Photo by Steven Lilley
こんにちは。倉内です。
採用活動の前哨戦と言われているインターンシップ。マイナビの調査によると20卒学生のインターンシップ参加割合は79.9%で、19卒の78.7%をわずかに上回る結果となりました。
学生にとってインターン参加は当たり前になっていると言えそうですが、企業としては受け入れ体制を整えるのが大変、そもそも人手が足りないので対応できる社員がいない……などなかなか開催に踏み切れない事情もあると思います。
しかし、インターンを経験して入社志望度が上がったというだけでなく、インターン参加者の入社3年以内の離職率が低いといった調査結果も明らかになっており、インターンは企業が新卒採用を考える上で無視できない存在になっています。
特に近年の売り手市場、就活早期化という背景から、新卒採用に苦戦している企業こそ、早いうちから学生との接点を持つことが大切です。
そこで今回は、企業がインターンを実施するメリットや学生がインターンに期待していることなど、いくつかの調査結果も参考にしながらお伝えしていきます。
そもそもインターンって何をすればいい?
これといった決まりはないと思いますが、IT企業の場合はだいたい以下のような内容で実施されることが多いようです。(あくまでそういう傾向にあるというだけで、企業によって内容はさまざまです。)
半日~1日で実施するものは開催にあたっての負担は軽いですが、会社説明会と同じ内容になりがちなので工夫が必要です。
ワークショップや実務体験形式は、実際の業務や職場の雰囲気などを知ってもらうことができます。ただし、準備不足で内容が薄い…といったことにもなりかねないので自社に見合った実施期間と内容を検討する必要があります。
ちなみに20卒向けにインターンを実施していた企業は、リクナビ掲載企業で1万社を超えていたと発表されています(2018年6月時点)。1万社を超えたのは過去例がないのだとか…。それだけインターンを重視する企業が増えたと言えるでしょう。
企業がインターンを実施するメリット
他社との競争に勝つための情報発信ができる
中途応募者と違い新卒の学生は多くの企業を比較して選ぶため、自社の魅力やよさを伝えられなければ(知られる機会がなければ)そもそも他社と比較されるための土俵に上がれません。その機会となり得るのがインターンです。
19卒の数字になりますが、2018年7月1日時点の平均エントリー数は30.7社、ES提出14.0社、卒業時点の内定取得社数が3社以上と答えた学生が4割という調査結果からも多くの企業から比較・選択していることが分かります。
(参考)キャリタス就活2019、就職みらい研究所
また、インターンに積極的に参加する学生というのは、やはり就活に対しても積極的で優秀な学生である確率が高いと言えます。
そういった人たちは本格的に就活が始まると早々に複数の内定を取って、どこに行こうかと選べる立場になります。その層に早めにアプローチをするためにもインターンシップを利用しない手はありません。
イメージではなく自社の本当の魅力を知ってもらえる
かつてのIT企業がなんとなく「キツそう」「残業多そう」といったイメージを(そうではない企業があったとしても)業界全体に持たれていたように、実際の事業内容や業務内容、仕事のやり方や社風、高い技術力や他社にはない強みといった魅力などリアルな部分は知られていないことが多いと思います。
誰もが社名を知っているような有名企業でさえそうなので、知名度の高くない企業であればなおさら、自分たちで自社の魅力を正しく伝えていく取り組みをしていかなければなりません。
よい点だけでなく、必要に応じて組織が抱えている課題や解決しようとしている問題点なども(伝えられる範囲で)伝えていくとよいでしょう。
就活が本格化して初めて学生にそれらの情報を伝えようとしても、すでに多くの企業がインターンを通じて学生とコミュニケーションを取っていると思うと厳しい戦いになるのは容易に想像がつきます。
入社前後のギャップ、ミスマッチを減らせる
新卒入社3年後の離職率は随分前から3割を割ったことがなく、学生の働くというイメージと実際に企業で働くこととは大きなギャップがあると言えそうです。
実際、インターンを通してさらに業界や企業への志望度が高まったという人がいる一方、「仕事内容が自分に向いてなさそうだった」「事業内容に興味が持てなかった」などの理由から本選考を受けなかった人がいることも分かっています。これはポジティブに捉えるとインターンによってミスマッチを事前に防げたということになりますよね。
さらにインターンは入社後の離職率や人事評価にも影響があることが株式会社パーソル総合研究所の調査から明らかになっています。
ここでは離職率について見てみましょう。グラフから分かるとおりインターン企業入社者の3年目の離職率は16.5%となっており、インターン非参加者の34.1%と比較すると半分以下まで抑えられています。
出典:株式会社パーソル総合研究「企業インターンシップの効果検証調査」
もちろん当該調査だけで語ることはできないと思いますが、インターンがミスマッチを事前に防ぐのに一役買っているというのは間違いなさそうです。
学生はインターンに何を求めている?
「インターン開催のメリットは分かったけど、実際どんな内容にすれば新卒採用に効果的なの?」というのが気になりますよね。
「就活会議」を運営しているリブセンスのレポートによると、学生が参加したインターンには「行ってよかった」ものと「期待はずれだった」ものがあり満足度に大きな差が生じているそうです。
お互いにとって価値のあるインターンシップを開催するためにも、上記のレポートを参考にしつつ学生が何を求めているのかを探ってみましょう。
企業・業界理解を深められるか
インターンに参加する学生は、志望企業のことだけでなく業界についても理解を深めたいと考えている人が多い傾向があります。
業界の特徴や仕組みなどは学生では知ることが難しいためインターンを通して知ることができると有意義だと感じるようです。
また、会社のHPを見れば分かるような内容を知りたいわけではなく、インターンを通してでしか体験できない、もしくは得られない情報を求めています。
私は前職のSIerがメーカーの子会社だったのですが、同じ系列のIT子会社が複数あって、業界での立ち位置や同系列の子会社との違い、自社だけの強みを学生に聞かれることが多かったです。(実際やってることが似てたので答えに困ることも…。なので社員側の準備も大切です)
社員のサポートやフィードバック
中長期のインターンの場合、グループワークに社員がメンターとして参加したり、実際の業務を一緒におこなったりする内容が多いと思います。
その際に社員のサポートがしっかりあり、インターン中のフィードバックをもらえるというのは学生にとって高い満足度につながります。
特にフィードバックは自己分析にもつながり、今後の就活に生かせるということで「参加してよかった」と思う人が多いようです。
これには対応する社員の動機づけも大切で、インターン参加学生からは「ほとんど放置で学生をしっかり見ている様子がなかった」「よかったポイントを言ってくれるのはありがたいが、改善点も教えてもらわないと意味がない」など厳しい声もあるため、マイナス効果にならないよう気をつける必要があります。
自己成長できる実践的な実施内容
学生はインターンを通して自己成長できるかどうかにも重きを置いており、求められるアウトプットのレベルが高く、興味深い・実践的であると感じられる内容を求める傾向にあります。
就活クチコミサイト「ワンキャリア」の調査結果によると、「単なる企業説明会だった」「ワークショップ内容が薄かった」と感じたインターンは無駄だったと答えている学生もおり、実施内容の検討は人事だけではなく募集職種の現場社員にも協力してもらう必要があるでしょう。
さきほど載せたリブセンスのレポートには、学生の満足度が高かったインターンの実施企業名も掲載されていますので、ぜひ参考にしてみてください。
ちなみにpaiza新卒に掲載いただいている企業では、以下のようにさまざまな内容のインターンが開催されています。インターン求人をもっと見る
選考に有利に働くか
特に志望度の高い企業においては、参加するからには今後の選考に有利に働いてほしいという思いを持っています。
もちろん企業によってはインターンと本選考を切り離して考えている(自社を知ってもらうためだけの場として)ところもあるので、そうすべきという話ではありません。
一方、優秀な学生に早いうちから内定を出すためにインターン参加者には別の選考ルートを用意している企業もあります。
インターンの位置づけについては最初に決めておくべきでしょう。
インターン参加者の声
paiza新卒では、インターン参加経験がある学生のインタビュー記事を掲載しています。
いずれの学生も「インターンに参加して損はない!」と感じており、参加したインターンのどういったところがよかったかなど、インターンを開催する企業にとっても参考となるところが多いと思いますのでぜひごらんください。
「インターンで自分の適性が見えた paiza新卒をフルに使い、3社からの内定を獲得」
まとめ
企業にとってインターンを実施するメリットとは何か、学生がインターンに何を求めているかについてお伝えしてきました。
ここまでインターンシップ開催を推奨するような内容を書いておいて矛盾するかもしれませんが、「他社もやっているからうちもやろう」という理由だけでとりあえずインターンシップをやるのであれば考え直したほうがいいかもしれません。
本文中にも書いたとおり、満足度の高い内容で実施できればプラスの効果がありますが、準備不足や対応する社員に余裕がないなどかえって学生にマイナスの印象を与えてしまう場合もあります。
インターンを実施することを目的とするのではなく、インターンを学生とのコミュニケーションの場と捉え、会社HPなどからでは伝えられない自社の魅力を伝えることで、そのあとの採用につなげようという意識が大切になってきます。
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