしてくれる、どんな人がほしいのか」を明らかにしていきましょう。
例えば、サーバサイドエンジニアに欠員が出たから同様の開発経験がある人がほしいとか、スマホアプリを作る新規プロジェクトが立ち上がるからアプリ開発に強い人がほしいとか、そういうことですね。
ここに来てようやく、求人票に記載すべきこと(≒求職者に伝えたいこと)を考える下地作りにとりかかれるわけです。
採用計画(期間・人数など)
求人票もできていないのにあと一ヶ月で5人ほしいといった計画は正直言って不可能ですから、現実的に考えていきましょう。
たとえば、来年から新規プロジェクトを始める予定だから、キャッチアップの期間も考えるといつごろまでにはほしいとか、何人か採用したいけど受け入れ側のフォロー体制を考えるとまずは優先度の高いポジションを一人ずつ採用して、落ち着いたら若手も採用していこうとか、そういったマイルストーンに落とし込んで考えてみると、「じゃあいつまでに何をする必要があるな」ということが見えてくるはずです。
ここまでのPLANをしっかりやってから、DOに移りましょう。
DO:採用活動
求人票の作成・公開
PLANで明らかにした内容を求人票に落とし込んでいきましょう。「よい求人票の書き方がわからない…」という場合は、paizaがお手伝いしますのでぜひご相談ください。
ただし、「エンジニアの求人を作りたいです」と言われても、「どんな開発チームですか?」「どんな仕事がありますか?」「どんな人がほしいですか?」と聞かれて「よくわかりません…」という状態では、どんなに求人票作りのノウハウや経験があっても最適な求人票は作れません。これはほかの転職サービスやエージェントなどを利用される場合も同じです。だから前述のPLANが必要になるわけですね。
また、特に新規事業立ち上げによる採用ニーズが発生した場合、まだオープンにできなかったり決まっていなかったり…といった項目もあるかと思います。それはもちろんある程度は仕方ないのですが、もしご自分が求職者だったら「まだ何も決まっていません、これについてはまだ公開できません」という内容の求人票に応募しますか? しませんよね。
入社してくれる人を募集するのですから、そういった場合は情報はどこまでならオープンにできるか、決まってない部分は一緒に決めていきたいという打ち出し方にする…などといったことは検討しておきましょう。
スカウトサービスの利用
「転職サイトに求人票を掲載したら、あとは応募を待つだけ…」と思っている方もいるかもしれませんが、求人票を公開しただけで応募が殺到するのであれば、誰も苦労しませんよね。
現在、paizaだけでも求人票の掲載数は1800件以上に上ります。もちろん、転職市場全体ではさらに相当な数の求人票が公開されています。そんな中で、応募者たちは貴社の求人票どころか会社の存在すら知りません。
求人票の存在を知ってもらうためには、応募者個人へ直接アピールできるスカウトメッセージが有効です。
最近ではほとんどの転職サービスが、企業側から応募者個人に対してスカウトメールが送れるサービスを実施しているかと思います。paizaでも、スカウト配信者をピックアップするお手伝いや、スカウトメールの配信、求人票の気になるボタンを押してくれた方へのプラチナスカウトサービスなどを無料で提供しております。
待っているだけでは応募は来ません。まずは応募者に企業と求人票の存在を知ってもらうためのスカウトを送りましょう。
カジュアル面談の実施
応募が来たらいよいよ面接を実施できるわけですが、エンジニア採用を担当されているみなさんは、面接をどんな場だと思っていますか?
面接とは、採用する側が一方的に応募者を選ぶ場ではありません。特に超売り手市場が続いているIT業界では、むしろその逆で「優秀なエンジニアに自社を紹介し、興味を持ってもらい、選んでもらう場」であると言っても過言ではありません。
この意識が抜けていると、まず優秀なエンジニアを採用することはできません。
カジュアル面談や一次面接など、最初の選考では
- 応募者に自社への興味を持ってもらうこと
- 採用したい応募者に、とりあえずでも「次の選考に進んでみるか」と思ってもらうこと
- 不採用の応募者にも「悪くない企業だったな」と思ってもらうこと
と思ってもらうことを第一の目標にしましょう。
CHECK:採用活動の振り返り
CHECKを実施するタイミングですが、早すぎる段階でやっても事例が少なすぎたりするので、期間なら2ヶ月程度、人数なら3・4人の面接を実施できたくらいを目安として振り返ってみるとよいでしょう。
応募者の層について
- 応募はありましたか?
- 応募があった場合、採用ニーズにマッチする人からの応募でしたか?
スカウトの反応率
- スカウトメッセージは送っていましたか?
- 送っていた場合、反応(求人票へのブックマーク、応募など)はありましたか?
求人票の気になる(ブックマーク)数
※paizaの求人票には「気になるボタン」があり、応募者は気になる求人があれば応募しなくても気軽にブックマークできるようになっています。ほかの求人サイトやサービスでも同様の機能が搭載されているところは多いかと思います。
- 求人票に「気になる」や「ブックマーク」などの反応はついていますか?
選考通過率と辞退率
- カジュアル面談や一次面接のあと、どれくらいの人が次の選考に進んでいて、どれくらいの人が途中で辞退していますか?
ACTION:改善
求人票の訴求ポイントを再検討する
応募が来ていないのであれば、求人票から見直しましょう。場合によってはPLANの段階で明らかにしておくべきことができていない可能性もあります。
あとは応募がない求人票に多いのが、ポジション名と職務内容と訴求ポイントがずれている…といったケースです。
極端な例をあげると、職務内容がフルスタック寄りなのに「ひとつの技術を極められます!」みたいな書き方になっているとか、「チームリーダーを募集します!」っていう求人なのに業務内容はCTOレベルになっている…みたいな求人票です。
あとは、給与幅が「300万円〜900万円」などと広すぎたり、職務内容にリーダーの仕事から若手の仕事まで全部書いてあったり、逆に「ご経験に合わせた業務をお願いします」程度しか書いてなかったり…といった求人票も、「何をさせられるのかよくわからない」ので応募しづらいです。
CTO、チームリーダー、若手メンバー、フロントエンド、サーバサイド、アプリ開発…というように、募集ポジションによって求人票は分けて作りましょう。エンジニア向けの求人票では、「入社したらどんな環境で何をすることになるのか」が重要です。
応募条件の見直し
上の続きにもなりますが、応募が来ていない・少ない場合に多いのが、「応募条件が厳しすぎて対象者が少ない」パターンです。
絶対に満たしていてほしい条件は何なのか、緩和できるところは何なのかを見直して、落としどころを探しましょう。
もちろん、マッチしない人からの応募が増えても意味がありませんから、応募がこないからといってやみくもに条件をゆるめる必要はありません。
しかしたとえば、Railsでサービスを作っているからRailsの実務経験が3年以上とか、iOSアプリを担当してほしいからSwiftでの開発経験が3年以上などといった条件を必須にしてしまうと、対象者が少ない&需要が高くて取り合いなので、いつまでたっても応募が集まらない…といったことにもなりがちです。
この場合、それなりのWeb開発経験がある人であれば、実務経験のない技術についてもキャッチアップが早かったりしますから、たとえば「何らかのWebアプリケーションフレームワークを使った実務経験3年以上」といった条件にしたほうがよいかもしれません。
ただ、繰り返しになりますが応募が来ないからといって条件を広げればよいわけではありません。ポジションや業務内容によっては「Railsの知見があることが絶対条件」というケースもありますし、PLANで明確にした採用ニーズにもとづいて条件を検討しましょう。
スカウト運用見直し
スカウトを送っていないのであれば、まずは利用して応募者に自社の存在を知ってもらいましょう。
もしスカウトを送っているのに全然反応がない…という場合は、
- 求人の募集内容と送っているターゲット層が合っていないかもしれない
- メッセージが求人票を見てみようと興味を持ってもらえる文面になっていない
という可能性がありますから、それぞれ見直してみましょう。
スカウトメッセージの書き方などについて、詳しくはこちらの記事で書いています。
paiza.hatenablog.com
まとめ
というわけで、エンジニア採用のPDCAについてのお話でした。
前述の通り、エンジニア採用においては求人票作成前にいろいろと明らかにする作業がかなり重要です。また、それをもとに求人票を作り、面接をして、採用に至るまではすべてひと続きになっていますから、振り返りや改善が欠かせません。
paizaでも、そのお手伝いとして、採用基準の定め方や面接の進め方などについてのサポートを実施しております。
「求人票の書き方がわからない」「どんなふうに面接するとよいのかわからない」「応募があって面接をしても辞退されてしまう」「積極的に採用活動しているつもりだけどなかなかエンジニアを採用できない」といったご相談にものらせていただいておりますので、ぜひご活用ください。
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